手裏剣術の蘊奥/(手裏剣術)
- 2013/06/29(Sat) -
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 八寸の短刀を、的に打ち込む。

 ただそれだけの行為が実に奥深く、そして無限の広がりを持っている。

 “生死一重の至近の間合からの、渾身の一打”

 ただその一剣にこそ、手裏剣術の蘊奥がある。

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 人の生き方も、このように真摯で簡素、そして誠実でありたい。

 (了)
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手裏剣肘/(手裏剣術)
- 2013/06/28(Fri) -
 武術・武道には、それぞれ固有の怪我や障害がある。

 たとえば良く知られているものでは、剣道家の血尿、柔道家の餃子状の耳など。空手家の拳ダコは、怪我や障害とは言わないね。

 そして手裏剣術者によくある障害が、「上腕骨内側上顆炎」だ。野球肘やテニス肘、ゴルフ肘などと言われるもので、私は「手裏剣肘」と呼んでいる(笑)。

 手裏剣肘は、腕の使いすぎで起こる障害だ。

 肘の内側にある靭帯(尺側側副靭帯)が、打剣動作の繰り返しによって部分的に断裂を起こし、靭帯機能不全という靭帯が緩んだ状態になってしまうものだ。具体的には、内上顆と呼ばれる肘の内側の出っ張り周辺に痛を感じる。

 最近は痛みを感じることがなかったのだが、この春、剣を25年式から25年式改に変更して以降、剣の重量が重くなったたためか、また痛みがぶり返してきた。

 このため1週間ほど、自宅での稽古を休んでいたのだが、今日になってだいぶ違和感を感じなくなってきたので、また明日から稽古を再開する予定だ。

 こうしたスポーツ障害は、ある程度はやむをえないものだが、こじらせると術者生命にもかかわることなので、甘く見ないほうがよい。

 武術・武道を生涯の道としたいのであれば、自分の体は大切にしたいものである。


~毎日、毎日、雨の日も、風の日も、三六五日的に向かって黙々と打ち続けるのである。右肩を、右肘を、右手首を、大切に気づかいながら~(『実戦古武道 手裏剣術入門』染谷親俊/愛隆堂)

 (了)
 
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S編集長のこと/(身辺雑記)
- 2013/06/24(Mon) -
 つい先ほど、以前からお付き合いのあったSさんが、昨夜亡くなったという知らせがあった。

 Sさんは、医療や介護に関する雑誌の編集長で、私は4~5年前から、時折仕事をいただいていた。編集長と記者とはいえ、私は外部スタッフであり、仕事も毎月定期的でもなかったので、特別に親しいというほどでもなく、数年間の付き合いで一緒に取材をしたのが4~5回、仕事の後に酒を飲んだのが3回ほどに過ぎない。

 咽頭がんが見つかったSさんは、昨年から闘病生活に入った。

 治療の結果、年明けしてしばらくした頃には仕事に復帰されたのだが、その後転移が見つかり、春から再び闘病生活に入った。

 転移したがんの進行は早く、最後の望みを最先端の放射線治療にかけ、幸い、通常ならかなり順番を待たなければならないその治療が、すぐに受けられることになった。人づてに聞いた話では、これにはSさんも、かなり喜んでいたとのことだ。

 しかし、その先端医療施設に移動する日程が決まった時、病態が悪くとても移動には耐えられないことが知らされ、Sさんはその治療をあきらめざるをえなくなった。その後、治療としてできることはなく、療養先で静養されていたのだが、昨夜、亡くなったとのことだ。


 昨日といえば、私はいつもどおり昼過ぎに稽古に出かけ、その後はいつもどおりに近所のスーパーで刺身と焼魚を買い、帰宅してシャワーを浴び、日暮れの後は紙パックの冷酒と肴をくらいながら、時代劇専門チャンネルで勝新太郎の座頭市特集を、ぼけーっと見ていた。

