最近の偽医療や反医療・デマ・陰謀論について思うこと(その1)/(医療・福祉)
- 2014/10/10(Fri) -
■「医療ネグレクト」の典型例としてのホメオパシー

~モロ、わしの一族を見ろ! みんな小さくバカになりつつある。このままではわしらはただの肉として人間に狩られるようになるだろう…~(乙事主の言葉/もののけ姫より)


 私はケーブルテレビの時代劇専門チャンネルが大好きなのだが、番組の間に流れるCMの多くが、偽医療に限りなく近いようなサプリメントや健康グッズであふれかえっているのにはげんなりする。

 現在市販のサプリメントで、科学的・医学的なエビデンスがあり、何らかの効果が期待できるのはビタミンCくらいで、それ以外はみすみす金をドブに捨てているようなもの。本人が「効いた!」と思ったとしても、それはプラセボ(偽薬効果)に過ぎないというのは、たびたびまともな医療関係者やジャーナリズムが一般向けに啓発しても、一向に正しい知識は広まらない。

 それはそうだろう、サプリメントを製造する企業・販売する業者は、低コストでバカ売れするサプリの販売に、膨大な広告費をかけ、メディアを使って洗脳まがいの、そして不当景品類及び不当表示防止法すれすれの誇大広告を続けているのだから。

 自然科学や物理的法則というのは、ある意味でとても冷徹なので、「治せないものは治せない」「効かないものは効かない」「死ぬときは死ぬ」というたいへんドライなものだ。そこに人の希望や情が介入する余地がない。

 だからどんなに人柄の良い人でも、どんなに家族に愛されている人でも、どんなに社会に貢献している人でも、現在西アフリカを中心に蔓延しているエボラ出血熱にかかれば、100人のうち70人ほどが死亡する可能性があるのだ。

 そこで致死率(致命率)約70パーセントという冷徹な現実にさらされている人に対して、

「今のエボラの流行は、ワクチン接種で大もうけし、体内に極小のGPS端末を植えつけようとするための、WHOと製薬会社の陰謀です。けれど、大丈夫、このサプリを毎日飲めば、きっと治ります・・・」

 などといえば、そのような陰謀論や偽医療がどんなに荒唐無稽で馬鹿馬鹿しいものであっても、患者や家族は藁をもつかむ気持ちですがるのが人情というものだろう。

 しかし当然ながら、エボラの流行はWHOや製薬会社の陰謀ではないし、感染した患者はサプリでは治らない。治るわけがない。

 むしろ、標準医療を拒否してサプリを飲むことにこだわったばっかりに、本来は助かるはずの100人中30人の命までもが失われてしまう・・・。

 こうした

 「医療ネグレクト」

 こそが、偽医療の最大の害悪だ。私利私欲のために(あるいは倒錯した正義感により)、本来助かるべき命を殺してしまうのが偽医療なのである。

 偽医療による「医療ネグレクト」、それによる死亡例として、近年、大きく取り上げられたのが、ホメオパシーを信奉する助産師の誤った治療によって、乳児が死亡した「山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E6%96%B0%E7%94%9F%E5%85%90%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3K%E6%AC%A0%E4%B9%8F%E6%80%A7%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%97%87%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E4%BA%8B%E6%95%85)だ。

 これに対して日本学術会議会長は、

「ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを『効果がある』と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います」

 との声明を出し、日本医師会、日本医学会もこれを全面的に支援した。(http://jams.med.or.jp/news/013.html

 また日本助産師会会長も報道向けに、

「本会としては、助産師がホメオパシーを医療に代わるものとして使用したり、勧めたりすることのないよう、継続的な指導や研修を実施し、会員への周知徹底を図ります」


 とのリリースを出している(http://www.midwife.or.jp/pdf/hodo.pdf)。

 世界的にも、先進国ではホメオパシーには科学的・医学的な根拠がないとして、医療現場からは排除されることがほとんどだ。

 それにも関わらず、いまだにホメオパシーの効果を疑わず、それによる金もうけを続ける者、そしてそれにだまされる患者や家族が後を絶たないのは、非情に残念なことだ。

 こうした偽医療・反医療による「医療ネグレクト」の問題は、ホメオパシーに止まらず、しかも年々、問題が深刻化しているように感じられる。

 (つづく)
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