『柳剛流剣術古武道史 千葉・東金編』の速報的感想/(柳剛流)
- 2017/01/11(Wed) -
 昨日、平成27年3月に発行された剣術流派調査研究会の辻淳先生著『柳剛流剣術古武道史 千葉・東金編』を、ようやく入手した。

 お恥ずかしいことに本書の発刊については、昨年末まで知らなかったのだが、当庵で柳剛流を稽古している幽玄会(http://www.geocities.jp/spirit_vision_lesson/index.html)代表の宇田川氏に教えられ、ようやく手に入れた次第である。

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▲本書は直接購入するほか、国立国会図書館、千葉県成東図書館、和歌山県図書館、鹿児島県図書館の4か所で閲覧できる


 本書は、『幸手剣術古武道史』、『戸田剣術古武道史』など、柳剛流に関するたいへん貴重な研究成果を次々と発表されている辻先生の新著であり、書名の通り、東金地域を中心とした千葉県における柳剛流の伝承についての調査をまとめたものである。

 まずはざっと読んだ上で目を引いたのは、「編纂にあたっての序」として、柳剛流という流派名の読み方について触れている点である。

 「柳剛流」の読み方については、一昨年、私は本ブログにて最初の疑義を示したうえで、仙台藩角田伝柳剛流の伝承においては、師である小佐野淳先生や、『増補・改訂 宮城県 角田地方と柳剛流剣術-日本剣道史に残る郷土の足跡-』の著者である南部修哉氏が指摘している通り、「りゅうごうりゅう」ではなく「りゅうこうりゅう」であるということを度々述べてきた。

 その際、辻先生にもお話しをうかがい、「岡田十内伝においても、『りゅうこうりゅう』と呼ばれていた」というご指摘をいただいたことについても、本ブログの過去記事に記している。

 こうした経緯も踏まえた上で、今回、辻先生の新著冒頭において柳剛流の読み方について、岡田家の関係者の方の証言に加え、複数の史料も示された上で、「往時から、りゅうごうりゅうではなく、りゅうこうりゅうと呼ばれ、『柳行流』や『流行流』といった当て字も用いられていた」ということが示されているのは、武道史的にもたいへん大きな意義があると思われる。

 加えて、以前のウィキペディアにおける柳剛流の解説記事の誤り(現在のウィキペディアの柳剛流の記事は、加筆者によって非常に正確な記述に修正されている)などについても触れるなど、時事性の高い指摘がされていることも意義深い。

 また、柳剛流の実践者・伝承者という立場から本書を読むと、たとえば千葉県で伝承されていた柳剛流今関派の実技と、仙台藩角田伝との術技の共通性について確認できるのは、非常に興味深い。

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▲『柳剛流剣術古武道史 千葉・東金編』に掲載されている、柳剛流今関派の目録。柳剛流において、特に目録で教授される形については各派ごとに異同が多いのだが、千葉県に伝播した柳剛流今関派の目録における形の構成と名称は、仙台藩角田伝とほぼ完全に一致している


 以上、初見の感想を速報的に取りまとめたが、改めて精読した上で、本ブログで所感を報告したいと思う。

 (了)
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