 たぶんSさんが亡くなったのは、その頃ではないかと思う。


 私は、霊魂も死後の世界もまったく信じていない。人は死ぬと、ただの灰になるのだと思っている。

 しかし、こうして近しい人が亡くなると、私のような唯物論者というのはつくづく寂しい存在だ。

 たとえばあの世があって、そこにはちゃんと各種飲み屋があり、Sさんは小料理屋の白木のカウンター席に座りながら、「市村さん、手裏剣っていえば、やっぱり忍者でしょ(笑)」っとか言いながら、にこにこと大好きな酒を傾けていてくれたらいいなと思う。

 そういう「あの世」であれば、あってもいいんじゃないかな・・・。


 Sさん、私もいずれはそちらに往くことになりますが、その際には、一緒に仕事をしていた頃のように、いろいろとそちらの世界の道案内をしていただきながら、またうまい酒で一杯やりましょう。

 (了)
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夏至雑記/(身辺雑記)
- 2013/06/23(Sun) -
 この1週間、あまりぱっとした気分ではないのだが、どういう訳か不思議なことに、稽古では打剣もやっとうも絶好調である。

 そういえばその昔、旧師が「陰圧・陽圧」という話をしていたことを思い出す。

 詳しい内容は忘れてしまったけれど、

「日常生活でうれしいことや、うきうきしたことがあって明るい気分の時(陽圧)は、不意に足を柱にぶつけてしまったり、普段なら避けられるはずのものが避けられずにぶつかったりしてしまうことがある。一方で、気分がふさいでいたり抑うつ的な気持ちの時(陰圧)は、普段以上に技がうまくかかったり、すばやく反射的に動けたりするものだ」

 といったような話だったように、記憶している。

 まあそれだけ、いまだに陰々滅々とした気分ということか。やれやれ・・・。


        *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  


 斯界の先輩であるA大兄から、励ましのご連絡をいただいた。またB大兄からもメッセージと、ご自身のホームページで、とある出来事に関してお褒めの言葉をいただいた。

 世の中には理不尽な事、ままならぬ事が多いけれど、それでも誠を尽くしていれば、見ている人は見てくれているものであり、まさに「天網恢恢疎にして漏らさず」である。

 よき先輩方に恵まれていることに感謝したい。

 ありがとうございます。


        *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  


 過日、ようやく『子連れ狼 冥府魔道』のビデオを入手することができ、これでようやく若山富三郎版全6作品をコンプリートすることができた。

 6作品の中では、『子連れ狼 死に風に向かう乳母車』や『子連れ狼 三途の川の乳母車』の評価が高い。しかし個人的には、ネットのレビューなどでは最も評価が低い作品である『子連れ狼 親の心子の心』が、シリーズ中でも、最も作品の完成度が高いのではないかと思う。

 なにより親子の心の交流が良く描かれ、スプラッタムービーの元祖とも言われる本シリーズの中でも、最も叙情的な作品に仕上がっている。

 若山先生による豪快無双な殺陣は、いまさら論評する必要すらないが、ヒロイン東三千の殺陣がよく、なかでも冒頭、尾張藩士との戦いの際、匕首で真っ向正面から相手を斬り下げる時の、豪快で真っ直ぐな腕の振りは実に見事。

 催眠術を使う悪人剣士(岸田森!)に復讐するヒロインが、刀法併用手裏剣術で仇をとるシーンも必見だ。


▲ラストの塹壕戦は、もう限りなく戦争映画のノリで、ランボーみたいである


 さて、次はテレビ版のコンプリートだな(爆)。

 (了)
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武具としての「言葉」/(武術・武道)
- 2013/06/22(Sat) -
 私は言葉を生業にしているので、言葉を使ったコミュニケーションの限界というのは、ある程度わきまえている。

 しかし、彼我の「間」や「先」、そして「位」を読み活用することが求められる武芸を志す者だからこそ、日常の行動はもちろん、言葉を使ったコミュニケーションでも、相手の意図や真意、言葉の裏に秘められた感情を読み取り、求められる最適の対応ができるようでありたいと思う。

