どこまでを公開するのか?/(武術・武道)
- 2016/01/30(Sat) -
 本ブログで柳剛流や手裏剣術などに関しつらつらと書いていると、時折、武友やあるいは記事を読んでくださる方から、「そこまで書いて大丈夫なのか?」とか、「あんまり詳しく書くと、パクられるよ」などと、ご忠告をいただくことがある。

 そこはそれ、一応、私も吹けば飛ぶよなジャーナリストの端くれなので、それなりの自主コードに基づいて執筆し、記事を公開している。

 まず第一に、出版物や論文、web等で公開されている情報については、個人名なども含め、出典を明記する前提で、ジャーナリズムの慣習上許容できる範囲の引用や参照、転載は問題ないと判断している。

 フィールドワークの際は、webや出版物で発表することがある点を取材対象にきちんと説明した上で、対象の許可を得た範囲内での情報を明らかにしている。

 取材時、あるいは記事掲載後などでも、対象や関係者から伏せてほしいといわれた情報は、原則としてその要望を尊重している。逆に言えば、特に記載しないでほしいと明言されない場合は、掲載・公開可と判断している。もっとも昔と比べ、今は電話番号や住所の丁目・番地などは、基本的には明示しないというのは言うまでもない。

 このように、記事公開についての私の自主コードは、記者としてしごく常識的なものである。


 一方で、実技に関する記述については、まず師から伝授された口伝や秘伝に関する内容は、当然ながら秘するようにしている。これは古流を稽古するものとしては、ごく常識的なことであろう。

 また、口伝や秘伝とはならない点に関しても、師から御教授を受けている古流の実技に関しては、いわゆる「ピン抜き」ではないけれど、実伝を受けた人でないと文章を読んだだけでは分からない・できないように、細心の注意を払いながら慎重な記述を心がけている。

 たとえば、仙台藩角田伝柳剛流を例に説明すれば、現在、師のブログにて「右剣」や「左剣」などの形が、写真と文章で公開されている。あるいは私も、本ブログで「右剣」や「左剣」の実技について、ある程度具体的な事まで書いている。

 しかし当然ながら、これらの形=業の重要な勘所は、師のブログでは伏せられており、私のブログでも一切記述はしていないわけだ。

 ゆえに、仮に師や私のブログ等で公開されている写真や文章を元に、柳剛流の「右剣」や「左剣」を真似たとしても、それは真の仙台藩角田伝柳剛流とは、明らかに違うものとなるだろう。

 また、そういった「似せ物」の形=業を、実伝を受けた稽古者が見れば、少なくともそれが仙台藩角田伝の柳剛流ではないということがすぐに分かるわけだ。


 一方でこうした事を書くと、まるで流儀の伝承を独占しているように感じる人もいるかもしれないが、そのような独善的な意図は、わが師にはもちろん、その教えを受ける私にもない。

 師が本部ブログにて明言されている通り、仙台藩角田伝柳剛流の稽古を希望する人には、広く門戸が開かれている。重要なのは、あくまでも実伝による教授・伝承であり、それを求める稽古者の強い志なのだ。

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▲仙台藩角田伝柳剛流剣術 「右剣」


 昔懐かしい武術・武道の通信教育ではないが、webがここまで進歩をすると、そこにある記述や公開されている動画をディスプレイごしに見ただけで、学んだような、できたような気になってしまう者が少なくないとすれば、それは大きな間違いだといえよう。

 百聞は一見にしかず。そして百見は一触にしかずというのは、万古不易の武の真実なのである。

 
 では、手裏剣術に関する本ブログの記述はどうか? これについては、たとえばここでの記述に「ピン抜き」のようなものは皆無である。

 なぜかというに手裏剣術というのは、とにかく実際に何千・何万・何十万回も打たないと、形・所作の真似や理論の理解だけでは、まったく刺さらないからだ・・・。

 しかも、刺さったか刺さらないかの結果が一目瞭然なので、あまりにも刺さらないと、やる気が消失すること請け合いなのである(苦笑)。

 そして人は往々にして、こうした地味で面白みのない稽古は続けられない。

 ゆえに手裏剣術の実技については、それをブログ等であますところなく公開をしても、あまりに刺さらないので、残念ながら多くの人は稽古を継続できないのである。

 結果として、武術としての手裏剣術習得に最低限必要な三間尺的すら通せずに、稽古を辞めてしまう人が大多数であり、ゆえにあえて実技に関する具体的かつ詳細な記述を伏せる必要もないという訳だ。

 とまあ、こんな風に考えながら、日々ブログを書いています・・・

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▲我が影を打つ


 (了)
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