講道館発行『柔道』09.1月号/(書評)
- 2009/01/25(Sun) -
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▲柔道関係者以外はぜったい買わないだろうに、なぜか地方の町の小さな書
店でも、意外に目にすることが多い、講道館発行の月刊誌『柔道』。”昭和な雰
囲気”の表紙が目を引く(笑)


 講道館が発行する月刊誌『柔道』は、目についた時には読んでおくよう心がけている。

 当然ながら、この雑誌は柔道人向けの講道館の機関誌的な色彩が濃厚な雑誌なわけだが、時折、柔術関連の興味深い論文が掲載されていることがあるからだ。

 そういう意味で、2009年1月号の『起倒流伝書考その3 「古式の形」の研究-甲冑着用の場合(松本龍弥・記)』という記事は、たいへん興味深いものだった。

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▲この記事では、実際に甲冑を着用して古式の形21本の体動を検証、その知
見をまとめている


 起倒流といえば、天神真楊流と並んで講道館柔道の原型となった流儀であることは言わずもがなであろう。その形が、講道館では「古式の形」として今も伝承され、主に高段者によって稽古されていると聞く。

 さて、この起倒流は、本来、甲冑組討の介者柔術であったと言われるが、本論文は、実際に甲冑を着用して古式の形を行い、その知見をまとめたものである。

 詳細は本誌を参照してもらいたいが、結論の一部を抄訳すると、「甲冑着用により、その重量のほとんどが上半身にかかることから、重心をほんの少しずらすだけで、真捨て身業などは容易にかかる。錣返等などの技は、兜と錣が連結しているという形状から非常に有効、云々」、というものである。


 こうした知見は、古流の形の検証という学術的な点はもちろんだが、体術一般の原理の再検証という点でもたいへん興味深いし、他武術の稽古者にも、多いに資する論文であるといえよう。

 国際的なスポーツとして確立したことにより、武術・武道という側面から批判されることも多い柔道だが、一方で、その本家である講道館とその関係諸氏が、こうした地道な古流柔術関連の研究をされていることには、市井のいち武術・武道人として敬意を評すること大である。

 今後もこうした、読み応えのある記事に期待したい。
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