「両眼打ち」「二本打ち」/(手裏剣術)
- 2014/01/28(Tue) -
■本日の稽古備忘録

 肘がしっかり伸びていないと、手首のスナップに頼ることとなり、結果として首落ちとなる。

 重ね5ミリの翠月剣。軽快な打ち心地で、速度が乗るので刺さり具合もよい。

 両眼打ちの際には、重ね6ミリの剣よりも、こちらの方が打ちよいようだ。

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▲二間座打ち(正座)による両眼打ち。剣と剣の間の広がりは、およそ二寸弱。し
かし実際には、どの程度剣と剣の間が広がるのかは、神のみぞ知るものである


 なお「両眼打ち」というのは根岸流での名称で、今、知新流の伝書を読んだところ、同流ではシンプルに「二本打ち」という名称である。

 ちなみに知新流では、最大で剣を4本まとめて、あらかじめ紙で封じるように巻いておき、それを一打で打つ技を「四本打ち」と呼んでいる。

 これを翠月剣でアレンジして行うのであれば、剣尾の巻物をはずしたものを2~3枚重ねて紙で巻いておき、打てばよいだろう。

 もっとも手裏剣の多本打ちは、思った以上に刺中範囲が広がらないので、そんな細工をするまでもなく、実際にはシンプルな両眼/二本打ちで十分かと思う。それどころか、とりたてて二本同時に打つくらいであれば、一本の剣を、渾身の気概で打ち込むべきであろう。

 武術としての手裏剣術においては、あくまでも多本打ちは、技術研鑽上の方便に過ぎないということを、忘れてはならない。

 (了)
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私的名著~ドイツ・アマチュア・ボクシング連盟指導部著『最新ボクシング教室』/(武術・武道)
- 2014/01/27(Mon) -
 私が空手の稽古をメインにしていたのは、29歳から39歳までの、およそ10年間であった。

 この間、特に組手においてたいへん参考になったのが、本書『最新ボクシング教室』(ドイツ・アマチュア・ボクシング連盟指導部著/福岡孝行・渡辺政史共訳/ベースボール・マガジン社/1961年)である。

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▲すでに半世紀以上も前に書かれた、
アマチュアボクシングの教本


 空手道に関する書籍・教本のたぐいは、その多くが形や基本技の解説書であり、実用的な組手(スパーリング)技術の解説書は今も昔もとても少ない。

 また当時、私の通っていた道場は、組手については“地稽古で叩かれて覚える”的な指導が中心であり、(それはそれで実践的でみっちりと鍛えられたわけだが)、実際の稽古以外の時間に、組手の効果的なあり方や稽古の仕方を考えるための教科書のようなものが、あったらいいなと思っていた。

 そんな時、愛読していたのが、この『最新ボクシング教室』なのである。

 本書は、当時も今も、とても珍しい、アマチュア・ボクシングの、それも学校教育におけるボクシングクラブのために書かれた教本である。このため本書の解説は、実にシンプルかつ簡潔であり、ある意味で素っ気ないほどだ。イラストも、いかにも飾り気がないが、しかし非常に分かりやすい。

 なかでも防除としてのボディ・ワークは、本書の解説が非常に参考になった。例えば私は組手の際に、垂直ダッキングや屈んでのウィービングを多用して大きな効果をあげていたのだが、それらはいずれも本書で学んだものだ。

 また当時、私の試合組手での得意技は、右の背刀打ちだった。流派の全国大会では、この技を使って有級時代に準優勝2回、有段者になった後も、三回戦で四段のオランダ支部長に勝利した時の決め技が、この背刀打ちであった。

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▲肘を下げたショートフックと、肘を上げたロングフックの解説


 実はこの右上段背刀打ちは、本書で解説されていた「肘を上げて打つ頭へのフック」を参考に、私なりに工夫した技なのである。

 私は体格が小さくリーチが短い。また反射神経や動体視力でも、当然ながら若い10代や20代の選手に比べて劣っているため、組手試合で最も多用される刻み突き(ボクシングでいうところの左ジャブ)の打ち合いでは、どうしても突き負けてしまう。

