知新流手裏剣術 印可伝授書を読む~その1/(手裏剣術)
- 2009/03/27(Fri) -
 手裏剣術者なら、だれもが一度は目にするであろう書物である、藤田西湖著『図解 手裏剣術』(名著刊行会)。

 ここに、知新流の伝書が収載されているので、以下、注目すべき点を摘録としてまとめてみる。なお■以下の太字部分は伝書の意訳、【】内は市村の祖述である。


知新流手裏剣術 印可伝授書

■知新流手裏剣術では、打剣の威力の強弱ではなく、とにかく早く打ち出し当てることを重視します。相手が刀の柄に手を掛けたら、ただちに手裏剣を打ちなさい。目録にある「打出目付之事」とは、この心得のことを言います。

■手裏剣をはじめて教えるときには、右足を踏み込んで打たせます。打ち出す剣と足を、一緒に踏み込みなさい。足の踏み込みが第一に重要です。踏み込みと腕の振りの一致を粗末にすると、暗闇で手裏剣を打つように、当たらないものです


【つまり知新流手裏剣術の基本は、順体(踏み込む足と剣を打つ手が同じ体側。右足で踏み込んで右手で打つ)だということ。youtubeの動画で、逆体の反転打で打っているのを知新流と称している外国人がいるが、こうした欺瞞行為は、日本の武術・武道にとって百害あって一利なしである。】

■灯火のある場所では、視線に入る光を遮って打つとよいでしょう。

【空手道の型の公相君大・観空大などに見られる、起式の挙動と同じ心得である。】

■手裏剣の威力を強く利かせたいのなら、剣を柔らかく持って振り打ちにすれば剣の威力が増します。

■剣尾が右に偏って刺さるのは、手離れの際に指先が剣に干渉しています。剣尾が左に偏って刺さるのは、手離れの際、手のひらが剣に干渉しています。剣尾が上になって刺さるのは、手離れが遅いからです。手離れの位置を早くすることが、たいへん重要です。


【手裏剣術における手離れの早さの重要性は、私は無冥流の鈴木崩残氏のご指摘から多くを学んだ。手離れこそ、手裏剣術上達のポイントであるといって過言ではないだろう】

■剣尾が下になって刺さるのは、押さえ過ぎです。剣尾が横に偏って刺さるのは、親指で横に滑るか力みすぎなのです。

■懐剣を手裏剣に打つ場合、剣の長さは約18センチ~28センチまでが適当です。


■さて、手裏剣術者たるもの、訪問先でお茶を出された際は、茶碗を自分の右ひざ元に置きましょう。 灰皿なども、自分のすぐ手の届く場所に置きます。扇子にしても、同様に心得ましょう。そして有事の際は、これらを「手裏剣に打つ」、つまり投げてぶつけるのです。

【私は普段、手裏剣はもちろん護身具などは一切持ち歩かない。携帯電話か文庫本が1冊あれば十分である。】

■飛龍剣とは、刀を抜き下段に構え、左手は柄を、右手は剣の棟に手のひらをそえ、間合いを詰めて、手裏剣に打つ技です。この際、太刀を打つ際には剣を一度上段に振り上げ、打ち出す瞬間、手離れの時に柄の部分を下げて離すことです。


【翠月庵の飛刀術では現時点で採用していないが、これは無冥流の飛刀術における「棟押し」とほぼ同一のものであろう。】

■なお、手裏剣に打つ刀は36~40センチから51~54センチが良いでしょう。長い刀は良くありません。

【飛刀術には、太刀・打刀より、脇差・小太刀が良いというのは、現代手裏剣術の重心理論的にも、道理にかなっているといえよう】

■素人さんに手裏剣術を見せる際には、まず最初は5打、柔らかく打って見せなさい。次の5打は、普段の稽古の通りに打ちなさい。最後に3セット目は、鉄板を打ち抜くような心持ちで強力に打ちなさい。3セット以上は見せてはいけません。

【演武の際の重要な心得であり、ウォームアップと、序破急の心持が重要であろう】

■座打ちや立打ち、飛刀術など、いずれも2~3回見せれば良く、あまりたくさん打って見せてはいけません。

■手裏剣を自作する際、当流の規定におさまる範囲内でなら、各人の好みの長さや重さを工夫して作りなさい。

■自分の足先を相手の足先に向けて、引き上げた手と一緒に足を踏み込み打つことです。打ち込む手と一緒に踏み込むことです。


http://www.youtube.com/watch?v=1Kyy-R3qH8M&feature=channel_pageの動画を参照されたし】

■初心者には、最初は150~180センチくらいの距離から、柔らかく打つように教えます。その後、慣れるにしたがって30センチくらいずつ、的までの距離を離していきなさい。

【翠月庵では、初心者も最初から、5.4メートル(三間)で直打の稽古をしてもらう。これまでの実績では、平均的に2時間ほどの稽古で、とりあえず刺さりはじめる。ここから、どう”武術的な稽古”につなげて行くかが重要である】

■稽古の時、保持している手裏剣を地面に落としてしまうことがあります。この際、すぐに拾おうとするのは良くありありません。落とした手裏剣にかまわず、持っている手裏剣をすべて打ったあとで、落とした剣を拾って打つのが武人の心得です。

(次回につづく)

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