S編集長のこと/(身辺雑記)
- 2013/06/24(Mon) -
 つい先ほど、以前からお付き合いのあったSさんが、昨夜亡くなったという知らせがあった。

 Sさんは、医療や介護に関する雑誌の編集長で、私は4~5年前から、時折仕事をいただいていた。編集長と記者とはいえ、私は外部スタッフであり、仕事も毎月定期的でもなかったので、特別に親しいというほどでもなく、数年間の付き合いで一緒に取材をしたのが4~5回、仕事の後に酒を飲んだのが3回ほどに過ぎない。

 咽頭がんが見つかったSさんは、昨年から闘病生活に入った。

 治療の結果、年明けしてしばらくした頃には仕事に復帰されたのだが、その後転移が見つかり、春から再び闘病生活に入った。

 転移したがんの進行は早く、最後の望みを最先端の放射線治療にかけ、幸い、通常ならかなり順番を待たなければならないその治療が、すぐに受けられることになった。人づてに聞いた話では、これにはSさんも、かなり喜んでいたとのことだ。

 しかし、その先端医療施設に移動する日程が決まった時、病態が悪くとても移動には耐えられないことが知らされ、Sさんはその治療をあきらめざるをえなくなった。その後、治療としてできることはなく、療養先で静養されていたのだが、昨夜、亡くなったとのことだ。


 昨日といえば、私はいつもどおり昼過ぎに稽古に出かけ、その後はいつもどおりに近所のスーパーで刺身と焼魚を買い、帰宅してシャワーを浴び、日暮れの後は紙パックの冷酒と肴をくらいながら、時代劇専門チャンネルで勝新太郎の座頭市特集を、ぼけーっと見ていた。

 たぶんSさんが亡くなったのは、その頃ではないかと思う。


 私は、霊魂も死後の世界もまったく信じていない。人は死ぬと、ただの灰になるのだと思っている。

 しかし、こうして近しい人が亡くなると、私のような唯物論者というのはつくづく寂しい存在だ。

 たとえばあの世があって、そこにはちゃんと各種飲み屋があり、Sさんは小料理屋の白木のカウンター席に座りながら、「市村さん、手裏剣っていえば、やっぱり忍者でしょ(笑)」っとか言いながら、にこにこと大好きな酒を傾けていてくれたらいいなと思う。

 そういう「あの世」であれば、あってもいいんじゃないかな・・・。


 Sさん、私もいずれはそちらに往くことになりますが、その際には、一緒に仕事をしていた頃のように、いろいろとそちらの世界の道案内をしていただきながら、またうまい酒で一杯やりましょう。

 (了)
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