最近の偽医療や反医療・デマ・陰謀論について思うこと(その4)/(医療・福祉)
- 2014/10/15(Wed) -
■ポケットに、トンデモ話検出キットを!

~今日こそ我々は、世界を神秘主義と暴君から救う。どんな宝よりも光り輝く、未来をもたらすのだ!~(スパルタ人・ディリオスの言葉/300より)


 エセ科学やカルト、偽医療の蔓延を危惧し、市民向けの啓発活動にも尽力していた故カール・セーガン博士は、その著書『人はなぜエセ科学に騙されるのか』(新潮文庫)の中で、“トンデモ話検出キット”として、次のような考え方を示している。

・裏づけを取れ。
「事実」が出されたら、独立な裏づけをできるだけたくさん取るようにしよう。

・議論のまな板にのせろ。
証拠が出されたら、さまざまな観点をもつ人たちに、しっかりした根拠のある議論をしてもらおう。

・権威主義に陥るな。
権威の言うことだからといって当てにしないこと。権威はこれまでも間違いを犯してきたし、今後も犯すかもしれない。こう言えばわかりやすいだろう。「科学に権威はいない。せいぜい専門家がいるだけだ」

・仮説は複数立てろ。

仮説は1つだけでなく、いくつも立ててみること。まだ説明のつかないことがあるなら、それが説明できそうな仮説をありったけ考え出そう。次に、こうやって得られた仮説を、かたっぱしから反証していく方法を考えよう。このダーウィン主義的な選択をくぐり抜けた仮説は、単なる思い付きの仮説にくらべて、正しい答えを与えてくれる見込みがずっと高いはずだ。

・身びいきをするな。
自分の出した仮説だからといって、あまり執着しないこと。仮説を出すことは、知識を手に入れるための一里塚にすぎない。なぜそのアイディアが好きなのか自問してみよう。そして、ほかのアイディアと公平に比較しよう。そのアイディアを捨てるべき理由がないか探してみよう。あなたがそれをやらなければ、ほかの人がやるだろう。

・定量化しろ。
尺度があって数値を出すことができれば、いくつもの仮説のなかから一つを選び出すことができる。あいまいで定性的なものには、いろいろな説明がつけられる。もちろん、定性的な問題のなかにも深めるべき真実はあるだろうが、真実を「つかむ」方がずっとやりがいがある。

・弱点を叩きだせ。
論証が鎖のようにつながっていたら、鎖の輪の一つ一つがきちんと機能しているかどうかをチェックすること。「ほとんど」ではなく、前提も含めて「すべての」輪がきちんと機能していなければならない。

・オッカムのかみそり。
これは使い手のある直感法則で、こう教えてくれている。「データを同じくらいうまく説明する仮説が二つあるなら、より単純な方の仮説を選べ」

・反証可能性。
仮説が出されたら、少なくとも原理的には反証可能かどうかを問うこと。反証できないような命題には、たいした価値はない。たとえば次のような壮大な仮説を考えてみよう。「われわれの宇宙とその内部の一切は、もっと大きな宇宙のなかの一個の素粒子(電子など)にすぎない」。だが、この宇宙の外からの情報が得られなければ、この仮説は反証不可能だ。主張は検証できるものでなければならない。筋金入りの懐疑派にも、推論の筋道がたどれなくてはならないし、実験を再現して検証できなければならないのだ。

~以上、引用終わり~


 現在、世の中のすべてのことが、科学的に証明されているわけではない。多くの科学者は口をそろえて、科学で解明された事実は、いまだにこの宇宙の事象の一部に過ぎないと話す。

 また、俗世間で生きる私たちは、日常生活の何もかもを「科学的」「客観的」に思考して生きていくのだとすれば、それではいささか味気なく、面白くないこともまた事実だ。

 たとえば私は怪談話やオカルト映画が大好きだし、趣味でもう30年以上も周易やタロットなどの占いをたしなんでいる(笑)。ただしこれらは、人生においてはしょせんスパイスみたいなものだ。

 スパイスはけして、主食にはならない。

 荀子は“善く易を為(おさむ)る者は占わず”といい、易=哲学の十分な学習と理解があれば、占わずとも問題に関して熟考し、合理的にその疑問を解決する道が開かれると説いた。

 同様に21世紀に生きる我々は、標準的な科学的教養に基づいて、人生で直面する多くの問題に対することにより、そのリスクの多くを最小限に止める事ができるはずだ。

 ことに子供の生命と健全な発育に責任を持つ親権者=親は、カルトやデマに惑わされないバランスのとれた教養を常に持ち、子供を生命の危険にさらすような偽医学や反医学、いかがわしい陰謀論から守らなければならない。

 このような「大人/親としての社会的使命」を放棄するのであれば、そういう者は健全な社会を構成する大人にはなりえないし、親になどなってはいけないのである。

 (了)
スポンサーサイト
この記事のURL | 医療・福祉 | ▲ top
| メイン |