そういやあ、突如、台湾から飛来した「換骨拳法」ってのもあったね・・・/(武術・武道)
- 2013/03/12(Tue) -
 とある武術雑誌の最新号を見て思ったこと・・・・。


 かれこれ足掛け30年ほど、武術・武道にかかわってきた。長年、この世界を市井の立場から見ていると、いろいろと不思議なことがある。

 たとえばAという流派がある。

 たいへん有名な流派だ。流祖の時代は剣術を中心に、抜刀術や柔術や棒術もある、典型的な総合武術だったが、江戸期の撃剣興隆のなかで、事実上、剣術のみの伝承となり、その後、維新の動乱と明治から昭和までの歴史の中で、事実上断絶してしまったらしい。

 大東亜戦争後に見直しの機運があり、初学の型のみ古老の記憶をたどって復興。以来、長年、知名度の高い名流として、粛々と稽古されてきたという・・・。

 ちなみに私は中学1年生の時(昭和58年!)、このA流の先代宗家だったK先生に入門を願い出たところ、「剣道の参段をとってから、もう一度出直して来なさい」と諭されたことは、懐かしい思い出である。


 さてその後、時代は平成となり、その流儀が某国営放送で大々的に取り上げられた。

 すると突如、それまでA流の道統を継いで来た人々とは、まったく関連のない、それまで聞いたことのない会派が、「我こそはA流のすべての技を受け継ぐものである」とはなばなしく登場した。

 それからさらに時が流れ、気がつけばそのご一党がA流を代表する会派として、公的機関にも登録されるようになってしまったとか・・・。


 時代の推移をしらない人は、判断できないかもしれないが、つくづく不思議なのが、どうしてその会派は、平成になるまで、A流の道統を継ぐものとして、その名前が武術・武道界に知られてこなかったのだろう?

 私の手元には、昭和時代の古武道協会や古武道振興会のパンフや資料、あるいは当時の武道マスコミ(月刊武道や月刊空手道など)の資料もいろいろとあるのだが、とんとその会派や宗家の名前は見られないのである。

 いやまったく、不思議なことだ。


 もちろん、ひっそりと市井の武術家に受け継がれてきたのかもしれないけれど、それにしてはあまりにその流儀の名前は有名で、どう考えても、明治、大正、昭和、平成と受け継がれてきたのであれば、なんからのつてで名前なり会派の活動なりが伝わってきそうなものなのである。

 しかし、その流儀に関連するマスコミの話題が大々的に取り上げられた平成のある年以前には、まったくその筋の名前もうわさも、聞かれなかったというのが、実に、いや実に不思議だ。


 もちろん、その会派の歴史的経緯や業が捏造なのか、それとも江戸時代以来、正しく伝えられてきたのか、私には学術的に検証することはできないけれど、万が一、それが「うそ」であったとすれば、その流儀の業と伝統が、

 「誠」

 と信じて、人生の貴重な時間を使い、お金を払って、稽古に励む人々が、哀れでならない。


 この世界、昔から「三年かけても良師を探せ」というが、そもそも初心者に師の優劣や、流儀の正当性を見極める眼など、あろうはずがない。たいがいが、たまたまの縁で、いずれかの人物を師とするものである。

 そこでその師が、まっとうで良心的な人物であり、なおかつ師たる優れた業前があればよい。

 しかしときとして、そうではない人物に縁をつないでしまう人もいる。

 それもまた、因果と受け入れるしかないのであろうか・・・?


 ひとつ言えることは、この世界には、4種類の流儀・会派、あるいは指導者がいるということを、覚えておいてほしい。

 1つは、正しい道統を受け継ぎ、優れた業前の流儀・会派、あるいは師。
 1つは、いんちきな道統だが、優れた業前の流儀・会派、あるいは師。
 1つは、正しい道統を受け継いでいるが、なまくらな業前の流儀・会派、あるいは師。
 1つは、いんちきな道統で、なまくらな業前の流儀・会派、あるいは師。

 これらのうち、どの流儀・会派あるいは師にめぐり合い、選ぶのか?

 それによって、その人の武術・武道人生の大半が決まってしまうといっても過言ではないのである。


 先日、日本刀の偽造で都内のとある刀剣商が逮捕されたけれど、日本刀の鑑定や売買の世界は、まさに魑魅魍魎が跋扈し、金と名誉欲が渦まく伏魔殿だということはよく知られたことだが、古流武術の世界も似たり寄ったりといわざるを得ない。

 そういう意味では、少なくとも打剣の結果を見れば、道統は別として、その人の業前が遣えるか遣えないか、最低限、ひと目で分かる手裏剣術の世界は、武術界での立場は低いけれど、その精神はよほど健全で、さわやかだと思う。

日武会
▲昭和時代のあやしい武芸ビジネスといえば、
やはり日武会であろう。私も、だいぶお金を
使ったよ、キミィ!


 骨董とやっとう、そして武芸の世界の真贋には、本当に注意が必要だ。

 (了)
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