円明流(竹村流)短刀型手裏剣/(手裏剣術)
- 2011/12/20(Tue) -
円明流短刀型手裏剣2


 過日、無冥流の鈴木崩残氏に、翠月庵での講習会のために拙宅に泊まっていただいた際、「円明流(竹村流)の短刀型手裏剣の写しを、制作できないだろうか?」と、なかば話半分で相談させていただいた。

 その後、同氏のご好意によって、ついに完成したのがこの剣である。

 剣聖・宮本武蔵を流祖とする円明流の短刀型手裏剣は、長さ8寸(約240ミリ)、元幅8分5厘(約25.5ミリ)、棟の厚さ5分(15ミリ)、重さ70匁(約262グラム)である(成瀬関次著『手裏剣』より)。

 当初は、この剣のサイズそのままの再現を考えたのだが、15ミリという鎧通し並の棟の厚さについては、材料そのものが調達できず、棟厚6ミリとし、それ以外の寸法は、全て上記に合わせた。このため重さについても、本来は262グラムとなるべきところが、この剣では224グラムとなっている。

 それにつけても、実際に手にとってみると実に大きく重い。感覚としては、出刃包丁の握りをはずして茎の部分を切り落とし、刃の部分だけを手裏剣にしたようである。

円明流短刀型手裏剣1


 基部に空けられた穴は、ここに房のついた紐などを通すためのものである。

 長さ、重さともに、当庵で普段使っている無冥流の長剣に比べても、迫力満点だ。

円明流短刀型手裏剣3


 この手裏剣は鞘などに入れず、このまま前腰などにたばさむため、鉈刃程度の刃付けとなっている。制作に当たっては、一枚板の鋼板をカットしたものを、グラインダーと砥石で形を整え、焼き入れをし、表面を墨染めにしている。オールハンドメイドの一点ものだ。

手裏剣比較


 所蔵するいくつかの手裏剣と並べて見る。

 上から、無冥流長剣、円明流短刀型手裏剣、翠月剣、知新流手裏剣、香取神道流手裏剣である。

 こうして並べてみても、円明流の手裏剣の迫力は、際立っている。さらに手にとってみると、そのずっしりとした重量感から、武具としての手裏剣の迫力が伝わってくるようだ。

円明流短刀型手裏剣と翠月剣


 同じ短刀型手裏剣である翠月剣とならべてみると、新旧の剣の対比が非常に興味深い。この円明流の剣は、現代の短刀型手裏剣である、翠月剣の原型である。

 今回、円明流の手裏剣の写しの制作は、あくまでも手裏剣術の研究と私のコレクションの一環としてお願いしたものであり、棟厚こそ正確に再現することはできなかったが、その仕上がり、実際に手に取った時の感触、武具としての完成度、工芸品としての魅力、いずれについても十分に満足できる逸品となった。

 この場を借りて改めて、すばらしい剣を制作していただいた、無冥流・鈴木崩残氏にお礼を申し上げます。

 ありがとうございました。


 これだけすばらしい仕上がりだと、実際に打つのはもったいない。

 翠月庵の守り刀ならぬ守り手裏剣として大切に保存し、ときおり手にとって、ひとりニヤリとほくそえんでいるのが、最も良いのかもしれない(笑)。

(了)
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