いかにして脚を斬るか?/(柳剛流)
- 2015/10/20(Tue) -
 柳剛流に限ったことではないが、脚を斬る太刀筋というのは必然的に頭部を斬られる危険性をはらんでいる。

 当然ながら、流祖としてはそのようなことは百も承知で「断脚之術」「斬足之法」を編み出したということは、当流の剣術形、なかでも流儀の根幹となる形といえる「右剣」や「左剣」を稽古していると、しみじみ実感できる。

 まず第一に脚斬りの際、打太刀からの頭部への斬撃にどう対処するのかが考えられており、その要諦は口伝も合わせて伝承されている。これにより、むしろ脚斬りによって、打太刀によるこちらの頭部への斬りをあえて誘い出し、それによって仕太刀が勝つという勝口までが示されている。

 第二に、そもそもの部分で、「いかにして、相手の脚を斬るか?」という理合、柔でいうところの「作り」と「掛け」が、術として形に明確に示されている。

 つまり柳剛流の「断脚之術」とは、双方見合った状態からやぶから棒に相手の脚に斬りつけるような、単純なものではない。

 ここが理解できないと、たとえば近年のスポーツチャンバラの試合でよく見られるような、反射神経と運動能力のみに頼った、先をとって飛び込んでの片手打ちによる脛打ち(これはこれで、有意な技である)のようなものでしか、柳剛流における「断脚之術」がイメージができなくなってしまうのだろう。

 思うに往時の柳剛流剣士たちは、理合に即した「断脚之術」を形稽古でしっかりと練り上げ、その上でさらに撃剣による自由な打ち込み稽古を繰り返して、その「術」を磨いていったのではなかろうか。

 平成の世に当流を学ぶ私も、そんな古人たちを偲びながら、日々の稽古に取り組みたいと思う。

 151020_柳剛流
▲明治40年に書かれた小林雅助著『雑誌并見聞録』に記載されている、岡田十内派師範家に伝わっていた「試合帳」(原本は水害で損失とのこと)。トンボ絵状の人体図に、試合での打ち込み部位が記載されている。面に三打、横面に二打、右小手に一打、そして最多が右脚に四打となっているのは、柳剛流の面目躍如というところか(辻淳先生著『幸手剣術古武道史』より)

 (了)
スポンサーサイト
この記事のURL | 柳剛流 | ▲ top
| メイン |