「骨法」について/(武術・武道)
- 2013/08/20(Tue) -
 過日の納涼会の夜、「骨法とは、何なのでしょう?」との質問を受けた。

 このとき私は良い加減で酔っ払っていたため、解説もそこそこに技をかけてしまい、質問をした相手には痛い思いをさせた割には、しっかりと明確な回答になっていなかったのではないかと深く反省しており、ここで改めて、簡単にまとめてこうと思う。


 さて、「骨法」とは何か?

 これについては、ウィキペディアの「骨法」に関する曖昧さ回避のページの記述が、簡潔に良くまとまっているので引用してみよう。

 ~以下、引用~

骨法(こっぽう)

(1)物事の根本となる基本や枠組みのこと。
(2)日本の伝統的な芸道・武術などの奥儀、こつのこと。
(3)南画の技法のひとつ。
(4)古武道の技法を指す用語。ただし、どのような技法を指すかは流派によって異なる。(例を挙げると、経穴を責める技法を骨法と呼ぶ流派や、力を専ら用いる技法を骨法と呼ぶ流派もある)
(5)古武道のひとつである捕手術の一部の流派に付属する隠し武器術。強法ともいう。 ⇒ 骨法 (隠し武器術)
(6)主に忍者が用いる素手の武術。または堀辺正史が古代より日本に伝わっていたと主張している、当身技主体の徒手格闘技。⇒ 骨法 (格闘技)
(7)書道用語。 ⇒ 書道用語一覧#骨法


 ※番号は市村の加筆

~以上、引用終わり~


 一般的に「骨法」という言葉は、上記の(1)や(2)の意味で使われることが多い。しかし、いまや「死語」の部類であり、少なくとも「激おこプンプン丸」という言葉を日常的に使う人たちには、ほとんど通じないのではあるまいか?

 また(6)については、いまさら私がコメントするまでもないであろう・・・・・・。


 さて、古流の武術・武道の世界では、「骨法」とは、上記の(4)の意味で使われることが多い。たとえば、天羽拙翁が伝えた関口流(通称・天羽流)では、鉤なし十手を使った一連の技法を「骨法」と称していたという。

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▲久松時之助著/小佐野淳編『柔術極意真伝』(BABジャパン/平成2年)より、天羽流の「骨法」


 私が10代の頃、柔術を中心に稽古していたときに習った「骨法」は、相手の手首の経絡を圧して極める系統の技、あるいは一般的な逆手の技(型)であった。

1308_骨法1
▲27年前、稽古ノートにまとめた「骨法」の覚書


 経絡を圧して極める「骨法」とは、具体的には八光流の雅勲や、合気道の四教と同種の技法である。

 この系統の技は、実際には「骨法」だけで完全に相手を制圧することは難しく、瞬間的に骨法で極めたあとに当身や投げ、極技につなげることが重要だ。また口伝では、小指ではなくむしろ中指の活用が大事であること、木太刀を使った独習で骨法そのものの極めの威力を高めるように、などと指導された。

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▲姉川勝義著『実戦古武道 柔術教範』(愛降堂/昭和58年)より、経絡を圧して極める「骨法」の解説ページ。姉川先生は、私が中学生の時分、技法に関する質問を手紙で差し上げたところ、とても丁寧な返信をくださり、道場の稽古にも誘ってくださった。懐かしい、昭和の思い出である


 一方で、一般的な型として習った「骨法」を、かつての稽古ノートから紐解いてみると、合気道で言うところの二教から膝で顔面への当身で極める技、あるいはやはり合気道で言うところの三教からの指折りや逆投げにつなげる技など、13本ほどの型を「骨法」として稽古していた。

 このように古流の武術・武道における「骨法」とは、さほど特別の意味はなく、一般的には単なる一連の技法を示す名称と理解しておけばよいだろう。

 (了)
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