知新流の手裏剣を打つ!/(手裏剣術)
- 2009/05/10(Sun) -
 翠月庵宛てに無冥流の鈴木崩残氏が寄贈してくださった知新流の剣を、昨日はじっくりと打剣してみた。

 以下はその所感である。

DSC_1673.jpg
▲上段から、知新流の手裏剣(写し)、香取神道流のスケールアップ版、
香取神道流の手裏剣(写し)


■来歴と寸法
この剣は、某古流武術関係者氏が、伝書等を参考に複製したもので、それが巡りめぐって当庵所蔵となった。あくまでも「写し」である。
・全長/約17cm
・重さ/●グラム
・形状/一辺11mmの四角推
・重心位置/剣先から約10.8mm
※今、手元にハカリが見当たらないので、重さは追って書き加えます。

■インプレッション

・二間直打
 まずは伝書に残されている刀法併用手裏剣術の型で想定される距離である、二間から直打で打つ。後ろ重心の剣なので、滑走打法を使用。握り心地には、それほどの違和感はない。構えた状態で、剣の重心位置は、指の付け根と第二関節の間くらいである。

DSC_1675.jpg
▲重量剣に慣れている者であれば、重さも違和感はない


 まずは左上段の構え(逆体)で打剣。わりあい、素直に剣が飛ぶ。まあ、なにしろ二間だ・・・。的(畳)の刺さり具合を見ると、思った以上にしっかりと刺さっている。的である畳のヘタレ具合もあるだろうが、剣先から4~5cmは刺さっているようだ。
 次に同じく二間から踏み込んで順体で打剣(同流の型の動作)。同じく、しっかりと刺さる。なにしろ後ろ重心なので、使い慣れていないといささか違和感があるが、慣れればこの距離では特段問題はない。

二間1
▲思った以上に、深く刺中した


二間2
▲的の平面に対しての剣尾のぶれ(傾き)は、この距離で
は気にならない


・二間半直打
 左上段で打剣。飛跡や的への刺さり具合を見ると、やや剣尾の部分が振れはじめる。また、滑走具合(手離れ)の調整を誤ることからか、剣が立ったまま的に当たることが多くなるように感じられる。
 順体で踏み込んでの打剣では、こうした問題点は、それほど感じない。

・三間直打
 左上段からは、眼に見えて剣尾がフラフラと揺れるように見える。的への刺さり具合も、かなり剣尾が傾いて刺さるようで、安定感がない。順体で踏み込むと、多少は剣尾の振れと刺中時の剣の傾きは改善されるが、やはり今ひとつ。ただし、単に刺中・的中させることには、特段の問題はない。

三間1
▲二間距離からに比べると剣尾が揺れてしまい、標的の
平面に対して剣尾が大きく左に傾いている


・反転打
 三~四間での反転打。時間の関係で、みっちり検証できなかったが、おそらくこの剣でこの距離の場合、修練すれば反転打の方が安定感があるように思われるので、今後の検討&修練が必要か。


■考察
 今回、初めてじっくりと知新流の手裏剣を打ってみて、まず感じたことは、近距離の場合、想像以上に深く刺さるな、ということであった。また二間距離では、剣尾のゆれなどは思ったほどなく、安定的な打剣となった。一方で、二間半以上の距離からは、目だって剣尾のぶれが見て取れ、不安定さを露呈した。反転打については時間の関係で、十分に考察できなかったので、後日、機会を改めたい。

 結論としては、同流の型や伝書に記録されている、対戦時の基本的な想定距離である二間~二間半の距離での使用では、順体にせよ逆体にせよ、特段、問題点は感じなかった。しかし逆に言えば、特別使いやすい剣というわけでもない。
 なにより、「三間以下の距離であれば、ほとんどの剣が直打で特に問題なく刺中・的中する」という現代手裏剣術の原則から言うと、こうした結果は、当たり前といえば当たり前であろう。

 ところで、「なぜこの手裏剣は、後ろ重心・四角推という形になったのか?」という点については、実際に剣を打ってみても、合理的な理由を感じることができなかった。なお現在、私を含めた複数の武術関係者の推測をまとめてみると、この手裏剣の形状については、次のような仮説が立てられる。

1-たいして考えずに適当に作って、自流とした。
2-考えた末に、反転打用に作った。
3-帯に刺して携帯する場合、下方に落ちないように。
4-タガネや和釘など、当時の日常生活で目にする機会がある、既存の棒状金属類の道具の形を模した。

 ただし、同流が失伝しており、なおかつ伝書関係でも、その事実関係が確認できない以上、この点に関しては、その真偽は歴史の闇の中である。

 まあ、古い手裏剣のデザインの理由が真偽不明でも、世の中の大勢に影響がないと言えば無いので、基本的にどうでも良いのだろうが・・・。そこが気になるのが、好事家のゆえんであろう(笑)。

 今後も知新流については、伝書の精査も含め、さまざまな考察を続けて行きたいと考えている。

 (了)
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