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ノブレス・オブリージュ /(武術・武道)
- 2018/11/21(Wed) -
 日産のカリスマ経営者であった、カルロス・ゴーン氏が逮捕されたとのこと。

 もはや「氏」ではなく「容疑者」である。

 倒産寸前の巨大自動車会社の経営を、V字回復させた手腕は産業史にその名を刻む偉業といって過言ではないのだろうが、今回の事件はまさに、「晩節を汚す」というものだ。

 一説では、今回の逮捕劇は、経営権を巡ってのクーデターだという話もあるようだが、会社の経費でベルサイユ宮殿で結婚式を挙げたり、仕事とは関係のない高級観光地の別荘の家賃を会社につけまわしたり、何十億もの報酬を虚偽記載していたというのが事実であれば、ゴーン容疑者には良き社会人としての「規範意識」が欠落していたということだろう。

  *  *  *  *  *

 思うに、企業に限らず、何らかの集団のトップやリーダーには、そうではない人たち以上に高い規範意識が求めらる。

 いわゆる「ノブレス・オブリージュ(身分の高い者は、それに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという道徳観)」である。

 翻って武術・武道の世界を見渡してみると、どうであろうか?

 40年近くもこの世界に関わっていると、たいへん高潔で心技ともに尊敬に値する先生方や先輩方がいらっしゃる一方で、師範や先生、先輩などとは到底言えないような人々の存在も見聞きしてきた。

 暴力沙汰、金銭トラブル、道場内での不適切な異性関係、いじめ、パワハラなどといった行為は、まことに残念ながら武術・武道の世界でも皆無ではない。

 だからこそ武術・武道の世界において、「師範」や「先生」と呼ばれる人には、門人とされる一般の武術・武道人以上に、高い規範意識=ノブレス・オブリージュが求められる。

 逆に言えば、そのような高い規範意識を遵守できない者は、「師範」や「先生」などと呼ばれる資格はないし、「師範」や「先生」と呼ばれるような立場にたってはならない。

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 己自身を振り返っても、国際水月塾武術協会の一門に加えていただき、未熟ながらも支部長を拝命し、柳剛流師範として門人への指導を許されるようになって以降は、それまでよりもより高い規範意識を自らに課し、日々の生活の中でそれを守るよう強く自戒するようになった。

 (おかげで、自宅外で泥酔することが無くなった・・・)

 なぜなら万が一、私が不祥事を犯してしまった場合、それは柳剛流の名誉を汚すことになり、国際水月塾武術協会の名に泥を塗ることになるからだ。

 流儀や会派の師範を拝命し、弟子をとって指導をするというのは、ことほどさように責任の重いことなのだと私は思う。

 カルロス・ゴーン容疑者逮捕の報を聞いて、改めてそんなことに思いを致した次第。


一、 武者身を脩るの儀なけは聊も争心可有事なかれ、争心有者は必喧嘩口論に及へは亦刃傷に至らんも難計、武道を学ぶ人は心の和平なるを要とす、去は短気我儘なる人は却而武道を知らさるをよしとす、大抵人之行ひ正敷して其上に武有はよし、行い正しあらさる時武有は人をも害あるのみならず、己をも害する事出来者也
~柳剛流起証文より~



 (了)
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