出版業界残酷物語/(身辺雑記)
- 2012/10/03(Wed) -
 どういうわけか、また今日は、アクセス急に上がっている。といっても70人(笑)。

 毎度、ごひいきに。



 多忙である、相変わらず。

 にも関わらず、日本の出版業界のギャラは、下がる一方だ。

 例えば、よく書店にならんでいる旅関連の本の場合、私が業界に入った頃、20年くらい前なら、資料で起こす原稿の料金が、1ページ1万2000円くらいだった。

 これがいまや、1ページ3000円とかなのである。

 4分の1だぜ・・・。

 かつて、10ページ書いて12万5000円だった仕事が、今は同じ事をしても3万円なわけです。


 あるいは最近は、1文字5円などという、殺人的な値段設定で注文してくる制作会社もある。

 原稿用紙1枚書いて、2000円・・・。

 これじゃあ、シロウトの作文の値段だぜ、マジで。


 こうした値段設定は、プロへの仕事の対価として適切かという以前に、家計の主となる世帯主がやれる仕事として成立しない。

 カメラマンなども、やはり20年前、私が駆け出しの編集者だったころは、1日拘束で日当仕事の場合、「2万円でお願いします・・・」とか言うと、ベテランのカメラマンからは「お前、なめてんのか!」と、怒鳴られたものだが、いまや1日拘束で1万3000円とか当たり前である。

 デフレの世の中とは言え、これほど料金の下がった業界ってあるのかね、実際のところ。


 それでもなんとか仕事を続けているのは、養う家族がいない気ままな浪人暮らしであることと、情報誌関係と違って若干原稿料の値段設定の高い、医療系の記者もしているからだ。

 とはいえ、2000年に某医学新聞社の専属記者になった当時に比べると、医療系の取材仕事も原稿料は着実に下がっている。

 原稿料以外にも、たとえば九州へ取材に行って、1人インタビューをするのに、かつては1泊2日だったものが、いまや日帰り厳守は当たり前。それどころか、以前は出版社が正規の航空券を取ってくれたものだが、最近では記者の自腹で立て替えて、しかも「必ず格安チケットで取ってください」とか、言われる始末。

 嫌な世の中になったもんだ・・・。


 大学生あたりの子供がいる同年代の同業者など、いったいどうやって食っているのかつくづく不思議だが、話しを聞いてみると奥さんにフルタイムで働いてもらって、生活はカツカツ・・・、というのがほとんどのようである。

 実際、あまりに食えないので、ここ数年で廃業した記者やカメラマンの知人も、一人や二人ではない。

 まあこうしたリスクも覚悟で、フリーランスの道を選んだのだから、しょうがないとは思うのだが、「フリーライター」という言葉が輝いていたのは、1980年代の後半までだったのだなと、しみじみ思う。

 なにしろ、「ラ」と「イ」を抜いたら、「フリーター」だ。

 これから出版業界を志す若い人は、必ず版元(出版社)を目指し、しかも正社員になること。契約社員は、いざって時に、簡単に切られるからね。

 まちがっても、「フリーランス」なんていう言葉に、幻想をいだいちゃダメよ、オレたちみたいに(笑)。


 「親も無し 妻無し子無し版木無し 金も無けれど死にたくも無し」(林子平)


 さてさて、いささか話題が暗くなった。気を引き締めるために、ちょっと稽古でもするか・・・。

 (了)
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