平成28年を振り返って/(武術・武道)
- 2016/12/31(Sat) -
 親も無し 妻無し子無し版木無し 金も無けれど死にたくも無し
                                    (林子平)



 さて、平成28年も今日まで。

 昨年末、

 「この1年を振り返ってみると、周易でいえばさながら「水雷屯」といった趣の一年であった」

 と書いたが、この1年は屯卦どころではない、難卦である「山地剥」といった感じの過酷な年であった。

 末期がんの闘病の末5月に母が死に、出版業界は空前の大不況、11月には大口の出版元が倒産して多額の原稿料が不良債権となってしまうなど、仕事や私生活は本当に厳しい日々であった。

 おかげで、これまで多少ながらも積み立ててきた貯蓄は、今年で完全にゼロ円となってしまったわけだが、それにしても五十路目前にして、自営業で貯蓄額ゼロというのは、なかなか過酷かつ絶望的な状態だぜ(苦笑)。

 もっとも不幸中の幸いは、所帯を持っている人たちと比べると、子供の養育費や住宅ローン、車などといった借金もまったく無いことである。

 貯蓄は無いが借金も無いということで、私の生活のプライマリバランスは、これはこれで取れているのであろう(爆)。

 なにしろ親も妻も子も、金も版木も借金も無い六無斎ならぬ七無斎ゆえ、とりあえず我一人、借家と稽古場の家賃を払い、米と味噌を買い、月に1度本部へ稽古に行き、週に1回電車に30分乗って行田の稽古場に通い、必要最低限の武具や資料を揃え、破れた稽古着を繕い(最近裁縫が上達した)、日々稽古に励み、たまさかには好きな本を買ったり芝居や演芸を鑑賞し、紙パックの不味い日本酒や安ウイスキーをカブカブ飲むくらいの金と時間は工面できている。

 おかげで正月休みも、今回は大晦日と元日の2日間のみで、1月2日からはもう原稿書きをはじめなければならないのだが、仕事が無いよか、ましということだろう。


 ・・・・・・とまあ、仕事や私生活はなんともキツい年であったのだが、武術・武道に関しては、昨年に引き続きたいへん充実した1年であった。

 柳剛流については、2月に師より切紙をいただき、自分の稽古場にて門弟へ指導することをお許しいただけたのは、たいへん光栄かつうれしい出来事であった。

 また、翠月庵筆頭のY氏に加えて、居合や剣術を20年以上も稽古し、すでに自分の教場を複数運営している高段者のU氏や、手裏剣術と古流武術の有段者であるM氏と、2名の熟練した武術家が柳剛流を学ぶために新たに当庵へ入門してくれたのは、柳剛流の継承と普及を願う者として、本当に心強いことである。

 自分自身の修行という点では、師より、柳剛流はもとより八戸藩伝神道無念流、また昔からの憧れであった柳生心眼流、さらに荒木流抜剣などのご指導をいただき、加えて伝書の釈義や有職故実に関しても直接お教えをいただけるなど、35年に及ぶ自分の武術・武道人生の中でも、類を見ないほど充実した稽古や学びが得られた1年であった。

 一方で、手裏剣術と空手道については、今年はあまり稽古に重きを置くことができなかったのが反省点であり、来年の課題でもある。

 来年も引き続き、柳剛流をはじめとした武芸の実技研鑽と調査・研究を積極的に行っていくとともに、手裏剣に関しては年明け4月に毎年恒例の苗木での演武があるので、1月からはもう少し根を詰めて稽古せねばと考えている。


 さて、平成28年も、たくさんの方のお世話になりました。

 我が師である国際水月塾武術協会の小佐野淳先生には、実技から有職故実にいたるまでご指導とご助言をいただき、また稽古後には毎回楽しい酒席に同道させていただくなど、たいへんお世話になりました。来年も引き続きご指導を賜れること、光栄に存じます。

 また、全国各地から集まる水月塾の師範方や本部の先輩方にも、稽古にてたいへんお世話になりました。ありがとうございます。

 戸山流居合抜刀術美濃羽会中津川稽古会のO先生と同稽古会の皆さんには、10年来変わらぬ心暖まるお付き合いをいただき、本当にありがとうございました。次は春の演武会で、お会いしましょう。

 柳剛流について、 『増補・改訂 宮城県 角田地方と柳剛流剣術-日本剣道史に残る郷土の足跡-』の著者である南部修哉様、剣術流派調査研究会の辻淳先生、そして武術研究家のS様には、貴重な史料やご助言を賜りました。ありがとうございます。

 手裏剣を存分に打てる貴重な稽古場を提供してくださる家主様にも、心よりお礼申し上げます。

 本ブログを読んでくださる読者の皆さんにも、感謝申し上げます。ありがとうございました。

 そして今年も、身近で私を支えてくれた「S」へ、ありがとう。

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 それでは来年も引き続き、手裏剣術伝習所 翠月庵/国際水月塾武術協会埼玉支部を、宜しくお願い申し上げます。

 まずは皆さま、良いお年をお過ごしください。

 翠月庵主/国際水月塾武術協会埼玉支部代表
 瀬沼健司 謹識 

 (了)
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