 そこで、ロングフック気味の背刀打ちを使うことで、相手の拍子をはずしながら意外な軌道で上段に打ち込むことができ、これによって試合組手や地稽古で何度も勝つことができた。

 試合では、先をとって飛び込みながらの上段背刀打ちは、相手の視界から消えることもあって、おもしろいように決まったし、相手の刻み突きを左手で捌きながらの右上段背刀打ちから入り身しての投げも、決まると実に痛快な技であった。

 私の背刀打ちが、実は半世紀も前のドイツで書かれたアマチュア・ボクシングの教本を参考にしたものだとは、たぶん誰も分からなかったであろう。

 こうした「時空を越えた啓発力」こそが、書物というものの魅力、いや“魔力”なのではないだろうか。


「この教科書の内容は広範であるとともに深みのあるものであって、体操代わりにボクシングを行う者から、鍛えぬいたボクサーにいたるまで、すべての者が自分を鍛えあげ、さらに鍛え続けるために必要なすべてのことを見いだしうるのである。この教科書がすべての人々に述べるところは、ただ一つ技術と熟練である」

 1959年4月30日,シュトゥットガルト
 ドイツ・アマチュア・ボクシング連盟会長
 オイゲン・ベーム

 (了)
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一打必倒/(手裏剣術)
- 2014/01/26(Sun) -
 板金を打つ心で、間合三間、八寸的への打剣。

 手裏剣術者にとって、最も標準的な稽古なのだが、調子が悪いとそれすらおぼつかなくなることがある。

 的中させようとすると刺さらず、刺そうとすると的中しない・・・。

 気持ちが乱れると、さらに体の乱れが深まってゆく。


 打剣の成果にごまかしがきかず、適正か否か、好調か不調かが、本人にはもちろん衆目にも一目瞭然なのが、手裏剣術稽古の厳しさだ。

 「一打必倒」への道のりは、厳しく、遠い。

 しかし、それでも倦まず弛まず稽古することで、「生死一重の至近の間合からの、渾身の一打」が生まれるのだ。

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 (了) 
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寒中稽古/(武術・武道)
- 2014/01/23(Thu) -
 今週は、火曜から金曜まで、空手道の寒中稽古に参加している。

 通常、こちらの教室の稽古は毎週1回なのだが、冬と夏の2回、それぞれ寒中稽古、暑中稽古として、5日間続けて稽古が行われるのである。

 この教室のよいところは、主催が県のため、さまざまな流派の先生方の指導が受けられることだ。私は、空手道については玄制流を10数年学んだのだが、ここでは糸東流や剛柔流、玄制流などの先生方が指導してくださるため、それぞれの流派の形や基本を教えていただけるので非常に勉強になる。

空手型試合B
▲かつての形試合のひとこま。「祝嶺のバッサイ」を打つ


 今回の寒中稽古では、剛柔流の形のひとつである「撃砕Ⅰ」をご指導いただいた。

 縦猿臂から裏拳に続いて下段払い(金的打ち)、足払いから手刀打ちなど、基本形ながらもいかにも剛柔流らしい、接近戦での攻撃的な分解は、とても興味深いものであった。個人的には、剛柔流の「転掌」の形はぜひ学んでみたいと、以前から常々思っているのだが、こればっかりは同流に入門しないと難しいか・・・。


▲「撃砕Ⅰ」のお手本


 さて、明日で寒中稽古は終わりだが、今年は皆勤を目指している。

 もっともその前に、これから朝までに鉄道旅行の原稿を1本書き、7時には家を出て午前中は都内の大学でインタビューを2件、午後は都内の美術館で館長への取材をこなさなければならんわけで、のんきにブログなど書いている場合ではないのだが・・・・。

 (了)
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大寒私見/(身辺雑記)
- 2014/01/21(Tue) -
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 早朝に我が草庵を出て、昼まで都内の大学で救命救急の医師や看護師へインタビュー取材。

 帰宅後、午後から旅の雑誌の原稿を書きはじめ、入稿が済めば時間はすでに深夜24時。

 明日も(もう今日か・・・)早朝から原稿を書き始め、15時までには入稿をしなければならないので、気持ちとしては燗酒でも引っ掛けて、とっとと寝てしまいたいところであるが・・・・・・、僅かな時間ながら剣を打ち、居合を抜く。

