夏の記憶/(身辺雑記)
- 2014/07/30(Wed) -
 暑い。

 エアコンを効かせた室内の稽古場(自宅リビング)で居合を遣うだけでも、汗だくになる。ましてや、屋外の稽古場で手裏剣を打てば、もう意識朦朧という今日この頃である。

 つらつら思うに、その昔、昭和時代の稽古場では真夏でも「水を飲むな。なぜならバテるから」などと指導されたものだが、今の時代、そんなことをしたら熱中症でバタバタと倒れてしまうであろう。

 しかし、水を飲ませてもらえなかった昭和時代の稽古で、そんなに人がバタバタ倒れていたかというと、そうでもなかったような気がする。もっとも、30年前と今では、気温そのものが違うのだから、比較のしようもないのか。

 恐るべし、地球温暖化・・・。

          *  *  *   *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 夏、そして稽古というと思い出すのは、高校3年の夏休みだ。

 当時、住まいのある伊豆から、旧師が指導をしていた関東某所の稽古場まで、往復6時間の距離を週に1回、稽古に通っていた。

 そんななか夏休みということで、旧師の高弟で大先輩であるMさんとTさんが、「よかった泊り込みで、自主稽古においで」と誘ってくださった。

 MさんとTさんは、旧師高弟のなかでも実戦派の筆頭で、私のようなペーペーのヒヨコが親しく声をかけてもらえるような存在ではなかった。それどころか、お二人ともその強さ、稽古の荒っぽさで他の生徒たちからは非常に恐れられており、「実はあの二人は、稽古中に誤まって人を殺したことがあるらしい・・・」などという、今考えると笑ってしまうようなデマさえ、まことしやかに流れるほどであった。

 そんなお二人に名指しで誘っていただいた、まだ17歳の私は、ある種悲壮な覚悟をしつつ(苦笑)、両先輩方の夏の自主稽古に参加した。

 ま、蓋を開けてみれば何のことは無い、昼間は両先輩に、手取り足取りみっちり稽古をつけていただき、夜には尽きることの無い武術談義を聞かせていただく、驚くほど充実した、武術を志す少年にとっては夢のような数日間であった。


 後年、旧師のもとを去って以来、MさんにもTさんにもお会いする機会が無く、すでに20年以上が過ぎてしまったが、あの夏の稽古の日々は、今も忘れられない思い出だ。

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          *  *  *   *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 過日、地元の夏祭りを見に行った。

 夕暮れ時、あかりを灯した出店が軒を連ね、神輿が通りを練り歩き、人々が往来を行き交う、いかにも夏祭りらしい風景を楽しむことができた。

 暑い暑い夏も、それはそれでよいものかもしれない。 

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 (了)
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稽古場の広さ/(武術・武道)
- 2014/07/25(Fri) -
 武術としての手裏剣術を稽古しようという場合、基本的には的までの間合三間以上がとれる広さの稽古場が必要になる。

 当庵では最大五間までを必修とし、それ以上の中・長距離打剣は研究課題としているので最低五間、実際には五間直打を「活きた業」にするためには、稽古では六間での打剣に習熟する必要があるので、稽古場は六間以上の広さがあることが望ましい。

 このように手裏剣術の稽古をしていると、「稽古場の広さ」というのは、重大かつ悩ましい問題だ。

 たとえば本ブログでも度々書いているが、私の場合、自宅での稽古では的まで二間しか取れず、天井の高さの関係もあるので、やむをえず座打(正座または跪坐)での稽古が中心となる。なんとか座打でも三間が取れるとよいのだが、なにしろ集合住宅なので難しい。

 この点、柔術はよいなと思うのは、最低限、畳一畳の広さがあれば稽古ができるということである。

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▲夏季合宿の朝のひとコマ。基本的な手解の一手。両手取りから片手を抜いての当身


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▲初歩的な手首逆。この場合、真下に極め潰すほか、写真のように手首を極めながら相手を斜め後ろに崩し、肘も極めつつうつ伏せに固めるなどの応用もある


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▲うつ伏せに固めて当身。拳の形に口伝あり


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▲手首を極めながら踏み固めるので、これだけで受けは身動きができなくなる


 もっとも柔術の場合、畳一畳の広さがあれば稽古ができるとはいえ、相手がいないと稽古にならないのが難点である。この点、手裏剣術や居合などは、一人稽古ができるのが利点だ。

 ちなみに柔術の一人稽古の方法として、私が旧師から教えていただいたのは木太刀を用いた素振りや手之内の鍛錬であった。特に「骨法」という捕手業の稽古(奈良時代から伝わるナゾの武術ではない、念のため・・・)では、木太刀での手之内の締めを十分に稽古するよう教えていただいたものだ。

 居合・抜刀術も、最低限畳二畳の広さがあれば座業の稽古ができる。私も自宅での稽古では、もっぱらダイニングで座業を遣う。天井の高さも重要なのだが、たとえば立合の業でも、斬上げの抜き打ちなどは狭い屋内でもできるものだ。同様に空手道の稽古も、その場基本であれば、畳一畳の広さで稽古ができるというのは、言わずもがなであろう。


