3月の映画短評/(映画)
- 2014/04/04(Fri) -
 3月はとにかく多忙で、あまり映画が見られなかった。

 そして、いまだに大物の原稿が終わらず、今月いっぱい、過酷な日々になりそうである・・・。


【評価】
★★★(必見)
★★ (まずまず)
★  (ヒマならどうぞ)

■『エリジウム』/★★
 「人はだれしも、生まれながらに『使命』を持っている」という、いかにも西欧的な価値観がメインテーマとなっているSF作品。アカデミー賞4部門にノミネートされた『第9地区』(2009年)のニール・ブロムカンプが脚本&監督。前作のほろ苦いラストにくらべると、こちらは結局ハリウッド的な落としどころか。独特の肉体破壊描写と荒涼とした世界観は、いまだに見るべきものがある。

■『太陽を盗んだ男』/★★
 昭和だよね・・・としみじみする、「あのころ」ならではのエナジー満載の娯楽作品。ジュリーが一番かっこよかった時期であり、文太が最もワイルドだった昭和。なんとなく、このままだらだらと、平和でたいくつな時代が続くのだろうと、思い込んでいた昭和。そんな時代のイライラこそが、この作品の通低音なのだろう。ちなみにこの作品の文太が、後のターミネーターのモデルです(嘘)。

■『アキレスと亀』/★★
 この映画と『アマデウス』を見比べると、どうなんだろう? 同じように凡人の悲喜劇を描きながらも、この作品の主人公の方が、より「業の深さ」を抱えているといえるか。娘が売春で稼いだ金で絵の具を買う主人公に、ある意味凄みさえ感じるのだが、そこはそれ、北野作品だけに、意図した軽薄さが湿った感情表現を廃している。しかし、ラストの「帰ろう」という救いは、いらなかったんじゃないか?

■『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』/★★★
 ちなみに三島が自決したのは、私の1歳の誕生日。これまで、あまりに三島の剣の腕前がヘナチョコなのと、立原正秋ひいきだったので、私は不当に三島の評価が低かったかな・・・と、この映画を見て少し思い直した次第。武芸の腕前と人柄、文学的価値は、まったく関係ないからネ。西南戦争における、私学校党の若者と西郷の関係が、三島と盾の会の若者たちとの関係にダブって見える。井浦新の演技は、なかなかいい。ただし、刀の扱いはひどいもんだ。だれかちゃんと演出してやれよ!

■『あゝ海軍』/★
 長官(おかしら)が若い! 70年代学園青春ドラマの、戦争映画版といったところ。説教の仕方や、部下への硬軟使い分けた接し方は、さすが後の鬼平である。なお、先輩役の平泉成の顔がすごく怖い。吉右衛門ファンなら、見て損はないという小品。

■『あゝ陸軍 隼戦闘隊』/★
 「エンジンの音ぉ~、轟々とぉ~、隼は往くぅ~、雲の果てぇ~」でおなじみ、太平洋戦争でその名をとどろかせた、加藤建夫陸軍中佐率いる帝国陸軍飛行第64戦隊の物語。とりあえず、佐藤允が主演なので、個人的にはそれだけで買いだ!(爆)。この人を見ると、「昭和のオヤジは、強くて、頑固で、でもちょっとお茶目なのだ」と回想できる。同じ飛行第64戦隊の物語を映画化した作品に、戦中に製作された『加藤隼戦闘隊』(藤田進主演)があり、作品の迫力としては、本物の隼などがバンバン出てくる藤田主演作に軍配が上がる。

■『海兵四号生徒』/★
 これまた、戦前の海軍兵学校を舞台にした、青春群像劇。昭和時代の人であれば、学生時代の先輩後輩の、独特の関係を追体験できるはず。こうした伝統が、後の伝説的学園ドラマ『スクールウォーズ』の名場面、「俺はいまから、お前たちを殴る!」的世界観をつくりあげたのだろう。そういう価値観は嫌いではないが、今やったらそく体罰でアウトだろう。まあ、われわれは、そういう時代に生きているということだ。

■『ホワイトハウス・ダウン』/★
 『ダイハード』と『リーサルウエポン』を足して2で割って、子供と親の軋轢&和解という出汁を加えた作品。時間つぶしにはいいが、この手の映画を1800円払って見るかといわれれば、その金で焼き鳥屋にいくだろう。youtubeとかエア・ジョーダンなど、をストーリーに絡める小道具の設定は、今風でちょっと光る。

■『ハート・ロッカー』/★★
 イラク戦争中の、爆弾処理班の活躍を描いた作品。戦争映画としては割合地味で、大掛かりな戦闘シーンなどはほとんどない。対物ライフルを使っての稜線越しの長遠距離狙撃戦や、IEDの恐怖など、イラク戦争やアフガン戦争でのシリアスな戦訓を映像で追体験できるのは貴重。アメリカ人特有の、独りよがりなヒューマニズムが、結局、自分や仲間を危険にさらすという、自虐的な演出は買い。

■『座頭市(1989年版)』/★★★
 勝新主演の座頭一、最終作。この年59歳の勝新だが、殺陣の切れ味は抜群! さらに、殺陣のシーンのカット割りがじつに秀逸であり、映画のよしあしは編集だなあと実感できる。殺陣以外では、ストーリーが冗長だったり、樋口加奈子とかいらないんじゃないのとか、いろいろと破綻はある。しかし、汚くて、こっけいで、やさしくて、そしてものすごく強いという、勝新・座頭市の集大成として、愛を持って鑑賞したい。ラスト、枯野の合間に立ち去っていく市の姿は、過ぎ去りし昭和の姿、そのもののようだ。


 (おしまい)
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