 千日をもって初心とし、万日をもって極めとする。それが稽古というものだ。

 それにつけてもこの多忙、いつまで続くことやら。そういえば、明日から空手の寒稽古が始まるのだなあ。今年は何日出られることやら。



 ところでわれわれ伊豆人は、遠い昔から海の恵みとしてイルカを食べてきた。イルカはとてもおいしい。

 こうした伝統的食文化に対して、なんの科学的根拠もなく(イルカは絶滅危惧種などではない)「知能が高いから」とか「かわいそう」などという欧米人の手前勝手な感情論で、ケチをつけられる筋合いはない。

 ということはなにかい、米国人の大好きな七面鳥や鹿、英国人が好んで食べる鴨や兎は、「知能が低く」「醜い」から、殺して食べてもよいということなのかね?

 駆除目的(!)でタスマニアに住んでいた人類を絶滅させたような連中が、いかにも言いそうなことだ。

 ジャンクフードの味しか知らない超肥満&ドラッグ大国をはじめとした南蛮人たちに、「いただきます」や「ごちそうさま」という言葉に象徴される、本邦の伝統的食文化=スローフードの思想は理解できなのであろう。

 こんな寒い夜は、イルカのタレを炙ったやつを肴に、ぬる燗で一杯やりてえもんだ。

 (了)
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「羽衣」と「呂蓮」/(身辺雑記)
- 2014/01/20(Mon) -
 自分で言うのもなんだが、生業が超多忙ななか、超人的な努力をして時間をひねり出し、週末、親しい人と能と狂言を鑑賞に行った。この日の演目は、狂言は「呂蓮」、能は「羽衣」である。

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▲狂言では、野村万作と野村萬斎の芸を見比べるという、なんとも贅沢な1日であった


 それにしても、「羽衣」でワキの漁夫白龍を演じた殿田謙吉氏の立ち姿は、武芸の熟練者を思わせるような、実に「体幹」の太い、重厚かつよどみのない「形」であった。

 万作・萬斎親子の芸は・・・、その差、歴然。人間国宝は、伊達ではないね。

 (了)
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間合半間/(身辺雑記)
- 2014/01/15(Wed) -
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 多忙。

 徹夜で鉄道旅行の原稿を書き上げ、これから1時間ほど休憩。6時過ぎには家を出て、本日は房総で自動車関連のモデル撮影のディレクション。しかし、今日に限って房総は雪だという・・・。最悪、表紙撮影だけ明日に延期だが、明日は明日で、医学系大学のパンフレット用のインタビュー記事の締め切りが迫っており、そちらに専念したいのだが・・・。

 そんなこんなで、日々の稽古もままならず。もう3日も稽古をしていない。しかたなく手慰みに、机の横の的に軽量剣を打つ。間合半間(笑)。

 さて、30分ほど仮眠するか。

 (おしまい)
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ヤコブの梯子/(身辺雑記)
- 2014/01/10(Fri) -
140109_アクアライン

 昨日、ドライブ取材のロケハンで南房総に行った帰り、アクアラインの上から見た「ヤコブの梯子」。

 そういえば、ティム・ロビンズ主演の『ジェイコブス・ラダー』は、なかなか印象的なスリラーだったな。オチは、がっかりだったけれど・・・。

(おしまい)
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用字用語集、万年筆、手裏剣/(身辺雑記)
- 2014/01/07(Tue) -
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▲仕事机にいつもあるのは、共同通信の用字用語集、ペリカーノジュニアの万年筆、
そして手裏剣


 新年早々、多忙である。

 朝から、医療系大学の学校案内の原稿、某官僚氏のインタビュー原稿の校正、来週のドライブ取材のアポ取りなどに追われる。これもまた、アベノミクス効果か?