 ところで最近、『剣術修行の旅日記 佐賀藩・葉隠武士の「諸国廻歴日録」を読む』(永井義男著/朝日新聞出版)という本をたいへん興味深く読んだ。本書の書評はまた別の機会に書こうと思うが、読んでいてなるほどなと思ったのは、江戸時代の道場・稽古場の「狭さ」である。

 個人の剣術道場の稽古場は、二間×四~五間が多く、狭いところでは二間×三間程度(!)というものもある。藩校の稽古場も一部を除けば多くが三間×五間程度である。この広さの稽古場で、現代の剣道とほぼ同じ防具と竹刀を用い、五人や十人、はたまたそれ以上の人数で地稽古をしているというのだから、たいへん興味深い。

 床についても板張りなどは一部の藩校や江戸の有名大道場のみの例外的なもので、多くの場合、土間かあるいは土間に筵や藁を敷いたものだったという。


 現代の手裏剣術者は、稽古場の環境や広さに頭を悩ますことが少なくないが、往時の武術人たちが意外に狭く質素な環境で稽古をしていたと思うと、あまり贅沢はいえないし、与えられた環境の中で業を磨く工夫が大切ではないかと思った次第である。

 (了)
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夜、剣を打つ/(手裏剣術)
- 2014/07/19(Sat) -
 今日は所用で稽古を休むため、金曜の夜は自宅にて、いつもよりも長めに稽古をし、剣を打つ。

 正座の座打、跪坐の座打で、じっくりと打剣。的までの間合が二間しかないが、感覚的には下半身が完全に固定され、上半身の体幹の動きも活かしづらい正座の座打での二間は、立打での三間に相当するように思う。それでも間合が近いため、あえて的に刺さず、剣が立ったまま的に当たるように打つなどの工夫も加える。

 また骨盤の水平方向の動きについては、私は現在、立打ちでは順体での打剣を主体にしているためあまり重視していないのだが、正座の座打のような負荷のかかった状態でこの動きを加えることで、打剣の速度=威力が大きく変化することは事実であり、立打ちの際、特に逆体での打剣では大きな意味をもってくるのではないかとも考えている。これについての考察は、今後の課題としたい。

 居合は、形と試物を少々。

 (了)
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6月の映画短評/(映画)
- 2014/07/13(Sun) -
 6月って・・・、何の映画見たんだっけ・・・、というぐらいボーっとしていた。

 歳はとりたくないものですな。


【評価】
★★★(必見)
★★ (まずまず)
★  (ヒマならどうぞ)
(初) (初見の作品)

■『ゼロ・グラビティ』/★(初)
 今、この文章を書くまで、主演はヒラリー・スワンクだとばかり思っていたのだが、サンドラ・ブロックだったのだね・・・。ちなみに私は、西郷輝彦とあおい輝彦の区別が、いまだにちょっとあいまいだ(爆)。シチェーション一点もので、最終的にヒロインが生還できることは最初から分かっているだけに、この手の映画は3Dで映画館で見ないと意味がないかも。

■『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』/★★(初)
 原作小説の大ファンとして、映画の第一作目は、札幌と埼玉の映画館で二度鑑賞。第二作目も、安定のできばえ。古きよき昭和の映画を彷彿とさせる絵作りが微笑ましい。小説とはまた一味違った、役者とキャラクターとのマッチングも安定してきた。次はぜひ、『消えた少年』を映画化してほしい。

■『スノーピアサー』/★(初)
 永久機関の列車の中で生きる人類の、階級闘争という設定がユニーク。車両の扉を開けるごとに、新たなステージが現れるというのは、「バイオハザード」風のゲーム的感覚か。『ナルニア国物語』シリーズの白い魔女でおなじみ、ティルダ・スウィントンの怪演は必見!

■『県警対組織暴力』/★★
 監督・深作欣二、主演・菅原文太&松方弘樹という設定がすべてを物語る、東映実録ヤクザ映画の一本。情婦の池玲子に挑みかかる弘樹の、「ドォー!、ドォー!」には爆笑。70年代って、こういう時代だったんだよなと、しみじみ思う。ラストの弘樹&文太の惨めな死に様と、のうのうと社会の上層で生き残る梅宮辰夫のラジオ体操風景が対照的。

番外
■「春風亭小朝独演会」/★★★
 この人には、なんとなく「金髪豚野郎」(海老名泰葉談)というイメージがあり、またどちらかというと軽薄な芸人のイメージがあって敬遠してきたのだが、落語に造詣の深い友人から、「一度、高座に行ってみるべき!」と勧められて独演会へ。いやはや、先入観で敬遠していた私が馬鹿でした。意外なほど気っ風のいい江戸言葉といい、洒脱なくすぐりといい、脱帽です。

 (おしまい)
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平成26年度 翠月庵夏季合宿/(手裏剣術)
- 2014/07/08(Tue) -
 今年で3回目となった、手裏剣術伝習所 翠月庵の夏季合宿。今回は「中・長距離打剣と相対稽古」をテーマに、2日間みっちりと手裏剣を打った。

