壺はダメかね?/(数寄)
- 2009/04/07(Tue) -
 過日、懇意にしている仕事仲間のA氏と、黒霧島のロックと地鶏の刺身で一杯やっていたときのこと。

壺3
 ▲武道の神様・香取神宮謹製の瓶子。白磁が新緑に映える


 「でさ、市村さんの癒しは結局なんなのよ? 武道?」
 「う~ん、武術とか武道は”癒し”ってわけじゃあねえなあ。道楽ではあるけども」
 「じゃあ、こっち?」
 といって、小指を立てるA氏。
 「いや、もう最近はめっきりね・・・。独身も数えで40ともなると”毒身”らしいしねえ(笑)」
 「じゃあ、酒か」
 「それじゃあ、ネタとして、面白くもなんともないしなあ・・・。しいて言えば、壺かな・・・」
 「壺?」
 「そう、壺」
 「・・・・」
 「え、なんか変?」
 「変だよ!」
 と気色ばむA氏。

 壺1
 ▲個人的には青磁の方が好きなのだが、白磁の緊張感あふれる肌あい
  もたまには良い。背景は会津塗りの盆である

 「いやね、壺はさ、なんとも不思議な世界観なわけ。特に瓶子(へいし)っていう、まあ、古い徳利なんだけどさ。神棚とかに飾られているやつね。これがまた、なんとも優美なわけよ」
 「まじっすか?」
 「まじっすよ!」
 「で、その壺をどうすんの」
 「部屋でさ、冷やした純米酒とかシングルモルトをほろほろ飲みながらさ、お気に入りの壺をね、こう眺めたり、手にとったり、なでなでしたりするわけよ。これがまた、夏とかになると磁器特有のぴーんと張り詰めた冷たさが気持ちいいわけ。う~ん、これはまさに癒しだねえ・・・」
 「そりゃあ市村さん、そうとうやばいよ」
 「なんで?」
 「いやだって、今年で不惑になろうという独身の武道家が、毎夜、部屋で一人酒を飲みながら、壺をなでまわして、ニヤリとかしてるわけでしょ」
 「それはまあ、かなり誇張された表現のような気もしないでもないが、あながちウソというわけでもないなあ・・・」
 「いや~、やばい! それは本当にやばいよ! 絶対、人に言わない方がいい! みんなドン引きだから。ほんと、まじで」

 壺2
 ▲この優美で女性的な曲線の丸みと、トップヘヴィーのぎりぎりな不安定
  感、さらに五七の桐のご神紋が神々しいではないか!

 というわけで、壺に癒されるというのは、あまり人に話してはいけないことのようである。

 しかし、ダメよダメよと言われると、やりたくなってしまうのが人間の性(さが)でもあるわけで。

 やっぱ壺はだめっすか・・・?

 (了)

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