柳剛流の精髄~右剣と左剣/(柳剛流)
- 2016/05/26(Thu) -
 柳剛流(りゅうこうりゅう)は、剣術・居合・突杖・長刀(なぎなた)、さらに殺活術なども備えた総合武術である。

 これらの技術体系の根幹となるのが、稽古者が最初に学ぶ、切紙の剣術形「右剣」と「左剣」だ。

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▲柳剛流剣術「左剣」。(打)小佐野淳師、(仕)瀬沼健司


 誤解を恐れずにいえば、柳剛流特有の術理を凝縮した流儀の精髄が、この2つの形であるといっても過言ではない。

 具体的な体動については師伝のためここでは詳述しないが、この2つの形には柳剛流を柳剛流たらしめる、以下の4つのポイントが全て含まれている。

1.独特の体捌き
2.拍子の位
3.断脚之術
4.上段対策

 (1)の「体捌き」は、剣術は元より居合や長刀においても、当流では全てにおいてこの独特の体捌きを用いる(突杖のみは別である)。これが柳剛流ならではの拍子の位を産み出し、また圧倒的な斬撃力の根本ともなる。

 一般的に柳剛流というと断脚之術ばかりが注目をされるが、じつはそれ以上に当流で重要なのが、この体捌きなのだ。

 (2)の「拍子の位」は武術にとって欠かせないものであるが、柳剛流の「右剣」と「左剣」では、その独特の体捌きを活用する形で、緩急を備えた拍子の位が明確に形を打つ者に示される。

 (3)の「断脚之術」は、いまさら言うまでもない。流祖・岡田惣右衛門奇良が編み出した、当流の真面目だ。

 (4)について、巷間、「脚斬りの弱点は、上段への斬撃である」などと言われる。それはそれでたしかに事実ではあるが、流祖はそのようなことは十分承知の上で、断脚之術を編み出した。その証が「右剣」と「左剣」2つの形に示されている、対上段攻撃の口伝であり体動である。


 このように「右剣」と「左剣」の形には、当流を稽古する上で必要な術と理が濃密に凝縮されており、入門者はまずこの2つの形をみっちりと稽古することで、柳剛流ならではの体動と術理を習得するのだ。

 その上で目録の段階では、流祖自らが伝書上で「当流極意」と称した柳剛刀の形6本を学び、流儀の術をさらに深めることができるのである。

 その証拠に、たとえば目録で学ぶ柳剛刀の一手である「青眼右足刀」や「青眼左足刀」、「中合剣」の3本の形は、ある意味で切紙で学ぶ「右剣」と「左剣」の応用変化・実戦用法といってよい。

 あるいは当流の免許秘伝である長刀の形も、「右剣」と「左剣」、そして居合形で練りに練った体捌きをもってこそ自在に操れるものであると、実際に長刀の形を打つことで強く感じることができる。


 古流武術では、最初に学ぶ形に自流の極意となるエッセンスが凝縮されていることが少なくない。

 我が柳剛流においても、こうした道理が当てはまるのだといえるだろう。

 (了)
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