金沢の獅子舞/(武術・武道)
- 2014/04/15(Tue) -
インタビューや学会の取材などで、これまで金沢には5~6回、行ったことがある。

 加賀百万石の城下町だけに、全体に雅で古風な雰囲気の残る街並みは、のんびりと歩いているだけでも楽しい。なかでも兼六園に隣接する成巽閣の「書見の間」や「群青の間」は、絶対に見逃せないポイントだ。

 ウルトラマリンブルーを大胆に使った意匠の数々は、これが本当に江戸時代のものかと思うほど前衛的なインパクトがある。

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▲成巽閣「群青の間」。


 以前、訪問看護の取材で金沢のとある個人宅を訪れた際、床の間の壁が見事なウルトラマリンブルーに塗りこめられているのを見て、その美しさに驚いたことがあった。話を聞いてみると、その家のご主人がもともと左官の職人さんだったということで、凝った床の間をご自分で丹精して作ったとのことだった。


 金沢というと、「文治の都」というイメージが強い。実際、金沢周辺で連綿と伝わり、今も盛んに行われている武術というのはあまり聞いたことがない。

 そんな印象を長年持っていたのだが、昨年、何の気もなしにケーブルテレビでヒストリーチャンネルを見ていたところ、金沢の伝統的な獅子舞を取り上げた古い番組が放映されており、「これは明らかに棒の手系統の芸だな・・・」と思った。

 そこでネットでちゃちゃっと検索したところ、金沢市のホームページで、伝統的な獅子舞についての解説ページ(http://www4.city.kanazawa.lg.jp/17003/dentou/geinou/shishimai/what01.html)を見つけた。

(以下、抜粋して引用)

棒ふり

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 棒ふりは、シャンガンという毛頭をかぶり、刺子じゅばんに裁付袴(たっつけばかま)、白足という姿で、棒や薙刀(なぎなた)、太刀などの執り物を持って獅子に立ち向かいます。執り物はその他に、鎖鎌、尺八、白玉棒、槍、十手、二つに割れるチキリキ、戸水町と才田町の青龍刀なども見られます。一人が獅子に対する場合は一人棒といい、二人の場合は二人棒もしくは合わせ棒と呼びます。さらに、三人棒、五人棒という地域も見られます。


棒ふりの流派

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 金沢の加賀獅子の最も大きな特徴といえる棒ふりは、各種武芸を芸能化したものです。棒術や剣術、薙刀をはじめ、柔術、居捕りなどが応用されています。それらの武芸には流派があるように、棒ふりにも流派が生まれました。獅子舞の最盛期には約40もの流派があったとされています。中でも、最も有名なものが土方流と半兵衛流でした。土方流は、山の上町に道場を構えていた浪人の土方常輔と同惣右衛門らが、武芸を応用した棒ふりを指導したことにはじまり、主に浅野川以北で広まりました。半兵衛流は、地黄煎(じおうぜん)町(現在の泉が丘二丁目)に道場を構えていた町田半兵衛が生み出した流派で、柔術や薙刀、居合、鎖鎌などに工夫を加えて編み出され、主として犀川以南で行われていました。その他の流派としては、柳川流、出雲流、玉田流、合羽流、長尾流、新陰流、大島流などがあり、新しい流派として天神真揚流があります


(以上、引用終わり)

 「棒の手」については、本ブログを読んでくださる皆さんには、いまさら説明するまでもないだろうが、知らない人は本ブログの過去記事を参照されたい。

「雑兵物語と棒の手」2013.10.14
http://saitamagyoda.blog87.fc2.com/blog-entry-487.html


 それにしても、金沢の獅子舞の棒ふり、実に興味深い。

 なかでも、「新しい流派として天神真揚流があります」という一文があるが、これは東京や埼玉で伝承されている古流柔術の天神真揚流と同一のものなのか? 稽古体系や技術も同じなのか?

 また「長尾流」や「新陰流」といった流儀名があるが、これらも武術として伝承されている「長尾流」や「新陰流」とどういう関係なのか、技法的にはどうなのか、などなど興味が尽きない。

 金沢大学の図書館あたりに、まとまった論文とか研究資料など、ありそうな気もするのだがどうだろう?


 「棒の手」というのは武術が芸能化して伝承されたものだが、それだけに、むしろ近年になって改変や復元、あるいは創作された古流武術よりも、室町~江戸期の武芸本来のエッセンスが、当時のままに残されている部分もあるのだろう。

 そういった意味で、武芸の視点からみたまとまった研究書など、誰かまとめてくれないだろうかと思う。そういえば小佐野淳先生が何かの本のあとがきで、「いずれまとめたい」と、書いていたような気がする。

 (了)
 
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