春の憂い/(身辺雑記)
- 2011/04/01(Fri) -
 新年度である。

 まあ別に年度がかわったからといって、何がどうということはない。

 一方でこの季節は、出会いと別れの時期でもある。

 そんな日には、秋水の腕を磨くよりも、詩でもつぶやきながら一献かたむけているのがいい。



邯鄲少年行 (高適・作)

邯鄲城南遊俠子    邯鄲城南 遊侠の子
自矜生長邯鄲裏    自ら矜る 邯鄲の裏に生長するを
千場縱博家仍富    千場 博を縦にして家仍ほ富み
幾度報讐身不死    幾度か讐に報ひて 身死せず
宅中歌笑日紛紛    宅中の歌笑 日に紛紛
門外車馬常如雲    門外の車馬 常に雲の如し
未知肝膽向誰是    未だ知らず 肝胆 誰に向かって是なるかを
令人却憶平原君    人をして却って 平原君を憶はしむ
君不見今人交態薄  君見ずや 今人 交態薄く
黄金用盡還疎索    黄金用い尽くさば 還た疎索たるを
以茲感嘆辞舊遊    茲を以て感嘆して 旧遊を辞し
更於時事無所求    更に時事に於て 求むる所無し
且與少年飲美酒    且らく少年と美酒を飲み
往來射猟西山頭    往来射猟せん 西山の頭


  邯鄲の町の南で育った男伊達
  自慢は生まれも育ちも、下町であること
  博打場を渡り歩いても、負け知らず
  何度か義のために殺し合いもしたが、こうして生きている
  家ではいつも酒盛りで、歌声にあふれ
  門は友の馬や車でいっぱいだ
  しかしそのなかに、本当に腹を割って話せる相手は
  ひとりでもいるのだろうか?
  そんな気持ちで、義侠で名高い平原君に思いを致す
  結局、今の世は人の交わりは薄っぺらで
  金の切れ目が縁の切れ目
  そう考えるとうんざりして、何もかも捨てて
  世俗に求めるものはなにもない
  ただ若い連中と、うまい酒を飲み、
  西山のほとりで狩りでもしながら、気ままに生きていくか


 人の営みはどうであれ、季節はめぐり時は過ぎてゆく・・・。

(了)
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