柳剛流の武道歌/(柳剛流)
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- 2015/12/03(Thu) -
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武芸の教えを和歌の形式で詠んだ武道歌というのは、なかなかに味わい深いものがあるかと思えば、面白くもなんともないものもあったりする(笑)。
柳剛流にも様々な武道歌が伝えられているので、以下に主なものをざっとまとめてみよう。 ■切紙記載の武道歌 切り結ぶ太刀の下こそ地獄なり 踏み込んでみよ極楽もある 平日に咄しするとも真剣と 思うて言葉大事とそしれ 敵は剣身をば柳江修行して 心せかづに勝を取るべし むら雨の柳の枝のふりかかり てまの心大事とそしれ ■目録記載の武道歌 伏し拝むいかきのうちは水なれや 心の月のすめは浮るに 花紅葉冬のしら雪時しそと 思えば悔し色にめでりけり 分けのほる鹿の道は多けれど 同じ高根の月を詠めん 兵法は立たざる先の勝にして 身は浮しまの松の色かな 習へ遠く心や雲となりにけり 晴てそたたぬ有明の月 敵と見る心そ我遠立てにけり 柳は緑り花はくれない 寒き冬に雷遠聞へき心地こそ 敵に逢ての勝を取べし 師と弟子の心に隔てあるならば 幾く世経るとも道に入るまじ ■免許記載の武道歌 打つ人も打たるる人も打太刀も 心なとめず無念無心そ 無念とて無しと思うな唯ひとつ 心の中に無しと知るべし 敵と我二人と見るは愚かなれ 一体一気溜りなければ 神国に生まれ来たりて生まれ来て それ吹き返す天の神風 打解て少しまどろむ頃あらば 引き驚かす我枕神 血の道や父と母とのちの道や 血の道留れ血の道の神 月は我れ我は月かと思うまで 隅なき月にすがる我かな 身のかねの位を深く智ふべし 當めねとどまることのふしぎさ 以上の武道歌は、柳剛流各派の伝書によって文字の異同や言い回しに若干の違いが見られるので主なものを記載している。また一部の文字は読みやすいように、当用漢字や現代仮名遣いにして入力しているので悪しからず。 なお、たとえば目録に記載されていた武道歌が、時代が変わると同じ師範家の伝書でも免許に記載されていたりもすることがあるようだ。 ■参考文献 『幸手剣術古武道史』辻淳著/剣術流派調査研究会 『戸田剣術古武道史』辻淳著/剣術流派調査研究会 (了)
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