さらば鬼平/(身辺雑記)
- 2016/12/06(Tue) -
 先週末放映の『鬼平犯科帳 THE FINAL』で、中村吉右衛門版の鬼平が、28年の歴史に幕を下ろした。

 ドラマはもちろん、原作のファンでもある立場からするとさみしい限りだが、はじまりがあれば終わりもある。止むをえまい。

 そんな気持ちで見ているからかもしれないが、前後編による最終話となった「五年目の客」と「雲竜剣」は、いずれも役者たちの芝居はもとより、セットや劇中のちょっとした小物に至るまで、とても丁寧に作られていたように見えた。


 白鸚、ヨロキン、丹波など、歴代の名優が演じてきた長谷川平蔵だが、我々40代後半のファンにとっては、吉右衛門こそが長谷川平蔵そのものだ。

 吉右衛門版鬼平の記念すべき第一回である「暗剣白香梅」などを改めて見返すと、40代半ば、男盛りの吉右衛門が、同年齢の長谷川平蔵を生き生きと演じている。

 それから28年。

 吉右衛門も72歳となり、もはや40代の長谷川平蔵を演じるのは、限界ということであろう。

 まさに、

「ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。 世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」

 というところか・・・・・・。



 先月、親しい人にご招待をいただき、国立劇場で「通し狂言 仮名手本忠臣蔵 第二部」 を見ることができた。

 七段目「祇園一力茶屋の場」で、大星由良之助を演じたのが吉右衛門である。

 歌舞伎鑑賞として邪道であるのは重々承知の上だが、私はそこに、リアルな長谷川平蔵をみるような気がした。

 劇場で目の前にする吉右衛門の芝居の迫力、存在感はまさに比類のないものだった。

 もはやブラウン管・・・、いや液晶画面の向こうに新たな長谷川平蔵を演じる吉右衛門の姿を見ることはできないが、劇場に行けばこれからも、人間国宝二代目中村吉右衛門の芝居をじっくりと、心ゆくまで堪能することができる。

1611_国立劇場


 なにはともあれ、さらば鬼平。

 ありがとう、播磨屋!

 (おしまい)
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