 時折、無意識・無自覚のうちに、相手に不快を感じさせる言葉を発する人がいるが、こうした人は、己が知らぬうちに味方を失い、いらぬ恨みを買い、周囲に敵を作り、結果として思わぬ不覚をとることになる。


 「言葉」とは、彼我の「位」や「間合」、「先」をとるための「無形の武具」であり、「平時の武器」だ。

 ゆえに言葉に無頓着な者は、本質的な意味で武芸の資質に欠ける。

 武芸を志す人こそ、言葉には常に自覚的であるべきと思う。

(了)
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知新流「飛龍剣」と翠月庵「飛刀術」/(手裏剣術)
- 2013/06/10(Mon) -
 すでに失伝してしまった手裏剣術の名流・知新流に、「飛龍剣」という業がある。

 正保年間(1645年~1648年)、大和郡山の士・飯島市兵衛によって開かれた同流の印可伝授書によると「飛龍剣」とは、

「腰刀は抜き離して下へさげ、棟を平手にて持ち添え、つるつると足を運び、間合を見て打ち離すことなり。打ちかかるに振り上げ、打ち出すときには、しばらく刀を引き離して離すことなり。打ちかかる離れの際には、柄を下へ引き下げ離すことなり」(藤田西湖著『図解 手裏剣術』より意訳・引用。以下、同じ)

 という業だという。

 つまり、当庵で言うところの「飛刀術」である。


▲当庵の飛刀術「切先返し」。間合二間から踏み込んで手裏剣に
打った脇差は、畳を­貫通してしまった。


 さらに同伝授書の「飛龍剣」のくだりには、

 「手裏剣に打つ腰刀は、長さ一尺二~三寸より一尺七~八寸、つまり脇差がよろしい。それ以上の長さの打刀や太刀はよくない。板などを的にするときは、跳ね返っての事故に注意すべし」

 とある。

 この技は、「知新流手裏剣目録」では懐剣による打剣などと並んで、「免許之伝也」となっている。また「心月流手裏剣術目録」にも、「脇差懐剣打之事」として記載されている。


 つまり、現在の手裏剣術諸流では、ほとんど稽古されていないであろう、「脇差を手裏剣に打つ」業だが、往時の手裏剣術諸流では、上級技法ながらも、けして珍しいものではなかったと推察できる。

 とはいえ実際のところ、脇差を的に投げ打つような稽古は、刀身そのものはもちろん、鍔や柄などの拵えに大きなダメージを与えることになるので、往時もそれほど頻繁かつ積極的には、稽古されていなかったのではなかろうか?

 手裏剣術を主とはしていない剣術諸流でも、脇差を「手裏剣に打つ」形は実は珍しいものではないのだが、実際には、的に脇差を打つ稽古を日常的に千回、一万回と繰り返すようなことはせず、あくまでも「口伝」としての伝授に留まる事が多かったのではないかと思う。

 ちなみに当庵でも、「飛刀術」の稽古では、飛刀術専用の剣を用いて稽古をしている。

 なお余談だが、以前にも解説したけれど、脇差を手裏剣に打つ際の有効な間合は二間半~一間の至近距離であり、三間間合などでは、むしろ飛刀の利が失われてしまう。こうした理合を、相対稽古でしっかりと認識した上で鍛錬することが重要だ。

 (了)
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芒種雑想/(身辺雑記)
- 2013/06/09(Sun) -
 普段、地上波のテレビはほとんど見ない。

 自宅にいるときには、ケーブルテレビの24時間ニュースチャンネルを流しっぱなしにしていることが多い。その他では、時代劇専門チャンネルか日本映画専門チャンネル、あるいはヒストリーチャンネル。大体、これら4つのチャンネルで、私のテレビ番組のチョイスは完結している。


