初冬雑感/(身辺雑記)
- 2010/12/19(Sun) -
 ここしばらく、本ブログの更新が滞っていたのには訳がある。

 先月、いろいろと訳ありの身内が中風で倒れ、やれ緊急入院だ転院だ、リハビリだ介護だ、誰が面倒を見るのだ、金はどうするのかなどなど、心身ともにてんてこ舞いであった。

 おまけにここ数日前まで、自分自身が3年ぶりに風邪をひいてしまい、数日間、寝込んだりと、なかなかに厳しい日々であった。

 人間、健康が第一である。


 さらに、12月といえば、われわれ出版業界人は、いわゆる年末進行というやつで、なにかと作業をあおられてしまう時期。

 以前ほど、締め切りが前倒しにされることはないけれども、逆に「年内に材料を渡しますから、年明けまでに原稿を」という仕事が増えた。

 結果、今年の正月は大晦日と元日以外は、仕事かなとも思っている。ま、1月2日は日曜だから、休んでもいいか・・・。


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 武術・武道では、礼法はなくてはならない教えであり、「礼」は実態をともなった「技」である。

 礼法については、各流儀や各会派、地域(旧藩・天領)によっても様々に異なるものであり、瑣末な違いをあげつらって、「○○は正しいが、××は間違い」というのは、たんなる揚げ足とりだ。

 重要なのは、その礼法に込められた、その人の「心」である。


 業前や礼節の形はまあまあだが、なぜか回りの人を不快にさせたり、人付き合いが長続きしないという者が、武術・武道界にもいる。

 こうした人というのは、形だけは礼を尽くしているようでも、そこに「真心」や「気配り」、「思いやり」が込められていないのが、おのずから現れてしまうのであろう。

 武術・武道人というのは、目に見えるものはもちろん、目に見えない気配や勘働きさえも対敵の心法として普段から重視しているので、こうした「形だけの礼を尽くす」不貞の輩を、本能的に見破ってしまうものなのだ。

 逆に言えば、礼の形式にかなってはいなくても、「誠意」や「熱意」、「気配り」のある行動は、それとして他者に伝わるものである。そうであれば、後は形式を覚えるだけでよい。

 このように、礼法で問われるのは、本質的にはその者の内面の動きである。

 ゆえに心得あるまっとうな武術・武道人から、「無礼な!」っといわれる者というのは、意識してか無意識のうちにかは別として、その者の内面に相手に対する「敵意」や「軽蔑」、「侮りの心(今風に言えば、上から目線ですな)」などが表出しているのであろう。

 「礼は異を弁(わ)かつ」とは、『礼記』の箴言である。

 分かつべき異に心が至らない未熟、言い換えれば「無神経さ」や「傲慢さ」をいかに正すかも、武術・武道の礼儀作法の役割であろう。


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 11月からはじめた、柔術系体術再入門後の稽古は地道に続けている。

 立場上、人様に教えることが多くなってきた昨今、初心に帰って、技を一から学ぶというのは、たいへん心地よく、「これが学ぶヨロコビというやつなのだよなあ」と、しみじみ。稽古に向かう道すがらの、「不安とときめき」は、自分の稽古場に向かうときには味わえない、ちょっと懐かしいものだ(笑)。

 掛稽古や打ち込み稽古を延々と繰り返し、足がもつれ息が上がると、「これはいかん、フィジカルが落ちとる・・・」と改めて己の加齢を知ると同時に、「これが稽古なんだよなあ」とも実感。師範のご指導も、明晰で分かりやすく、よい学びの場に出会うことができたと思う。

 いやまったく、体術の稽古は楽しいものだ。


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 某古流(と称しながら実は現代流派)居合会派のWEBをつらつら見ていたら、またまた小学生に斬りの稽古(試斬)をさせていた。「大人でも斬り損じることもある畳表を、見事に両断、云々」との、無邪気かつ能天気なコメントを見ると、同じくやっとうをたしなむ者としては、暗澹たる気分になる。

 斬りの稽古が一般的になってきたのは悪いことではないが、指導する者は、それを学ばせる弟子の「時と場」を慎重に吟味しなければなるまい。

 そういう意味でこれまでも何度も指摘してきたが、小学生の試斬など、武術・武道の稽古としては言語道断であり、百害あって一利なしである。

 斬りの稽古が、単なる客寄せや、稽古者やその保護者のためのエンターテイメントになっているのであれば、それは「居合術」ではなく、大道芸の「居合い抜き」にすぎない。

 そして大道芸としての「居合い抜き」が、武術や武道でないことは、言うまでもない。


(了)
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