跳斬之妙術/(柳剛流)
- 2017/04/25(Tue) -
 本日は県立武道館にて、柳剛流を中心に稽古。

 4月の演武では打太刀だったことや、翠月庵の稽古では指導する立場上、どうしても打太刀を執ることが多くなっていることもあり、ここでは仕太刀をじっくりと錬る。



 柳剛流の特長は言わずと知れた足斬り=「断脚之術」であるが、その運用として跳び違いを多用する。これをして当流にゆかりの深い無敵の女武芸者・園田ひでを師は、「跳斬之妙術」と評した。

 この「跳斬之妙術」を最初に錬る形が、切紙で学ぶ「右剣」と「左剣」である。

 しかもこれらの形稽古では、長さ4尺4寸2分の長大な木太刀を使い、激しく跳び違いながら斬撃を繰り出さねばならない。

 その際、単なる脚力で跳ぼうとすると、長大な木太刀に振り回され、あるいは床面の摩擦係数の低さのためにバランスを大きく崩し、ひどい場合は転んでしまうことさえある。

 さりとて、しっかりと正しい姿勢で跳び違わなければ、形の求める「術」そのものが成立しない。

 加えて屋内で足袋を履くと、これがさらに床との摩擦を減じ、足の踏み出し・踏み込みだけでは、到底、形で求められるような位置への跳躍をすることが困難になるのである。

 そこで重要なのが、「地面を蹴らずに跳ぶ」ということだ。

 そのためには、『五輪書』で剣聖・宮本武蔵が指摘しているように、「太刀の道を知る」ということが必須となる。

 流儀こそ異なるものの、柳剛流剣術の形において、「蹴らずに跳ぶ」ためには、この「太刀の道を知る」ということが欠かせない要諦なのだ。

 太刀の道を知り、それに心身が自然に従うからこそ、長大な木太刀を使い、非常に滑りやすく容易に踏み切ることのできない状況でも、身体を最大限に転換しながらの、「跳斬之妙術」が実現できるのだ。

 ことに、「右剣」や「左剣」、あるいは当流柳剛刀と称される「青眼右足頭(刀)」や「青眼左側頭(刀)」、「中合剣」といった形の稽古を通して、これらの点を明確に理解することができる。

 それではどのようにすれば、柳剛流における「太刀の道を知る」ことができるのか?

 実技の解説や口伝はweb上ではあえて秘するが、稽古場での実伝では余すところなく知識と技術、そして経験を、柳剛流の研鑽と伝承を志す全ての人と共有したいと思う。

 現在、柳剛流の剣士は、私たち国際水月塾武術協会が伝承する仙台藩角田伝をはじめ、紀州藩田丸伝、幸手剣道連盟伝等、すべての稽古者を最大限に数えても、全国でわずか30名足らずであろう。

 教え惜しみをしていては、遠からず流儀が絶えてしまう・・・・・・。



 稽古後半は、柳剛流長刀(なぎなた)に専念。

 ここでも、「蹴らずに跳ぶ」ことに留意する。

 私の場合、翠月庵が野天稽古場のため、どうしても普段の稽古では、地面の摩擦係数の高いところでの稽古になる。

 それに比べると、板敷の武道場で、しかも足袋を履いての長刀の稽古では、よりシビアに「蹴らずに跳ぶ」という動作を突き付けられるのだが、それがたいへん学びの多い稽古となるのだ。

IMG_0902_柳剛流剣術
▲柳剛流というと「断脚之術」に注目が集まりがちだが、実はその真面目は、身体の運用としての「跳斬之妙術」にある



 GW前の今は、外国人向けの旅行記事、政府医療政策関係者へのインタビュー原稿、温泉旅館の紹介記事、障害者総合支援法を解説する単行本の執筆、介護施設関係のルポルタージュ、子供向けの医学解説書など、多数の締め切りを抱えており、超多忙だ。

 このため今日の稽古も、小1時間ほどで切り上げようと思っていたのだが、結局、みっちり2時間以上の稽古となってしまった(苦笑)。

 稽古の〆は、荒木流抜剣、八戸藩伝神道無念流立居合、そして柳生心眼流の素振り28ヶ条の形を打つ。

 武術三昧のひと時を過ごし、心地よい春の夜風の中を帰路についた。

 (了)
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