新春随想/映画編(身辺雑記)
- 2014/01/03(Fri) -
 ここ数年、年末年始は、なにかと仕事がからんできて、1~2日しか休めない年が続いていたが、今年は大晦日から明日まで4連休もでき、何年かぶりに正月らしい正月を楽しんでいる。

 といっても、なにしろ50間近の一人身の素浪人ゆえ、飲み、眠り、起きてまた飲み、映画を見て、本を読み、飽きたらまた飲み、そして眠るという、実に怠惰な日々を送っている。

 例年、拙宅での稽古は元日未明から始めるのが、13歳の頃からの数十年来の慣わしなのだが、今年はそれもあえてサボり、大晦日に差料と手裏剣の手入れをして以来、今晩までなにもしていない。

 ま、こんな怠惰な正月も、たまにはよかろう。

131231_長光
▲観賞用の美術刀剣ではないので、通常、柄はぎちぎちにきつくしており、緩んでいない限り外す事はあまりない。しかし年末は、柄を外して手入れをする。よい刀は、中心も愛でていて飽きないものだ


 それにしても、飲めなくなった。

 この年末年始は、清酒のほか、宇宙で一番旨いシングルモルトウイシキーであるアードベッグ、琥珀エビス、到来ものの梅酒などを、とっかえひっかえ飲んでいるが、日中、三合も飲むと、すぐに眠くなってしまう・・・。ま、飲みながら、少年の頃から愛読をしているランボー(ジョンではなく、アルチュールの方な)なんぞをつらつらと読んでいるものだから、なおさら眠くなるのだろう。

131231_アードベッグ
▲ランボーとは、ビートでありパンクだ。「このままいっても、あるのは世界の果てだけだ」などという詩を読んで、じっとしていられるような「少年」はいないだろう


 映画もだらだらと、初見・再見を含め、年末年始にかけて、いろいろと見た。

 以下、短評である。


■『許されざる者』(日本版)
 刀と銃が入り乱れるラストの殺陣と、北海道の大自然は、なかなか見ごたえあり。しかし、特に前半の台詞が説明的過ぎる。その前に、北野映画をたんまり見た後だったので、なおさら台詞がうっとうしく感じられた。柳楽優弥・・・、人は変わるよな。

■『アウトレイジ』
 前半あれだけ武闘派だったタケシ一派が、後半あれよあれよと殺されていくのが、なんともあっけねえぞバカヤロー! 手榴弾の威力がでかすぎるんじゃねえか、コノヤロー! 以上、アウトレイジ調でまとめてみました。

■『アウトレイジ ビヨンド』
 塩見三省の顔、怖すぎるぞ、バカヤロー! 西田敏行の関西弁は、探偵ナイトスクープ仕込みだからからか、なかなかよかったぞ、コノヤロー! あと只野仁・・・じゃなくて高橋克典が無口でいい味出してたぞ、バカヤロー! 以上、アウトレイジ調でまとめてみました。

■『ワールド・ウォーZ』
 自称・普通の男のブラピ氏が、アメリカ、韓国、イスラエル、ウェールズをまたにかけて、走る大量ゾンビと戦いながら、ジャンボジェットが墜落しても生き延び、世界を救うお話。つうか、どこが普通の男だよ!

■『利休にたずねよ』
 これまで海老蔵って、歌舞伎は上手いんだろうが人間性はカスなんだろうなと思っていたが、灰皿テキーラ事件や、父・団十郎の死をへて、人間として滓(おり)が濾されたのかもしれないな・・・と、映画を見て感じた。しかし、山上宗二が、思慮の浅い間抜けのように描かれていたのは残念。

■『パシフィック・リム』
 ハリウッドの映画人が、本気で怪獣映画を作ると、これほど面白くなるのか! 日本人が作ったら、ここまで面白く迫力のある作品にはならなかっただろう。字幕版、吹き替え版ともに見たが、豪華な声優陣もいい。「ロケット・パーンチ!」は、マジンガーZ世代であれば、涙なしには見られない。