 ところで最近、地上波では時代劇はほぼ壊滅状態なので、時代劇専門チャンネルで放映される番組も、ちょっと昔のものが多い。

 とはいえ、そもそも「時代劇」というのは根本的に過去を舞台としたフィクションだから、制作年代が古くても、それほど違和感がない。

 ところが、時々ぎょっとしてしまうのは、違和感なく見ていた時代劇について、「よく考えてみると、これ主要キャストはほぼ全員、亡くなっているんだねえ・・・」などと気づくときだ。

 当たり前といえば当たり前だが、すでに死んだ人が、動きまわり、普通に会話している。それが繰り返されている。いや実に、映像とは不思議なものだ。

 これが、ある一定の瞬間を切り取って貼り付けた「写真」であれば、そうでもないが、20年以上も前に死んだ人が、笑ったり、泣いたり、怒ったり、悲しんだりしている姿は、よく考えてみると奇妙なものである。

 そういう意味では、自分もyoutubeに武芸の動画をアップしたりしているわけで、己が彼岸へ渡った後も、あれらの動画が奇特な人々によって再生され、あるいはコピーされ、ネットの波間に浮き沈みしながら再生産されていくのかと思うと、なんとも妙な気持ちだ。


 というわけで、今日は先日亡くなった名優・三國連太郎の「利休」でも見ながら、昼酒でもしようか・・・。

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▲監督の勅使河原宏は、華道・草月流の家元で
もあるだけに、この作品、作中の茶花とそれに
かかわる演出は、ずば抜けて芸術的だ。好みに
よって賛否は分かれるだろうが、「美」に力点
を置いた演出、私は嫌いではない

(了)
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【記録動画】平成25年度 翠月庵夏季合宿/(手裏剣術)
- 2013/06/03(Mon) -


▲今年の夏季合宿の動画である。


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平成25年度 夏季合宿速報/(手裏剣術)
- 2013/06/03(Mon) -
 先週末、山梨県にて平成25年度の翠月庵夏季合宿を開催した。

 庵主の所感については別項にまとめるつもりなので、下記は取り急ぎの速報である。



富士山


 今回の合宿のテーマは「多敵の位と四方打ち」とし、手裏剣術の前後打ちや左右打ちから、四方打ちへ展開する稽古を中心に行った。

 さらに、手裏剣術の前後打ちや左右打ち、四方打ちを展開した抜刀術、多敵を念頭に置いた飛刀術の稽古などにも、たっぷりと時間をとった。

 庵主個人としては、今回の合宿で飛刀術について、武技としてのかなりの手ごたえと上達を感じることができたのが、非常に大きな収穫であった。また飛刀術の形として、従来の上段、八相、脇構のほか、新たに「鞘遣上下二刀」、「斬返」の2つの形を加えた。これらについては、近々、動画で公開できるだろう。

 なお「25年式翠月剣改」は、威力、速度、使い良さのいずれにおいても、たいへん満足できる剣であることを、改めて実感できた。

合宿_打剣


■合宿日程
1日目
11:00 現地集合、昼食
  :30
12:00 設営開始
  :30
13:00 手裏剣術稽古:各自打剣(ウォーミングアップ)
  :30 手裏剣術稽古:前後打ち/体捌き10種
14:00
  :30 手裏剣術稽古:前後打ちの応用(運用型/左右敵、順体への転換)
15:00 抜刀術稽古:翠月庵の型/古流の形
  :30 抜刀術稽古:前後打ちの抜刀術への展開/参考技法(古流の形3本)
16:00 抜刀術稽古:四方斬り
  :30 手裏剣術稽古:四方打ち
17:00
  :30 稽古終了
19:00 夕食・小宴

2日目
09:30 手裏剣術稽古:各自打剣
10:00 手裏剣術稽古:四方打ち
  :30
11:00 手裏剣術稽古:飛刀術(上段、八相、脇構、上下二刀、切先返し)
  :30 
12:00 昼食
  :30
13:00 無冥流スローイングナイフ講習
  :30 四方打ち
14:00 自習:稽古のまとめ
  :30 撤収
15:00 
  :30
16:00 解散

合宿_武具類

(了)
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