”翠月庵の”刀法併用手裏剣術~その2 一本目「抜付」/(手裏剣術)
- 2009/06/27(Sat) -
 翠月庵の刀法併用手裏剣術の型、1本目は「抜付」となる。

 この型は、藤田西湖著『図解 手裏剣術』P146の「実戦に臨むときの第一」を本としている。

 動きを概説すると、

 1)抜き付け(左引き足)
 2)晴眼に構え打剣(2回)
 3)踏み込んで真っ向正面斬り
 4)納刀

 というものだ。

 藤田が示す型では、最初の抜き付けについては、「左足を後方に引きながらすばやく刀を抜き、」と示されるのみで、この抜き付けが、いわゆる横払いなのか、切っ先を最短距離で正中線に附けるのか、あるいは自分の左肩上から袈裟状に抜きつけるのか、詳しい記述はない。

 そこで当庵では、第一に、鯉口から一気に相手の正中線に切先を附ける運剣を基本とした。その上で、応用1として相手の右上腕を斬る「横払い」、応用2として相手の裏小手に下から斬付ける「切上」も併せて稽古している。

 なおこの型の第一のポイントは、引き足による抜刀である。この点をよく吟味して稽古しなければならない。

 次いで、抜刀後は、右足を引いて左半身になりながら左手で柄を取り、晴眼に構えながら右手で帯にたばさんだ手裏剣を取り、上段構えから2回、打剣する。その際、藤田の著書では、左手に構えた打刀の形態として、1)晴眼に構える、2)突き出して構える、3)垂直に構える、の3種を示し、「そのときの場合によっていずれにても可し。」としている。

 これについて当庵では、3)の垂直に構える、を基本とした。

 なぜなら、片手で打刀を保持するに当たり、もっとも負担が少ないのが、この種直に構える方法であるからだ。当然ながら、位で詰めるなら1)や2)の方がより適切であるし、相手との変化する間合いによっても、この形態は変化するものであると理解しておかなければならない。

 手裏剣の打剣について、「なぜ2回打つか?」という疑問があるかもしれないが、これは鍛錬型という観点から考えればよく、実際には、抜付→打剣→正面斬りと、最速・最短で攻めるのが道理というものであろう。

 さて問題は、打剣の後の正面斬りにともなう運足である。

 打剣終了時、我は左半身になっている。藤田の著書では、ここから真っ向正面斬りに移るにあたって、「踏み込んで斬り」と記してあるのみであり、図を見ても、一歩右足を踏み込んでいるのみである。

 しかし、実際に演武してみると、最初の抜付の位置を的から1間半からとした場合、最低でも2歩踏み込まなければ、的の位置に立つであろう相手に正面斬りを届かせることができない。

 この点に関しても、「鍛錬型である」とすれば、それほど厳密な運足の歩数を設定する必要はないとも言えるが、今ひとつ、しっくりこないところである。

 一方で、最初の抜き付けの位置を1間以内とすれば、抜付から打剣後、正面斬りの踏み込みが1歩で良くなるが、そうなると打剣距離が1間半程度ということになり、手裏剣術としての間合の醍醐味が薄れる。

 こうした観点から、当庵では、現在は起点の位置を的から1間半強とし、打剣位置が的まで二間となるようにして稽古しているが、運足と起点の問題については、今後も検討の余地がある。




▲翠月庵の刀法併用手裏剣術一本目、「抜付」。この動画の撮影当時は、まだ運足の
 問題など検討中だったので、打剣際の距離がやや近いこと、打剣の際の打刀の構え
 が左上段になっていることには注意されたし!


 いずれにしても、この型の要諦は、最初の抜付で相手をまず制し、その後、手裏剣で攻めて、最後の真っ向正面斬りで極める。つまり、発剣・打剣・斬りという3つの異なる動きをスムーズに連環させることを学ぶのが、第一の目的である。

(この項、つづく)

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