 売文業に欠かせない用字用語集は、業界では朝日新聞版を好む人が多いようだが、私は昔から共同通信版を愛用している。

 そういえば10年ほど前、エルサレムで一緒に取材をした共同通信のカメラマン氏は、極真カラテの参段という気のいい人だったな。お元気だろうか・・・。

(了)
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円明流の剣を打つ/(手裏剣術)
- 2014/01/06(Mon) -
 個人的には、すでに先週の土曜から原稿書きをはじめているため、もはやお屠蘇気分でもないのだが、とはいえ今日(5日)までは、世の中なんとなく正月の雰囲気が濃厚だ。

 そこで、年はじめの稽古の縁起物ということで、今日の稽古では、〆に円明流の剣を打った。

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▲25年式翠月剣や長剣に比べても、はるかに重いので、刃付けは鉈程度にしてあるにも関わらず、ひょいと打っただけでも深かぶかと刺さる


 剣聖・宮本武蔵を流祖とする円明流(竹村流)の短刀型手裏剣は、長さ8寸(約240ミリ)、元幅8分5厘(約25.5ミリ)、重ね5分(15ミリ)、重さ70匁(約262グラム)。ただしこの写しは、材料の鋼材の関係で、重ねは約2分(6ミリ)、重さは約59匁(約224グラム)となる。

 3年前に制作したもので、以来、当庵の「守り刀」ならぬ「守り手裏剣」として大切に収蔵している逸品だ。

140106_円明流手裏剣1
▲手裏剣術創成期ならではの、豪壮な造りが独特の雰囲気をかもし出す


 いにしえの剣を打ち、古人の業に想いを馳せる・・・。

 これこそ、武芸としての手裏剣術を稽古する者だけが知る、大きな楽しみであり、喜びでもある。

 (了)
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初打ち/(手裏剣術)
- 2014/01/05(Sun) -
 本日は行田での稽古が、急遽、所用のため中止になってしまったので、拙宅の稽古場にて初稽古。

 1週間ぶりに、手裏剣を打ち、刀を抜く。

140105_初打ち
▲二間座打ちで、三寸的を打つ


 途中から、的にもう少し緊張感がほしいなと思い、紙コップを標的に剣を打ってみた。

140105_紙コップ
▲翠月剣の上の細い手裏剣は、紙コップを的に固定するためのも
の。立体物を標的にすると、また違った打ち味となる


 手裏剣の稽古の後は、居合を少々。

 今年は、抜付けの際の太刀筋について、いささか思うところがあるので、その点をじっくりと稽古していきたい。

 それにしても、手裏剣術とは、なんともシンプルで、しかし難しく、奥深い武術なのだろうと、改めてしみじみ思う。


 剣、柔、槍を能くするものといえども、われに三間の距離あらば、われにいかんともなすあたわず(白上一空軒師)

 (了)

 
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新春随想/悪夢編(身辺雑記)
- 2014/01/03(Fri) -
 年明けからこのかた、例年になくだらだらと酒ばかり飲んでいるからか、どうも夢見が悪い。

 1日の夜は、夢の中で中学校の同級生と自転車で峠越えをしている途中喧嘩になってしまい、その相手がいつのまにか小学校の同級生に変わり、殴り合いになってしまった。そして、こちらがグーパンチをお見舞いしたところで、左手に激痛を感じて目覚めた。

 すると、左手が本当に流血しているではないか!

 どうやら、夢の中のグーパンチの動きで、ベッド脇の壁を思い切り叩いたらしい・・・。なにやってんだ、オレは。



 翌2日、夢の中で草原を歩いていると、その隣をスペイン辺りにいるような、角のえらく長い牛が、大集団になって歩いている。

 ふ~んと思って、見るともなしに見ていると、突然、その中の一頭が、ものすごいスピードで(映画の早送りのような速度で)こちらに突進。

 よけるまもなく頭を「パクリ」と噛まれてしまう!

