柳剛流と神道無念流/(武術・武道)
- 2015/09/16(Wed) -
 江戸時代後期、武州の中でも現在の埼玉県に該当する地域で盛んに行われた剣術といえば、以下の三流派が挙げられる。

 秩父を中心に北武蔵から西部の山沿いに教線を張った甲源一刀流、久喜や加須など県東部で盛んに行われた神道無念流、そして幸手や草加などの県東部から戸田・浦和・川口などの県南部で勢力を誇った柳剛流である。

 江戸時代が終わりを告げてから、およそ150年が過ぎた平成の現在、甲源一刀流は今も秩父地方を中心に脈々と受け継がれ、神道無念流も県内にいくつかの教場があると聞く。

 それに比べると、我が柳剛流の武州・埼玉での現状は、いささか寂しいものがある・・・。


 
 私が柳剛流を学んでいる小佐野淳先生は、八戸藩伝神道無念流も伝承されており、先の稽古からは柳剛流と合わせて神道無念流立居合のご指導もいただけるようになった。

 思えば、21世紀の今、自身の出生地とはまったく関係がなく親族がいるわけでもない武州で暮らし、しかも稽古場まで開いている私が、甲州の師の元で、かつて武州で多いに栄えていた代表的二流派の武芸を学んでいるというのも、なにか不思議なめぐり合わせを感じる。

 なお師の伝承は、柳剛流は角田伝、神道無念流は八戸伝といずれも奥州の系統であり、みちのくで伝えられてきた武術ゆえの、独特の剣風となっていることもたいへん興味深い。



 八戸藩伝神道無念流立居合の手ほどきを受けてまず感じたのは、手之内や運足などに非常に繊細かつ合理的な口伝が数多くあり、一方でその全体としての運刀はたいへん自然で無理のない術だな、ということだ。

 個人的な感覚として形の動きに違和感がなく、「しっくりくる」という手ごたえがたいへん強いものだった。

 また師によれば、

「柳剛流の特徴が『断脚之術』に代表される下半身への攻撃にあるのに対し、八戸藩伝神道無念流立居合は斬りつけはすべて袈裟であり、他藩のような正面斬りや真横の胴斬りもない。ゆえに両者を併せて学ぶことは、よい補完関係になる」

 とのことであった。



 21世紀の今、縁あって武州の地で暮らす流れ武芸者の「ささやかな使命」として、この2つの流儀の稽古と師からの伝承を、これからも大切にしていきたいと思う。

 (了)
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