小柄型手裏剣(改)=「翠月剣」への期待/(手裏剣術)
- 2010/10/19(Tue) -
 過日の特別稽古の後、寓居で無冥流・鈴木崩残氏と、上尾で最も旨い焼き鳥店であり、その看板メニューである“かしら”の旨さは鬼神をもひしぐと言われる(?)「やきとり市場」で、かしらをもりもりと食べながら談笑した。

 その際、刀法併用手裏剣術専用の小柄型手裏剣についての話となった。

 本ブログ読者の皆さんはすでにご存知かと思うが、昨年からほぼ1年がかりで検討してきた翠月庵の刀法併用手裏剣術専用手裏剣のトライアルでは、威力・精度・コストなどを総合的に判断して、とりあえずはフライングスチール社製の軽量剣とした。

 しかし私自身、実はこの小柄型手裏剣には、いまだにこだわりがある。

 また、ご厚誼をいただいている複数の武術・武道関係者のみなさんからも、「あの小柄型の手裏剣はいいですねえ・・・」との声を、いくつもいただいていた。

 では、なぜ小柄型を採用しなかったのかといえば、その形状からどうしても、とっさの際の打ち心地に不安があったからである。

 この小柄型剣は、長さ230mmから240mm、刃幅10mm、厚さ5mm。重量は約88gから90gというもので、ようするに平べったい短刀形となっている。このためフライングスチール社製の断面四角形の剣に比べると、とっさに手にとって打つ際、手の内の保持のため、どうしても一瞬、手間取ってしまうのである。

 その点、フライングスチール社製断面四角形の剣の場合、断面が正四角形であることから、とっさに手に取って多少雑な手の内で打っても簡単に刺さるため、剣術や抜刀術と併用した際でも、刺中率の低下が少ないのである。


 基本的に三間以内の接近戦で用いる事が前提の刀法併用手裏剣術用の剣としては、この「一瞬」の間の必要性と雑な手の内では刺さらないという「クリティカルさ」は、どうにも致命的なのである。

 こうした理由で、形状や雰囲気、コスト面でも最上級であったにもかかわらず、小柄型剣はフライングスチール社製の剣に、一歩譲ってしまったわけだ。


 そんななか、崩残氏との談笑の中でふと思ったのが巻物をすれば、手の内が容易になるのではないか? ということであった。

 そこでさっそく、崩残氏がプロトタイプを作成してくださった。その詳細は、とりあえず無冥流・松の間のホームページで速報されている。

無冥流・松の間↓
http://www.mumyouan.com/k/matunoma.html

 私もまだ、手にとってはいないのだが・・・、

 期待大である!

 「翠月剣」という名前はいささか面映いけれども、無冥流と翠月庵の共同研究によるオリジナルの手裏剣という点でも、この「翠月剣」の存在意義には、大きな期待がよせらる。

 改めてまとめると、この「翠月剣」の特徴は、以下の点にある。

・生産コストが非常に安価であること
・一般的な棒手裏剣に比べると、比較的簡単に製造ができること
・(現実的にはありえないが)実用時には片刃の部分に「刃」を付けることで、殺傷力が飛躍的に向上すること
・形状が、日本武術的な美的センスに富んでいること
・近距離から中距離(5~6間)まで直打が可能なこと
・平たい形状から、携帯性に優れていること
・現存する古流および現代の手裏剣術流派・会派で、同様の形の手裏剣を常時使用している団体が皆無であること

 などである。

 このように、翠月剣は、生産性・コスト・実用性、さらに日本的な美的観点、独自性という点からも申し分のないものである。

 ただひとつ、その平らな形状からくる「とっさの打剣時の、手の内の不安定さ」さえ解消されれば、これぞまさに武学倶楽部埼玉行田道場時代から現在に至るまでの、翠月庵と無冥流の共同研究の一大成果となるはずである。

 武術・武道においては、たんに独自性があれば良いというものではないが、一方で独自性のない流儀や会派は、その存在意義がないこともまた事実である。


 「特性の有無で物事の存在価値は測りかねますが、凡そ武道に関して言えば、特質もなければ理論もない流派の存在は無価値に等しいものであります」(玄制流空手道・祝嶺正献師)


 こうした意味でも、もし今回の小柄型手裏剣(改)=翠月剣が、真に実用性と生産性と用の美を備えた剣となるならば、僭越ながらそれを使う一連の手裏剣術体系を、あえて「翠月流」と名乗る事こともまた、やぶさかではないのかもしれないと夢想している。

(了)

追記

 これを書いている今、丁度、無明庵より、翠月剣が到着した。これから、実際に手に取ってみるところである。

追・追記

 これは! 手溜りの感覚が、巻物があるだけでまったく違う。しかも、巻物が厚すぎると携帯性が損なわれるのだが、最小限になっているので、この点も問題はない。

 すぐにでも実際に打って、試さねばならぬ・・・・。

追・追・追記

 急遽、1・5間で、30打ほど打剣。自宅では、距離も回数も、これが限界(笑)。

 手の内の感覚(アバウトでもO.K.かどうか? 手溜りの感覚は? など)はかなり良い。あとは、今週の稽古でたっぷりと打ってみるのみであろう。







 
スポンサーサイト
この記事のURL | 手裏剣術 | ▲ top
| メイン |