 1日目は、中・長距離打剣として、5~8間の打剣を稽古した。

 当庵では、武術的な手裏剣術の稽古として、一義的な意味のある5間までを基本的な教習体系として編纂しており、それ以上の間合については、各人の研究課題としている。

 私自身の成果としては、6~7間の打剣の稽古を重点的に行うことで、結果として5間間合での打剣の精度・威力が相当に向上したように感じられた。いずれにしても、手裏剣術の稽古では、想定する間合にプラス1~2間の間合での稽古が重要になるのはいうまでもない。

 中・長距離打剣の稽古に続いては、剣術、抜刀術を稽古。

 続いて、Y氏とK氏の目録総見を実施した。両名とも、当庵での稽古年数すでに5~6年におよび、打剣もそれぞれ最大で7~9間を通す業前である。併習業である剣術・抜刀術の稽古にも充分精進していることから、今回、翠月庵の手裏剣術目録を印可した。

 以上で合宿1日目は終了。

 宿に戻り、夕食そして小宴。旨い酒と、心づくしの肴を楽しみながら、武術談義に花が咲く。


 2日目。

 午前中は、まず1時間ほど打剣をし、昨日の復習を。その後、手裏剣術の相対稽古を行う。

 「手裏剣の当て方」「避け方」についての口伝伝授のあと、実際に模擬手裏剣を使っての稽古。さらに知新流における「打出目付之事」「手裏剣留打ち様」などを解説、稽古する。

 続いて翠月庵の刀法併用手裏剣術の形について、模擬手裏剣を使い相対稽古を行う。実際に相手を立てることで、打剣の目当てや間合、拍子などの課題がより鮮明になってくる。

 午前中の〆は、古流の脇差を使った飛刀術を稽古。円明流の「手裏剣打ち様」、未来知新流の「飛竜剣」、堤宝山流の「飛龍迫」「臥龍迫」、心形刀流の「三心刀」などの形を、実際に相手を立て、脇差を模した模擬刀を打って稽古をする。

 昼食後、午後からは吹き矢を体験。その威力、精度に驚きつつ、手裏剣術とはまた一味違った武具の稽古に一同集中、楽しむことができた。


 こうして手裏剣術三昧の2日間は、あっという間に終了。

 今回も実に充実した2日間となった。


■合宿日程
1日目
11:00 現地着、昼食
12:00 設置開始
13:00 手裏剣術稽古:各自打剣(ウォーミングアップ)
14:00 手裏剣術稽古:中・長距離打剣(五間以上の打剣)
16:00 剣術稽古
  :30 抜刀術稽古
17:00 目録総見
  :30 終了
19:00 夕食・小宴

2日目
09:00 手裏剣術稽古:各自打剣(1日目の復習)
10:00 手裏剣術稽古:相対稽古(基本/当て方と避け方)
11:00 手裏剣術稽古:相対稽古(刀法併用手裏剣術の形に基づいて)
  :30 手裏剣術稽古:相対稽古(古流の形/飛龍剣、飛龍迫、臥龍迫、三心刀)
12:00 昼食
13:00 吹矢講習
14:30 撤収
15:30 解散

 (了)
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平成26年度夏季合宿アルバム/(手裏剣術)
- 2014/07/07(Mon) -
 今年も夏季合宿を、無事終えることができた。

 とりあえず、速報的に写真のみにて振り返ると・・・。


標的
▲今回、長距離打剣をするため、的とその養生は厳重に


七間打ちの稽古
▲七間直打


夕食
▲稽古後の夕食


純米酒
▲有機純米酒で乾杯。武術談義に花が咲く


武具
▲稽古に使う武具


模擬手裏剣
▲筆を利用した模擬手裏剣


刀法併用手裏剣術の相対稽古
▲刀法併用手裏剣術五本目「鞘之内」の相対稽古


無冥流吹き矢
▲合宿の〆は、無冥流の吹矢術講習会


吹き矢講習
▲狩猟用クラスの強力な吹矢の操作を学ぶ。間合は八~九間


五間
▲初めて吹矢を扱う初心者の私でも、間合五間で、標的にした軍手にこれだけ集められる


8間
▲八間で寸的に的中。手裏剣術とは比べ物にならない、高い精度である。刺さった矢も、畳が持ち上げられるほど深く刺さる。見た目以上に強力だ


旅の終わり
▲充実した2日間が終わり、帰路に着く


 合宿の詳細な稽古報告は、また改めて・・・。

 (了)
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合宿前夜/(身辺雑記)
- 2014/07/05(Sat) -
 本日から2日間、毎年恒例の夏季合宿です。

 手裏剣術三昧の2日間を楽しみましょう。

 今年のテーマは、「中・長距離打剣と相対稽古」です。

1308_抜刀術相対稽古
▲昨年の合宿での、抜刀術の相対稽古。今年は、手裏剣術の相対稽古を重点的に行います

 (了)

 
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