【新訳】早縄 活法 拳法教範図解~その2/(武術・武道)
- 2009/11/08(Sun) -
※本稿の凡例
 太字:原文意訳
 細時:意訳者の注


■体勢図解

 すべて柔術の教えは体勢(体の構え)が基本となる。稽古をするときには常に、体勢が崩れたり乱れないようにすることが重要である。これは心得だけではなく、実際に体勢作りができていないと、不意に技を掛けられたりした際に、その効果は発揮できない。

 体勢の法にいわく、まずまっすぐ立ち、口を結んで胸をひらく。両手をたらして親指を手のひらに握りこみ、腰を張り下腹に力を入れて十分に気合を込めて構える。これを「真之位 その一」と称する(図1)。
無題2
▲図1 「真之位 その一」


 歩くときも稽古をするときも、必ず左足から進みだすこと。


   市村いわく
 
     親指を握りこむ形の拳形は、柔術の当身ではよく見られるものである。この場合
    の当身は、あくまでも投げ技や関節技につなげるための「仮当て」であり、空手道
    のような一打必倒を目的とするものではない。そこで、むしろ親指をとられて折ら
    れることを警戒し、このような拳形となる。その際、あまり深く親指を握り込みすぎる
    と、指の付け根の関節を痛めるので、浅めに握りこむこと(写真1)。

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    ▲写真1 親指を握りこんだ拳形


     また、この場合、当身の後、すぐに投げや固めに移れるよう拳はあまり固く握らず、
    腰の切れで体幹の重心を送るようにして当てることがポイントである。


 また、拳法の形は警察官のための形なので、サーベルを装備して稽古すべきところだが、町道場などでは木刀を使う。

 木刀が必要になる形は、1本目の「柄取」、2本目の「柄留」、三本目の「柄搦」、以上3つの形である。また4本目の「見合取」では、受け方の使う武器として小太刀の木刀を使う。

 柔術は「速気」、「気合」、「勇気」の3つの「気」をもって、発声(掛け声)を掛けることが大切である。掛け声は、自分(取り、形の中で勝つ側)からは「陽の声」として「エイヤ」と発声する。一方で相手(受け、形の中で負ける側)は「陰の声」として「オー」と答える。

 我の発する「陽の声」は、形を演武する際、相手と向かい合い、立ったまま相手を注視して下腹に力を込めて十分に「勇気」を満たし、「エイヤー!」と口を開いて声を出す。これを受けて、相手も同様に我を注視しながら下腹に力を込め、「オー!」と発声する。

 掛け声というのは、「気合」が増すものであり、武術ではたいへん重要な点なので、ここに改めて書いておくものである。もちろん流儀によっては声を出さない「無声の掛け声」もあるのだが、ことに初心者については、有声の掛け声が重要となる。

 いずれにしても武術には、「エイヤ」、「ヤー」、「トー」、「エイー」など、剣術、柔術、居合、棒、なぎなた、そのほか投げを打つ、当身を打ち込むにも、発声をするべきものである。


    市村いわく

     現代の武術・武道稽古において、「なぜ、気合(掛け声)が必要なのか?」、「ボクシン
    グやキックボクシングでは掛け声をしながら打撃はしないが?」、などという質問を初学
    者から受けることがある。さてその際、いったい何人の指導者が、その合理性を分かり
    やすく説明することができるだろうか? 

     「ぐだぐだ言わずに、でかい声を出せ!」という指導では、指導者のお里が知られると
    いうものである。

     100年以上前の段階で、すでに同様の質問に対する回答を、まず武術指導書の冒頭
    にもってきた、井口ら先人の指導方針に想いをいたすのは、われわれ平成の武術・武道
    人の務めでもあろう。

     なお、気合(掛け声)の武術的な意義については、本ブログのバックナンバー、「気・剣・
    体の一致のための、術技としての気合」、

    http://blog.goo.ne.jp/bugaku-club/e/95c40eeaf9c026b81f1b75b9c16d69d1

     を参照されたし。

(つづく)

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