翠月庵の手裏剣術/(手裏剣術)
- 2017/03/04(Sat) -
 翠月庵で柳剛流を稽古しているU氏が、先週から手裏剣術の稽古を始めた。

 一般的に手裏剣術の稽古は、古流でも現代流派でも、的から1間程度のごく近い間合から稽古を始める。そして徐々に間合を遠くしていくのだが、多くの場合、2間から2間半ぐらいのところで直打では刺さらなくなり、稽古の壁にぶつかる。

 このため「間合3間」というのは、ある意味で手裏剣術者のメルクマールであり、10歩の間合からの「板金を打つ心」(フルパワー)の打剣で、八寸的に六割以上の的中が錬士相当・目録(成瀬関次師著『臨戦刀術』より)という実力の目安であると言われる。



 そこで当庵では、初学者にいきなり3間直打から稽古を始めてもらう。

 しかも、長剣と重心理論に基づいた無滑走2点打法で打ってもらうために、女性も含めてほとんどの人が、稽古初日から何本かは3間直打で手裏剣を的に刺すことができるようになる。

 もちろん、間合い3間で「板金を打つ心」、つまり武術的に意味のある速度と威力がのった打剣ができるようになるには、数年の稽古が必要だ。

 それにしても、生まれて初めて手裏剣を打つ人に、稽古初日から直打で3間を通させる稽古場というのは、本邦でもなかなか無いのではなかろうか?

 とはいえ実は、「術」の稽古の本質という点では、最初から3間を通させるというのは、それほど大きな意味はない。

 しかし、重心理論に基づいた直打というものを確実に体感してもらうためと、3間という間合に気後れしないメンタルを養成するために、当庵ではできるだけ早い段階で、3間直打を実現してもらいたいと考えているのである。



 U氏の場合、稽古初日から3間直打はもちろん、実践的な間合である2間での「板金を打つ心」に近い打剣でも、3割前後の的中がみられ、さらに当庵では中級者向けの翠月剣でも、刺中が見られたのは少々驚きであった。

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▲U氏による、逆体の構えから踏み込んで2間順体打ち、「板金を打つ心」での打剣


 もっともこれは、同氏が居合・剣術家として20年以上もの稽古を積み重ねてきていることから、体幹や運足、腕の振りなどが出来上がっているからこそであって、さすがにまったくの武術未経験者が、誰でも初日からここまで打てるわけではない。

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▲U氏の場合、長年の居合・剣術の修行で「体」と「力の統一の感覚」ができているので打剣の上達も早い



 さて、来月は恒例の苗木城での演武があるので、私もそろそろ気を入れて手裏剣を打たねばと思う、今日この頃である。


 (了)
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