■『座頭市と用心棒』
 ちょっと、市の殺陣の切れ味が悪いのが残念。取り立てて面白みのあるストーリーではないが、勝新と三船の競演というだけでも、一見の価値はある。岸田森は、相変わらずわが道を行く(笑)。

■『座頭市海を渡る』
 脚本は、なんと新藤兼人。海を渡るといっても、それは瀬戸内海。八十八ヵ所めぐりの途中の市が、山形勲率いる山賊と戦います。山賊の使う半弓が、妙に殺傷力が強いです。そして三島雅夫は悪いやつです。

■『TAKESHIS'』
 北野映画のなかでも、私が好きなベスト3に入る一作。賛否両論のある作品だが、そのカフカ的不条理な世界観が、好きな人にはたまらない映像体験になる。ただし、タップのシーンは、ちょっと長すぎる気がする。

■『監督・ばんざい!』
 何回見ても、ばかばかしい映画。その時間つぶし感が魅力。岸本加代子と鈴木杏の不気味さがいい。井出博士のくだりが長くうざいが、それも監督のねらい目なのであろう。

■『菊次郎の夏』
 おなじ「バカヤロー」でも、『アウトレイジ』や『アウトレイジ ビヨンド』とはまったく対極にある、心温まる泣かせの「バカヤロー」が決め手。北野映画特有の、軍団を使ったお手盛り演出は私はキライなのだが、この作品に限っては、それが非常によいスパイスになっている。ロード・ムービーって、本当にいいね。

■『BROTHER』
 前半無敵のタケシ組が、後半弱っちくなって次々殺されていくのは、もうお約束。限りなくホモセクシャルに近い、兄弟分の友情を演じた、寺島進の一人勝ち作品。ロスのビル街を、紙飛行機が飛んでいくシーンは圧巻。こういうワンカットがあるから、北野映画はどんなに脚本や演出が陳腐でも、ついつい見てしまうのだ。

■『遺体 明日への十日間』
 東日本大震災直後の遺体安置所を舞台に、人々の在りようを描いた秀作。西田敏行演じる主人公が、最初に遺体安置所の学校に入るとき、靴を脱いではだしになって室内に入るシーンがとても印象的。沢村一樹の演技も、地味だが光る。

■『ハンガー・ゲーム』
 『バトルロワイヤル』のパクリかよ、っと誰でも思うが、そういうわけでもないらしい。近未来の別世界が舞台なので、軟膏で刃傷がすぐに治っても、あまりつっこんではいけない。要するに、コバルト文庫版の『バトルロワイヤル』ということです。ちなにみ『バトルロワイヤル』は、小説に限る。深作の映画版は、親子そろってポンコツ映画です。とても、あの伝奇ロマンの傑作『魔界転生』や『柳生一族の陰謀』と同じ監督とは思えません。

■『 Dolls』
 北野映画の中でも、ベスト3に入る傑作。キタノ・ブルーではなく、多彩な四季の色を表現しているところに、監督・北野武の挑戦を感じる。夏祭りの参道を歩くシーンは、何度見てもぞくぞくする。これほど美しい日本映画は、そうそうない。ただし、ストーリーはまったく救いがないので、欝になることもまた、間違いない。

■『HANA-BI』
 北野映画の中では、芸術性とエンターテイメント性のバランスがもっともよい作品。もう少し、監督自身の書いた絵画の描写が少なければ完璧だと思う。岸本加代子の最後の言葉と、二発の銃声、青い空と海。ディス・イズ・北野映画だ。


 以上、北野映画ばっかりなのは、日本映画専門チャンネルで、57時間ぶっとうしで、北野映画をやっていたからである。

 ちにみに、私の北野映画ベスト3は、

1位『菊次郎の夏』
2位『TAKESHIS'』
3位『『 Dolls』』、『座頭市』

 である。


 さて、それでは雑煮でも食べて、また酒飲みながら、映画でも見るか・・・。

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▲今年の雑煮は、白だしが決め手

 (おしまい)




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