東京都のナイフ規制条例に思う
- 2008/09/11(Thu) -
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           (わが家にある「不健全刃物」たち・・・)



 読売新聞の報道によれば、東京都は秋葉原での通り魔事件を受けて、明日9月12日からダガーナイフ、ダイバーズナイフ、ブーツナイフ、プッシュダガー、そしてスローイングナイフの4種類を「不健全刃物」に指定。18歳未満への販売・譲渡を禁止し、違反した場合には30万円以下の罰金が科されるとのことである。

 さて、まだ都の告示の原文を読んでいないのでなんといえないのだが、これら新たに規制される4種の刃物に対して、具体的にどのような定義がなされているのか?

 たとえば、今、私の手もとには、冒頭の写真の通り何本かのスローイングナイフやダイバーズナイフ(ダガータイプ)がある。なお、このスローイングナイフに関してだが、これらは手裏剣術の研究のためのもので、エッジ(刃)はまったくついていない。

 これを「不健全刃物」と定義する以前に、そもそも「エッジのついていない」スローイングナイフは、刃物の定義に当てはまるのか? という議論があってしかるべきである。 刃物=ナイフ=刃(やいば)のついている切断用具とするならば、私の所持しているスローイングナイフは、「スローイング用のナイフ」ではなく、「スローイング用のナイフの形をした鉄の板」である。

 このあたりの法的な定義がどのようなものなのかを、きちんと精査しておかねばなるまい。

 実際のところ、今回の都の規制は、ようするに「コドモに売るな・譲るな」ということであり、戦闘用のダガーや刺殺専用のプッシュダガー、ブーツナイフなどについては、今回の規制、多いに賛成である。

 がしかし、泥縄式に、ダイバーズナイフやスローイングナイフも規制にくわえるというのはいかがものか? また、これがさらなるしばりへの第一歩となる可能性が強いことを、市井の手裏剣術家としては、非常に懸念するわけだ。

 今回の規制の背景を見れば、国としては、ダガーのような殺傷力の高いナイフについて、銃刀法改正により「携帯」や「運搬」はもとより、「所持」も禁止しようというもくろみがあったという。しかし、政局がらみで、国会の会期も不透明、下手に着手して、たな晒し、廃案では意味がないので、今国会での法改正は先送りにし、まずは各地方自治体での条例レベルで規制を強め、法改正への道筋をつけようという事のようである。

 さて、ここで思うのは、冒頭で述べたように、規制対象となる4種の「不健全刃物」が、どのように定義されているのかという点。また現在、国内で流通している「スローイングナイフ」と呼ばれるものは、本当に不健全=危険な刃物なのか? いやそもそも、専用のスローイングナイフとして流通しているものが、刃物に当たるのか? などといった点について、どの程度、明確かつ客観的、そして公平性を担保した定義がなされているのだろうかという事である。

 さらには、こうしたナイフ規制が、合法的趣味行為である、手裏剣術の練成・研究という活動に、どのような影響を与えるのかという点について、個人的には多いに危惧している。

 本来、エッジが付けられておらず、鍔もなく、殺傷力どころか受傷可能性も限りなく皆無に近い、一般的なスローイングナイフが、今回、「不健全刃物」に指定されたということは、我々、平成の手裏剣術者が日常的に使用している稽古用の手裏剣についても、いつ何時、「不健全刃物」のそしりをうけるか分からない。

 この点を十分に理解した上で、我々は、稽古時の武具の取り扱いはもちろん、稽古場への運搬・所持についても、これまで以上に慎重な行動が求められるといえるだろう。
 
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