前田英樹著『剣の法』/(書評)
- 2014/03/13(Thu) -
  新陰流・前田英樹氏の新刊『剣の法』(筑摩書房/http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480894106/)を読んでいる。

 武術・武道関係の新刊書物は、できるだけ見逃さないようアンテナを張っているが、初学者向けの解説本や内容の薄い身体論みたいなものがほとんどなので、実際に購入するものは、年に数冊、あるかないかである。

 こと武術・武道の資料に関しては、国立国会図書館の近代デジタルライブラリーを検索したり、神田の高山本店で古書を探すほうが有意義なことが多い。

 こうした点を踏まえても、前田氏の武術・武道関係の著作は「買い」だと思う。

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 たとえば、武術稽古研究家の甲野氏との往復書簡集である『剣の思想』(青土社)などを読むと、両者の剣術家としての器量の差をはっきりと読み取ることができる。

 あるいは、『宮本武蔵「五輪書」の哲学』(岩波書店)は、現役の剣術家として五輪書の内容を把握した上で、それを哲学レベルにまで止揚した論考を展開しており、現代に稽古をする武術・武道人にとって、最も参考になる「剣術書としての五輪書」の理論的解説書となっている。

 剣の理と言葉の業をもつ著者が、おそらくあえて最低限の写真と、吟味した言葉を尽くした解説を用いて、自らの研鑽する新陰流について述べている本書は、形の動作をなぞるだけの凡庸な解説書とは比較にならない、刺激的な読書体験を、現代の武術・武道人に提供してくれるだろう。


 まだ読了前ではあるが、現時点で個人的に本書を読んで強く刺激を受けたのは、

・真っ向正面の斬りに関する自分自身の知見を再確認・再補強できたこと
・自分の稽古している流儀の形に含まれる、儀礼化してしまった斬り結び動作に含まれる意味の再発見
・袈裟斬りの角度の類型について
・平晴眼の構えについての新たな知見

 など数多い。

 結論として、剣術や居合・抜刀術を嗜む者であれば、この本は「買い」だ! 2000円以上払っても、買って損はない。

 (了)
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