柳剛流修行者必読の書/(柳剛流)
- 2017/02/17(Fri) -
 柳剛流を稽古する上で、私自身はあくまでも武術の実践者であることから、第一義は術技の研鑽、第二義が伝承、そして第三義が流儀の事跡に関する調査・研究と心得ている。

 まずは何よりも日々の稽古によって武芸としての「術」を高めることが重要であり、その上で流儀の正しい業=形と事跡を次世代に伝えていく責任があり、調査・研究は業と伝承の「正しさ」を担保するために必要なものだ


 そこで柳剛流を修行する者であれば、

 1.『日本剣道史 第十号 柳剛流研究(その1)』(森田栄/日本剣道史編纂所)
 2.『幸手剣術古武道史』(辻淳/剣術流派調査研究会)
 3.『戸田剣術古武道史』(辻淳/剣術流派調査研究会)
 4.『柳剛流剣術古武道史 千葉・東金編』(辻淳/剣術流派調査研究会)


 以上、4冊の史料は、必ず手元に置いて精読・未読すべきものである。


 1.の森田栄先生著『日本剣道史 第十号 柳剛流研究(その1)』は、言わずと知れた本邦における柳剛流研究の嚆矢であり、基礎的文献だ。

 今から44年前の昭和48(1973)年に刊行されたものだけに、最新の調査研究からするといくつかの誤謬があり、あるいは実技に関する記述では肯定できない点もみられるが、パソコンもインターネットもない時代にゼロから柳剛流について広汎な調査をされ、これだけの事跡をまとめられたのということには、本当に頭の下がる思いである。

 2.~4.の辻先生の著作は、昭和から平成にかけて行われた長年のフィールドワークの成果と最新の知見も盛り込まれた、関東における柳剛流の事跡を一覧することができる、たいへん貴重なものだ。

 特に辻先生の一連の著作には、武州から下総にかけての柳剛流の事跡が克明に記されているのはもちろん、切紙から免許まで、さらには殺活の伝書やその添え書きに至るまで、実にたくさんの各派柳剛流の伝書が、写真、翻刻、読み下し文付きで、豊富に掲載されているのが魅力だ。

 このため私のような柳剛流修行者にとっては、業の研鑽においてもあるいは流儀の事跡研究に関しても、実に学ぶことが多く、読むたびに新しい発見のある書物である。

 以上の4冊に加えて、

 5.南部修哉氏の労作である 『増補・改訂 宮城県 角田地方と柳剛流剣術-日本剣道史
   に残る郷土の足跡-』
 6.山本邦夫先生の『埼玉武芸帳―江戸から明治へ』


 以上の2冊をおさえておけば、柳剛流修行者に最低限必要な流儀の事跡に関する知識は得られるであろう。

 学術論文関係では、村林正美先生の『柳剛流剣術について』と『柳剛流剣術の特色』、大保木輝雄先生の『 埼玉県の柳剛流(1)・(2)』の4つは、最低でも目を通しておきたいものだ。



 稽古場で実技の研鑽にいそしみ、草庵ではこれらの書物を味読・精読しながら過ごす。

 柳剛流修行者として、これほど充実した時はない。

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 (了)
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