「術」として構え/(柳剛流)
- 2015/06/16(Tue) -
■本日の稽古備忘録

 早朝の心地よい空気の中、柳剛流剣術の備之伝と備十五ヶ条フセギを、じっくりと復習する。

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▲『角田地方と柳剛流剣術-郷土が誇る武とそのこころ』(南部修哉著)より、柳剛流の切紙に示されている「備之伝」。この切紙は下記掲載の目録と併せて、大正13(1924)年に、宮城県角田中学校剣道師範の斎藤龍三郎より南部雄哉にあてて出されたものである


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▲同じく『角田地方と柳剛流剣術-郷土が誇る武とそのこころ』(南部修哉著)より、柳剛流目録。鑓と長刀の入伝の後に、秘伝として「備 十五ヶ條フセギ」が示されている


 現代の競技武道では「構え」というものについて、かなり基本的かつざっくりとした外形上の指導のみで、あとは各人に地稽古なり試合稽古なりで、その意味や効果を自得させるような教え方が多いのではなかろうか?

 それに対して古流では、構えそのものがひとつの「術」として存在しており、それぞれの構えに固有の意義と効果、その構えを遣うべき時宜、その構えからの勝口があり、それらを習得するための細やかな指導・教習体系がある。

 その典型例が、柳剛流剣術における備之伝と備十五ヶ条フセギなのだなと実感する。

 これは当流に限ったことではなく、例えば駒川改心流の黒田泰治師範が記した名著『駒川改心流 剣術教書』では、その第二章合計31ページすべてを使い、同流のさまざまな構えとその意義、遣い方や効果についての解説に当てているのが印象深い。

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▲『駒川改心流 剣術教書』(黒田泰治著/昭和38年)より、第二章「剣術の構えに就いて」。それぞれの構えについて、具体的な構え方はもとより、その場合相手はどのように打ってくるか、それに対してどのように対するかなど、「術」としての構えについて30ページ以上にわたり詳細に解説している


 さらに柳剛流で興味深いのは、こうした「術」としての構えを習得するための鍛錬法が確立・伝承されていることだ。

 それがどのようなものであるかは、実伝のためここでは具体的に触れないが、ある種、近代スポーツのトレーニングメニューのような感もする習得用メソッドが伝わっているのがたいへん興味深い。

 形や礼法、所作はもとより、こうした流儀独自の鍛錬法も、古流を伝承して後世に伝えていくためには欠かすことのできない、大切な古人の教えである。


 武術における構えとは、単なる外形的なものではなく、「術」そのものであるということを、忘れてはならない。

 (了)
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