 不思議なことに、頭をぱっくりと噛まれているのだが、痛みはない。しかし牛はオレの頭を加えたまま、ぴくりとも動かない。「どうしたもんかなあ・・・。このままずっと、牛に頭を噛みつかれたままだと、困るんだよなあ・・・」などとのんきに悩んでいるうちに、目が覚めた。

 ・・・・、なんなんだ、この夢は。


 新年早々、二晩も続けてけったいな夢をみて、いささかうんざりである。

 明日から仕事初め&稽古初めなので、どうせならもっとハッピーな夢が見られないものか? とりあえずもう、殴り合いや、動物に噛まれたりする夢は、ごめんこうむりたい。

 (おしまい)
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新春随想/映画編(身辺雑記)
- 2014/01/03(Fri) -
 ここ数年、年末年始は、なにかと仕事がからんできて、1~2日しか休めない年が続いていたが、今年は大晦日から明日まで4連休もでき、何年かぶりに正月らしい正月を楽しんでいる。

 といっても、なにしろ50間近の一人身の素浪人ゆえ、飲み、眠り、起きてまた飲み、映画を見て、本を読み、飽きたらまた飲み、そして眠るという、実に怠惰な日々を送っている。

 例年、拙宅での稽古は元日未明から始めるのが、13歳の頃からの数十年来の慣わしなのだが、今年はそれもあえてサボり、大晦日に差料と手裏剣の手入れをして以来、今晩までなにもしていない。

 ま、こんな怠惰な正月も、たまにはよかろう。

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▲観賞用の美術刀剣ではないので、通常、柄はぎちぎちにきつくしており、緩んでいない限り外す事はあまりない。しかし年末は、柄を外して手入れをする。よい刀は、中心も愛でていて飽きないものだ


 それにしても、飲めなくなった。

 この年末年始は、清酒のほか、宇宙で一番旨いシングルモルトウイシキーであるアードベッグ、琥珀エビス、到来ものの梅酒などを、とっかえひっかえ飲んでいるが、日中、三合も飲むと、すぐに眠くなってしまう・・・。ま、飲みながら、少年の頃から愛読をしているランボー(ジョンではなく、アルチュールの方な)なんぞをつらつらと読んでいるものだから、なおさら眠くなるのだろう。

131231_アードベッグ
▲ランボーとは、ビートでありパンクだ。「このままいっても、あるのは世界の果てだけだ」などという詩を読んで、じっとしていられるような「少年」はいないだろう


 映画もだらだらと、初見・再見を含め、年末年始にかけて、いろいろと見た。

 以下、短評である。


■『許されざる者』(日本版)
 刀と銃が入り乱れるラストの殺陣と、北海道の大自然は、なかなか見ごたえあり。しかし、特に前半の台詞が説明的過ぎる。その前に、北野映画をたんまり見た後だったので、なおさら台詞がうっとうしく感じられた。柳楽優弥・・・、人は変わるよな。

■『アウトレイジ』
 前半あれだけ武闘派だったタケシ一派が、後半あれよあれよと殺されていくのが、なんともあっけねえぞバカヤロー! 手榴弾の威力がでかすぎるんじゃねえか、コノヤロー! 以上、アウトレイジ調でまとめてみました。

■『アウトレイジ ビヨンド』
 塩見三省の顔、怖すぎるぞ、バカヤロー! 西田敏行の関西弁は、探偵ナイトスクープ仕込みだからからか、なかなかよかったぞ、コノヤロー! あと只野仁・・・じゃなくて高橋克典が無口でいい味出してたぞ、バカヤロー! 以上、アウトレイジ調でまとめてみました。

■『ワールド・ウォーZ』
 自称・普通の男のブラピ氏が、アメリカ、韓国、イスラエル、ウェールズをまたにかけて、走る大量ゾンビと戦いながら、ジャンボジェットが墜落しても生き延び、世界を救うお話。つうか、どこが普通の男だよ!

■『利休にたずねよ』
 これまで海老蔵って、歌舞伎は上手いんだろうが人間性はカスなんだろうなと思っていたが、灰皿テキーラ事件や、父・団十郎の死をへて、人間として滓(おり)が濾されたのかもしれないな・・・と、映画を見て感じた。しかし、山上宗二が、思慮の浅い間抜けのように描かれていたのは残念。

■『パシフィック・リム』
 ハリウッドの映画人が、本気で怪獣映画を作ると、これほど面白くなるのか! 日本人が作ったら、ここまで面白く迫力のある作品にはならなかっただろう。字幕版、吹き替え版ともに見たが、豪華な声優陣もいい。「ロケット・パーンチ!」は、マジンガーZ世代であれば、涙なしには見られない。

