0.3秒の攻防/(手裏剣術)
- 2013/08/12(Mon) -
 無冥流・鈴木崩残氏がホームページにて、「剣を避ける人体の速度と、打剣の起こりに必要な時間」という、たいへん興味深い考察をされている。

http://www.mumyouan.com/k/matunoma.html

 この実験によれば、

1/手裏剣は、0.1秒で約1.5メートル進む。

2/わずかにテイクバックをとるだけで、0.2秒弱のロスがある。

3/0.1秒あれば、体は、20センチ動いて、剣を避けられる。

4/ところが、その動き方が悪いと、避ける速度は、1/2の速度にもなってしまう。

考察/こうした点から、2間から3間の間の攻防が、もっともシビアであることが容易に理解できる。


 とのことである。


 一般的に、武術の攻防においては、相手の動きを認識するのに0.1秒、それに対してなんらかの対応をするのに0.2秒かかるといわれる。

 しかし、たとえば甲と乙が距離一間で対峙し、甲が乙の顔に上段の回し蹴りをする場合、蹴りの起こりから足が相手の顔に当たるまでにかかる時間は、0.2秒以下であり、単純に蹴りの起こりを目で認識し、体を反応させて避けたり受けたりするのでは間に合わない。このため、組手などの自由攻防の稽古を積み重ねることで培われる、「予測」や「予想」という行為、いわゆる「読み」が必要になってくる。

 つまり、相手の蹴りの起こりを認識した瞬間に、「これは上段蹴りなのだろう」と予測・予想して反応するからこそ、0.2秒以内で受けなり避けるなりの反応ができるわけだ。

 しかし、相手もそれは承知しているので、たとえば上段を蹴るように思わせて中段や下段を蹴る、小手を打つと見せかけて面を打つ、相手の動きを誘い出して起こりを抑えるなどといった、「拍子」の攻防が展開されるのである。

1308_打剣
▲距離三間では、テイクバックなしでも手離れから的に剣が刺さるまで、約0.37秒かかる


 さて、当庵では常々、「手裏剣術における攻防の間合は、実際には二~三間程度である」と指摘してきた。

 これが、今回の無冥流の検証と考察でも、改めて補足できたといえよう。

 手裏剣は0.1秒で1.5メートル進む。またテイクバックだけで0.2秒かかるとすると、約一間間合ですら、合計で0.3秒がかかる。

 0.3秒という時間は、空手道や拳法、剣道などといった対人攻防のある武道を普通に稽古してきたものであれば、高度な攻防技術である「予測」や「予想」なしで、普通に目視してからでも十分に避けられる時間単位なのだ。

 ましてやそれ以上の間合である二間や三間距離では、テイクバックなしの打剣でも、あきらかに0.3秒以上の時間がかかる。たとえば距離三間では、テイクバックなしで0.37秒、距離五間ではテイクバックなしても打剣から命中まで0.6秒もかかるのである。

 こうした点からも、六間や七間、あるいはそれ以上の間合での打剣というのは、あくまでも「術」の鍛錬間合であり、あるいは相手と対峙していない状況での「狙撃」的な攻撃のための技術ということになる。

 また三間以内で相手と対峙した攻防における実践的間合ですら、0.3秒前後の時間であり、ここでも単純に剣を打つだけではなく「拍子」や「間合」、「読み」を駆使した攻防を駆使しないと、相手に有効な打剣を打ち込むことは難しいといえよう。

 それでは、どのようにして剣を相手に当てるのか? 逆にどうすれば手裏剣を避けられるのか?これらについては、過去に本ブログですでに初歩的なポイント解説しているので、下記を参照されたい。

「手裏剣の当て方」
http://saitamagyoda.blog87.fc2.com/blog-entry-255.html

「手裏剣のよけ方」
http://saitamagyoda.blog87.fc2.com/blog-entry-252.html

(了)
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