秋日漫録~落語・映画・インタビューの三題噺/身辺雑記
- 2014/10/18(Sat) -
 最近、お堅い話題が多かったので、軽めの話しを少々。

 過日、柳家小三治の高座を聞きに行った。

 人間国宝の噺は、茶の湯でいえば「枯れかじけて寒かれ」という境地。しかし、いささか枯れすぎて、ダイナミズムに欠けていたのは致し方ないか。それにしても『時そば』では、たしかに丼が見えたよ。

 仲入りの後は『死神』。これは小朝の方が好きだなあ。今年は小朝の高座に3回行って、そのうち2回が『死神』だった。

 いずれにしても、落語はもちろん芸事はやはり、生で見るのが一番いい。



 「見る」といえば、過日、映画『るろうに剣心』の3部作を一気に見た。第一作はケーブルテレビ。2・3作は映画館で立て続けに。足掛け5時間以上だったかね(笑)。

 重箱の隅をつつくような突っ込みを入れようと思えばいくらでも入るのだろうが、そういう面倒くさいことはいわず、純粋にエンターテイメントとしての21世紀型チャンバラ映画としてみれば、十分に楽しめる映画であった。ちなみにエンドロールを見ていたら、北辰一刀流が協力しているとのこと。

 雑誌の記事によれば、興行成績はかなり良いとのことだ。原作の漫画やアニメーションの人気もあるのだろうが、時代劇を映画館で見られるというのは、チャンバラファンとしてもうれしいことである。剣心と師匠との立合いは、なかなか良かったよ。



 「立合い」といえば、先月は厚生労働省の老健局長、今月は日本医師会長に、それぞれ1時間、みっちりのインタビューを行った。

 フリーランスの記者になって今年でちょうど20年になるのだが、このレベル人々への、1対1での1時間のインタビューといのは、いまだにかなりの集中力を要する。

 初対面の人と膝つき合わせて60分間、みっちり話しをするというのはかなり心身が消耗するものであり、しかも相手は日本の医療や社会福祉の舵取りに関わる最前線に立つ重鎮である。ぬるい質問などすれば、一瞬で足元をすくわれてしまう。

 これはフリーになったばかりの頃から思っていたことなのだが、1対1のインタビューというのは、武術・武道の立合いに近い。言葉を使った真剣勝負である。

 初対面の相手と、言葉、しぐさ、身なり、素養、知識、教養という様々な武技を使って切り結ぶのである。

 相手の対応もさまざまだ。

 こちらの出方をうかがう人がいるかと思えば、最初から猛烈に突進してくる人もいる。こちらを侮る人もいれば、慇懃な人、さらには慇懃無礼な人もいる。

 若い頃は、質問を誤って相手に侮られてしまったり、地雷を踏んで怒られたり、こちらの知識不足で馬鹿にされてしまったりということもあった。そういう「負け」の経験を積み重ねながら、記者としての地力を培うのである。

 こうした意味で、武術・武道を稽古してきたことは、今の私の仕事には多いに役立っていると感じている。

 私は記者として相手から話しを聞きだす側なので、基本的には受け太刀であり後の先となる。

 たとえば、最初はいささかこちらを侮っていた相手が、急所を突いたこちらの切り返しで態度を豹変させ真摯に答えてくれたときなどは、「一本取ったり!」といった感慨である。あるいは、最初からこちらが位負けしてしまいそうな、人生における大樹のような人物もいる。

 インタビューは一期一会、まさに真剣勝負の立合いなのだ。

 さて次回の立合いは、いかなる仕儀となるであろうか・・・。

 (了)
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