■『座頭市と用心棒』
 ちょっと、市の殺陣の切れ味が悪いのが残念。取り立てて面白みのあるストーリーではないが、勝新と三船の競演というだけでも、一見の価値はある。岸田森は、相変わらずわが道を行く(笑)。

■『座頭市海を渡る』
 脚本は、なんと新藤兼人。海を渡るといっても、それは瀬戸内海。八十八ヵ所めぐりの途中の市が、山形勲率いる山賊と戦います。山賊の使う半弓が、妙に殺傷力が強いです。そして三島雅夫は悪いやつです。

■『TAKESHIS'』
 北野映画のなかでも、私が好きなベスト3に入る一作。賛否両論のある作品だが、そのカフカ的不条理な世界観が、好きな人にはたまらない映像体験になる。ただし、タップのシーンは、ちょっと長すぎる気がする。

■『監督・ばんざい!』
 何回見ても、ばかばかしい映画。その時間つぶし感が魅力。岸本加代子と鈴木杏の不気味さがいい。井出博士のくだりが長くうざいが、それも監督のねらい目なのであろう。

■『菊次郎の夏』
 おなじ「バカヤロー」でも、『アウトレイジ』や『アウトレイジ ビヨンド』とはまったく対極にある、心温まる泣かせの「バカヤロー」が決め手。北野映画特有の、軍団を使ったお手盛り演出は私はキライなのだが、この作品に限っては、それが非常によいスパイスになっている。ロード・ムービーって、本当にいいね。

■『BROTHER』
 前半無敵のタケシ組が、後半弱っちくなって次々殺されていくのは、もうお約束。限りなくホモセクシャルに近い、兄弟分の友情を演じた、寺島進の一人勝ち作品。ロスのビル街を、紙飛行機が飛んでいくシーンは圧巻。こういうワンカットがあるから、北野映画はどんなに脚本や演出が陳腐でも、ついつい見てしまうのだ。

■『遺体 明日への十日間』
 東日本大震災直後の遺体安置所を舞台に、人々の在りようを描いた秀作。西田敏行演じる主人公が、最初に遺体安置所の学校に入るとき、靴を脱いではだしになって室内に入るシーンがとても印象的。沢村一樹の演技も、地味だが光る。

■『ハンガー・ゲーム』
 『バトルロワイヤル』のパクリかよ、っと誰でも思うが、そういうわけでもないらしい。近未来の別世界が舞台なので、軟膏で刃傷がすぐに治っても、あまりつっこんではいけない。要するに、コバルト文庫版の『バトルロワイヤル』ということです。ちなにみ『バトルロワイヤル』は、小説に限る。深作の映画版は、親子そろってポンコツ映画です。とても、あの伝奇ロマンの傑作『魔界転生』や『柳生一族の陰謀』と同じ監督とは思えません。

■『 Dolls』
 北野映画の中でも、ベスト3に入る傑作。キタノ・ブルーではなく、多彩な四季の色を表現しているところに、監督・北野武の挑戦を感じる。夏祭りの参道を歩くシーンは、何度見てもぞくぞくする。これほど美しい日本映画は、そうそうない。ただし、ストーリーはまったく救いがないので、欝になることもまた、間違いない。

■『HANA-BI』
 北野映画の中では、芸術性とエンターテイメント性のバランスがもっともよい作品。もう少し、監督自身の書いた絵画の描写が少なければ完璧だと思う。岸本加代子の最後の言葉と、二発の銃声、青い空と海。ディス・イズ・北野映画だ。


 以上、北野映画ばっかりなのは、日本映画専門チャンネルで、57時間ぶっとうしで、北野映画をやっていたからである。

 ちにみに、私の北野映画ベスト3は、

1位『菊次郎の夏』
2位『TAKESHIS'』
3位『『 Dolls』』、『座頭市』

 である。


 さて、それでは雑煮でも食べて、また酒飲みながら、映画でも見るか・・・。

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▲今年の雑煮は、白だしが決め手

 (おしまい)




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謹賀新年/(身辺雑記)
- 2014/01/01(Wed) -
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 新年、あけましておめでとうございます。

 本年も、手裏剣術伝習所 翠月庵を宜しくお願い致します。


 主宰 市村翠雨
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