柳剛流の一人稽古/(柳剛流)
- 2017/03/28(Tue) -
 言うまでもないことだが、柳剛流に限らず日本剣術の稽古は、仕太刀と打太刀による相対での形稽古が学びの根本になる。

 しかし、日々の稽古においては、必ず稽古相手がいるとは限らない。ことに毎日の自主稽古では、どうしても一人稽古の頻度が高くなる。

 それでは柳剛流の一人稽古は、どのように行うべきか?

 まず、一人稽古の根本となるのが居合である。

 柳剛流居合は、他流の居合同様、座位という困難な姿勢から運刀を学ぶためのものであるが、加えて柳剛流特有の体捌きによって、強靭な下半身の力と腰のキレを体得することに眼目がある。

 直心影流(直心柳影流)薙刀の達人・園部秀雄は、その著書『学校薙刀』(昭和11年刊)において、柳剛流の業を「跳斬の妙術」と評しているが、この「跳斬」のための地力を錬るのが柳剛流居合なのだ。

 「向一文字」「右行」「左行」「後詰」「切上」という、シンプルな5本の居合をとことん錬ることで、柳剛流の真面目である「跳斬の妙術」を得られるのである。

 これらの居合で錬った地力は、たとえば剣術の基本となる「右剣」と「左剣」、あるいは当流極意と呼ばれる柳剛刀6本の形においても、十全に発揮される。

 逆説的に言えば、居合稽古による強靭な下半身の力と腰のキレなしには、柳剛流剣術の様々な業=術を、十分に使いこなすことはできないのである。



 柳剛流の一人稽古において、居合と並んで重要なのは「備之伝」と「備十五ヶ条フセギ秘伝」だ。

 「備之伝」は、当流において初学者が学ぶ15種類の構えの教えであり、「備十五ヶ条フセギ秘伝」は目録者が学ぶ15種の構えに対応する必勝の構えの教えだ。

 一人稽古においては、まず「備之伝」において正しい構えの姿勢やそれぞれの構えの意味、その構えからのあるべき太刀筋を知る。

 次いで「備十五ヶ条フセギ秘伝」を学んだ者は、それぞれのフセギ秘伝について、彼我の関係と接点、そしてそこからのあるべき太刀筋を学ぶのである。

 さらにこの段階では、それぞれの構えを通して、いわゆる「気押し」「気組み」を十分に錬ることも重要だ。

1703_本部所蔵切紙
▲今井右膳の子・亀太郎の門人であった松嵜直義が山田健三郎に明治23(1890)年に伝授した柳剛流切紙(水月塾本部所蔵)。この伝書では備之伝が10種に簡略化されているが、角田伝や武州伝の各派では多くの場合、備之伝は15種が基本となる


 このように、柳剛流の一人稽古は、切紙の段階では居合と備之伝、目録以上の者はこれらに備十五ヶ条フセギ秘伝を加えた3つがが基本となる。

 その上で、剣術や突杖、長刀の各形について、単独での形の復習を繰り返すことだ。

 さらに補助鍛錬として、いくつかの当流独自の素振りを加えるとよいだろう。


 武芸の学びにおいては、単独稽古と相対稽古は車の両輪だ。

 どちらかに偏ることなく、それぞれが有益に関連しあうよう稽古をしていくことが重要であろう。

 (了)
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