柳剛流の突杖/(柳剛流)
- 2015/11/27(Fri) -
 本日、武州の拙宅周辺は氷雨が降っていた。

 このため今日の稽古は、自室で居合を中心に・・・。

 っと思ったのだが、その前に突杖の復習を簡単にしておこうと杖を手にとる。

 柳剛流には、剣術・居合・突杖・長刀(加えて殺活その他の口伝)があるが、これらの中で突杖については、個人的にいままで、どうもしっくりこないというか、身体になじまないなあという感覚が強かった。

 ところが、今日の稽古で形を復習しているうちに、何やらだんだん「しっくりくる」というような、違和感のない感覚が芽生えてきた。そのきっかけが何かというのを、今の時点で明確に言葉にすることはできないのだが、これまでの違和感や、自分の動きに杖がなじまないような感覚が次第に、しかし明確に薄れていくようで、結局、稽古の始まりから終わりまで突杖に終始した。


 柳剛流の突杖は、「ハジキ」、「ハズシ」、「右留」、「左留」、「抜留」の5本。いずれも対剣術の形である。どの形もごくシンプルなもので、いかにも素朴な趣きだ。

 突杖は、当流では切紙の段階で剣術形2ヶ条、居合5ヶ条と合わせて教授されるものであり、仙台藩角田伝をはじめ武州伝、あるいは杖のみが現在も伝承されている龍野藩伝の系統などでも、形の名称や本数はおおむね共通している。

 一方で、武州伝のひとつであり天神真楊流の影響を受けた中山派柳剛流では、突杖を「突之刀法」という名称にしているのは実に意味深長である。また同派では形の本数が4本と少なくなっており、名称も「弾」、「外」、「電光」、「切落」となっている。

 さらに上総国川場村(千葉県東金市)に伝承された柳剛流の伝書では、突杖の名称が「乳根木」とされていることにも注目したい。ここでいう「乳根木」というのは、いわゆる「乳切木」と同じように、杖の寸法を杖術の名称にしたのであろう。


 「突杖」という名称や形の名前からも分かるように、この術は弾く、外す、突くといったたいへん素朴な動きで構成されている。しかもそこで使うのは、自在に扱うには習熟が必要な刀とは異なり、何の変哲もないただの杖である。

 柳剛流は剣術を表芸としながら、切紙伝授の段階で指導される剣術形はわずか2本しかない。一方で居合形は5本、突杖の形も5本がこの段階で伝授される。

 その意味について、居合に関しては以前本ブログで、「柳剛流の居合は、当流に必須の体捌きを習得するために必要な、下半身の鍛練的な意味も大きいのではないか?」と推察した。

 これに対して突杖は、即習得可能な護身術的な色合いが強かったのではないかと考えられる。

 剣術に不慣れな者でも、シンプルな突杖なら早期に習得ができ、しかもすぐに護身術として活用できる(一方で、突き詰めれば杖とはまた、実に奥深い術であるのだが)。

 柳剛流は総合武術であるゆえに、切紙の教習体系にはそんな意味が込められているのではないだろうか。


■参考文献
『幸手剣術古武道史』辻淳著/剣術流派調査研究会

 (了)
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