医療不信と情報源~ネット依存による視野狭窄/(医療・福祉)
- 2015/06/01(Mon) -
 日経メディカル・オンラインで、興味深い記事を読んだ。

「政府のワクチン接種推奨への不信感、その背景にあるのは」( 国立国際医療研究センター 国際医療協力局 和田耕治)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/flu/topics/201505/542269.html


 最近、オーストラリアの首相が、ポリオ(小児まひ)や破傷風など、子供への予防接種を拒否した家族への児童手当などを原則的に支給しないと発表したが、どこの国にも、陰謀論や偽医療のデマに惑わされて医療ネグレクトを繰り返す、無責任な大人が少なくないのだろう。

 残念なことである。

 上記、国立国際医療研究センター国際医療協力局の和田耕治氏は、ワクチン接種に対する不信感を持つ人がどれくらいいるのかとその要因について、20~69歳の日本人約3000人を対象に調査を行った。

 その結果、政府のワクチンに関する推奨に不信感が「ある」または「まあある」と回答した人は、全体の24%だったという。ここでたいへん興味深いのが、不信感と情報源の関連だ。

~以下、引用~

「不信感と情報源の関連を男女別に見たところ、次のような特徴が見られた。まず男性・女性共通して、最も信頼する情報源として医療従事者を挙げた群を基準とすると、友人やインターネット、書籍を挙げた群では不信感を持っている人が有意に多かった。

 また、男性においてはテレビを、女性においては家族や新聞を、それぞれ最も信頼している情報源と回答した人は、医療従事者を信頼している群と比較して有意に不信感を持っていた」

~以上、引用終わり~


 ようするに、ネットをはじめ、非科学的な書籍や興味本位で制作されたテレビ番組などを見ている人ほどワクチン接種=標準医療に対する不信感が強く、かかりつけ医や地域の保健師、看護師などの医療従事者から直接、医療に関する科学的で正しい情報を得ている人ほど不信感が少ないということが、有意に証明されたということである。


 これは医療に限ったことではないが、ネットや書籍の情報「だけ」に依存することは、とてもリスキーなことだ。

 なかには、ジャーナリストを自称しながら、「情報源はネットだけ」と言う、ちょっと常識では理解できない人も最近はいるそうなのだが、かれこれ20年ほど記者を生業としている私からしたら、到底、理解の範疇を超えている・・・・。

 取材とかインタビューとかしないの? 論文とか読まないの? 裏トリとかダブルチェックとかしないの? ジャーナリストなのに・・・。

 そしてこれも医療分野に限ったことではないが、このように「情報源はネットだけ」というような人たちほど、自覚のないうちに自分の都合のよい情報のみを選別し、断片的な情報のみで都合のよい解釈をし、最終的には自分だけが世界の真実を知っている!、と思い込んでしまう傾向があるようだ。

 しかし考えてみれば、ネットに世界の隠された真実や、国際的陰謀、薬害の事実などが、ゴロゴロ転がっているわけがなかろうに・・・、とは思わないのだろうか?

 ラーメンだって、ネットの口コミを読むだけでは、味が分からない。何はともあれ、自分で食べてみなきゃあね(笑)。


 ネット依存は、人の視野を狭める。

 自戒も込めて、しみじみと思う。

■参考文献
・Wada K, Smith DR. Mistrust surrounding vaccination recommendations by the Japanese government: results from a national survey of working-age individuals. BMC Public Health 2015; 15:426
http://www.biomedcentral.com/1471-2458/15/426
 (了)
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