「後ノ敵」考/(手裏剣術)
- 2012/12/18(Tue) -
 「後ノ敵」の運用について。

 当庵の刀法併用手裏剣術では、左足を一歩踏み出し、軸線を大きく捌かずにその場で左回りに転身して手裏剣を打ち、抜刀して正面斬りとなる。

 通常、抜刀術では、後ろから斬り込んでくる相手に対しては、左右に入身(右足を右に、あるいは左足を左に送り足する運足)して捌くか、あるいは左右に千鳥(右足を左に、あるいは左足を右に交差して踏み出す運足)で捌くか、いずれの場合も軸線を捌いてから抜刀して斬ることが多い。

 なぜなら軸線=身体を捌かないで、その場にでれ~っと突っ立っていると、斬られちゃうからである・・・。

 ではなぜに、刀法併用手裏剣術の後の敵では、軸線を大きく捌かないか?

 抜刀術の場合、敵はすでに我を「斬る間合」に入っているところで、こちらが捌いて斬るわけだが、刀法併用手裏剣術の場合、敵は後ろから迫ってくるが、いまだ一足一刀の間合の外にいる。

 というより、一足一刀の間合の外に、「いて良い」。

 ゆえに軸線を大きく捌かず、その場で転身して、剣を打つわけだ。


▲この動画の打剣距離は二間(3.6メートル)であり、一足一刀の間合
(1間=1.8メートル)の倍ある


 いっぱしの手裏剣術者であれば二~三間間合での必中は確実であるからして、むしろ相手が迫ってくる気配をいち早く察知したら、その場で迅速に転身し、打剣により十分相手から離れた間合から「先」を取るべきである。

 その上で、体勢を崩した相手を、悠々と斬ればよい。

 これこそが、手裏剣術ならではの「対抗不能性」を活かした勝口なのである。


 ということは、逆に言えば、不覚にも背後の敵がすでに一足一刀の間合まで迫っている場合は、刀法併用手裏剣術においても、入身あるいは千鳥で捌いて相手の斬りをはずし、背後に打剣という応用の稽古もしておかねばなるまい。

 まあ現実的には、背後から一足一刀の間合まで相手に入られたら、こちらとしては打剣するも抜刀するも大差ないわけであり、であるならば、その後の攻防を考えると、手裏剣なんぞ打つより抜刀したほうがよいのであろうが・・・。

 いずれにしても、その場に居着いてばかりの定置の的打ち稽古だけでは、こうした武術としての「理合」は、学ぶことができないことを、術者たるもの忘れてはならない。

(了)
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