貫級刀を買いに/(手裏剣術)
- 2014/09/29(Mon) -
 昨日、久々にのんびりと過ごす午後、つらつらとネットで刀剣店のページを見ていたところ、貫級刀が売りに出ていた。

 本ブログでも何度か書いたが、貫級刀は合戦の際、討ち取った首に突き刺して首板に固定するための道具。尾部に穴が開いているのは、ここに自分の名前を書いた紙や札を紙縒りなどで結びつけるためのものだという。

 また貫級刀は、別名・馬針とも呼ばれ、鼻捻や陣鎌とともに、「馬小屋三具」のひとつとしても用いられてきた。使用法は、馬の足がうっ血したときなど、これで突いて内出血となった血を外へ出すそうな。

 小柄小刀と異なり、貫級刀は柄部分と刃部分が一体となった共柄で、重さもそこそこあることから、懐剣や手裏剣の代用として用いる流儀がある。手元の書籍を紐解くと、柳生心眼流では奥伝に「馬小屋三具」の用法があり、馬針の用法が伝わっているという。

 「馬針の持ち方は、柄尻を親指で固定して逆手で持ち、敵が打ち込んできたら、腕を受けとめて馬針でからみつけて引き倒したり、小指で柄尻を固定して突くと、薄くて鋭い針先により、敵は思わぬ深傷を負うことになる。遠い敵には、中指に置いて薬指と人さし指にはさんで手裏剣打ちに投げつける。『手の内』や『手裏剣』の原形である」(「甲冑拳法 柳生心眼流」島津兼治著/日東書院/1979年)

 刀剣店や骨董店では、時折、貫級刀が売りに出されていることがあるが、なにしろ時代の物はそれなりの価格がする。なにより、そういう品を普段の稽古で使うのは、美術品保護の観点からも好ましくない。

 そこで現代物の写しが重宝するのだが、2008年の秋葉原での通り魔事件以来、現代物の貫級刀が非常に手に入りにくくなってしまった。

 現代物で廉価な貫級刀は、美術刀剣を製造販売しているM社製のものがあったのだが、上記の事件以来欠品扱いで、その後製造はしておらず、現在はカタログにも載っていないようだ。

 M社製の貫級刀は、ネットで見ると現在でもいくつかの武道具店などが商品として掲載しているが、たとえば2年ほど前に私が複数の販売店に直接問い合わせたところ、販売はしていないか、あるいは品切れということであった・・・。


 そんなこんなで、頃合の価格の貫級刀を見つけた私は、いそいそと拙宅から1時間ほどの場所にある刀剣店に向かった。そして購入したのが、この貫級刀の写しである。

貫級刀_140928_222325


 店主の話では、これは上述のM社の製品であるとのこと。

 同社の以前のカタログを見ると、全長約20センチ、重さ約50グラムとなっているが、実際に計ったところ重さは71グラムあった。一応、鍛造焼入れとのことである。

背面のアップ_140928_223354


 手元にある小柄小刀と比較すると、このようになる。

貫級刀と小柄_140928_222922


 小柄小刀に比べ、貫級刀は共柄のため、また重さもそこそこあるので、手裏剣に打つには非常によいように思われる。まだ実際に打ってはいないが、おそらく普通の手裏剣術者であれば、3間程度であれば簡単に直打で打てるだろう。

 せっかくなので、翠月剣(短タイプ)とも比較してみよう。ちなみに25年式翠月剣(短)は、全長230ミリ/身幅13ミリ/重ね6ミリ/重量126グラムである。

翠月剣との比較_140928_223046


 表面には、血流し風の意匠が施されている。

 表面のアップ_140928_223318


 柄の部分には、「八幡公所佩貫級刀 南無阿弥陀仏 雷除」との文字が切られている。時代の物の場合、紙縒りを通す柄尻の穴は猪の目になっているものもあるが、これはただの円形である。

柄部分のアップ_140929_004956


 断面は裏面が平らなカマボコ型。

断面_140928_223437


 実際に手裏剣に打つと、どのような手ごたえかは、今晩の稽古で試してみようかと思う。

 まずは、良いものを購った日曜であった。

 (了)
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