木扇~上質の武具を購う/(武術・武道)
- 2012/04/07(Sat) -
 先月まで当庵で自主稽古に参加していた、K氏がプロデュースした木扇を購入した。

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▲縞黒檀製、一尺の勝扇。隣は茶道で使う扇子


 木扇は別名「勝扇」とも呼ばれる。また明治時代には、直心影流の榊原鍵吉が、脇差の代わりとして「頑固扇」と称する木扇を考案したことでも有名だ。

 木扇は一般的に鉄扇術の稽古に用いられるものだが、現在、ネット等で「勝扇」として市販されているものは、赤樫を使った無骨な短棒状のもので、工芸品としての魅力は皆無である。

 それに比べるとこの木扇は、高級木材である黒檀を使用し、埼玉県の伝統工芸師が、1本づつ手作りで製作した逸品である。

 実際に手にとってみると、非常にしっかりとした作りであることが分かる。

 黒檀は、木太刀によく使われる白樫や赤樫に比べると、硬さと重量感で勝るが、粘りにかけると言われる。硬さと粘りが相反するというのは、本身も木太刀も同じなのだ。

 しかしこの木扇子は、少なくとも体術系統の鉄扇術の稽古であれば、十分に使用に耐えるものであると言えよう。

 もっとも高級木材だけに、あまり蛮用はしたくない。ましてや古流の鉄扇術にあるような、打太刀の太刀打ちを扇子で受けるような技には使いたくないと思うのは私だけではあるまい。

 荒っぽい稽古で傷つけるのには、あまりに惜しい、美しい仕上がりだからである(笑)。

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▲縞黒檀の、上品な木目が良い。年月をかけて使い込むことで、さらに味わいが深まるであろう


 私は普段、和装の際には七寸五分の高座扇か八寸の鉄扇を、洋装の際には六寸の茶道扇を使っているが、この木扇は一尺ある。

 普段、帯びるにはいささか大きいが、鉄扇術で用いる武具として考えると、やはり一尺の長さはほしいところである。

 武技としては、柔術をはじめ、小太刀や剣術、懐剣術の心得があれば、そのまま武具として使うことが可能だ。もちろん鉄扇術の稽古に使えることは、言うまでもない。また当庵で指導している掌剣術の稽古にも、そのまま使用できる。

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▲鉄扇術にせよ、掌剣術にせよ、また体術として用いる場合でも、「斬手」が術の基本である


 木扇に限らず、こうした短棒状の武具は、東西を問わず世界各地にあるが、木扇や鉄扇の魅力は、本来の目的が武具でありながら、そこに日本的な「用の美」があることだ。

 今回の木扇は、久々に「所有する喜び」が感じられる、良い武具を購えたとたいへん満足している。

 興味のある方はぜひ、下記、ページをご参照いただきたい。

 なお、同ページで紹介されている、K氏プロデュースの手裏剣も、武具として、また工芸品としてもたいへん上質な逸品であり、しかもたいへん良心的な価格であることから、手裏剣術者諸氏におすすめできる。


■鉄扇堂
http://tessendou.cart.fc2.com/

(了)
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