タイトルに先入観を持たず、武術・武道人にこそ読んでほしい好著 /(書評)
- 2014/06/17(Tue) -
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▲「この「ケンカ術」がすごい! あっさりと勝つ法則10 」(林 悦道著/ BUDO-RA BOOKS)


 タイトルがあまりにもあからさまなので、「ゴシップ系喧嘩自慢本かな・・・」と斜に構えて数ページ目を通したところ、そんな予断がたいへん失礼だったことに襟を正した。

 著者である林師範の指南する「喧嘩術」は、ようするに古流柔術や空手道などの護身(実践)技法であり、そこにはハッタリやケレンはなにもない。純粋に実践で培った「術」が、明快に、そしてきわめて論理的に解説されている。

 本書は武術・武道経験のない一般の人よりも、むしろ現代武道の有段者や古流の目録程度以上の者が読むことで、自流の技や術の「現代的展開」に蒙を開かれ、多いに参考となるであろう。

 なにより「喧嘩術」という好戦的な言葉とは裏腹に、林師はできるだけ争いは避けるべきであることを指摘、そして戦いの回避のために、あるいはそれができない場合に先制主導を取るために、「心法」について非常に分かりやすく解説しているのにも好感がもてた。

 また、「声(気合)の武器化」について林師は本書内で1節を割いて解説されているが、私自身も門下には普段から、「声の武器化」について特に留意して指導してることから、多いに納得できた。

 技術的に見ても、流儀・会派を問わず、伝統派空手道の形の分解や柔術形の応用・解釈に、たいへん参考になる技術解説が多い、学びの多い一冊である。

 定価2300円+税を払う価値は十分にある一冊だ。

 ただし、武術的にきわめて良質な内容に対して、本書のタイトルがあまりにケレン味が強すぎることが残念である。

 もっとも、だからこそ私も本書を手に取ったのだが・・・(苦笑)。

 (了)
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