水月塾本部での史料講義~山田流試斬秘伝図巻/(武術・武道)
- 2016/07/21(Thu) -
 先日の水月塾本部稽古では史料講義として、小佐野先生が所蔵されている『山田流試斬秘伝図巻』を拝見、解説をしていただいた。

 山田流試斬といえば、いまさら説明するまでもない、御様御用・首切り浅右衛門で知られる、あの山田流の絵伝書である。

 今回、師より当ブログ掲載のご許可をいただけたので、以下、一部を紹介しよう。

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 伝書には、斬り方と斬る部位、試物の据え方、刀の拵えなどについての解説が、絵と文章で記載されている。

 個人的に興味深いなと思ったのは、鍛錬用の振り棒の形状や材質などについて、詳しく解説されていることだ。

 据物斬りも剣術同様、事前の鍛錬がなければままならないというのは、当然といえば当然であろう。

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 また、斬首後の遺体ではなく、まだ生きている人間を試物とする場合、身体のある部分とある部分を固定した上で斬り懸かるというのは、なるほどと腑に落ちた。

 そうでなければ、たとえ抑えつけていても、嫌がってわずかでも動くであろう相手に繊細な「試刀」はできないだろう。

 また試斬においては、左袈裟よりも右袈裟※の方が、より刃筋のブレが少ないと言われるが、この固定の仕方で首や肩、腕に斬り懸かる場合の太刀筋は、必ず「右袈裟」となるであろうことも意味深長だ。

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 さらに、柳剛流の修行人として非常に勉強になったのは、脚への試刀部位である。

 柳剛流というと、「足斬り」「脛斬り」というイメージが広く知られているが、では脚のどこを斬るのか? については、流儀の口伝を受けた者でないと分からないであろう。

 当流の「断脚之術」は、脚ならどこでも斬れば・打てばよいというものではない。

 そういう意味で、山田流試斬の伝書で示されている脚部の試刀部位が、柳剛流の口伝と完全に一致していたというのは、たいへん貴重な知見となった。


 こうした史料研究は、文化の保存や継承のためにはもちろん、実技としての武技を深めるためにも欠かせないものと言えるだろう。

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 それにしても、「面放」って・・・・・・。


※ここでいう「右袈裟」は、向かって11時の方向から5時の方向、つまり自分の左上から右下へ斬り下ろす袈裟である。空手道における「外受け」「内受け」と同様、剣術や居合・抜刀術でも一部流派によって「右袈裟」と「左袈裟」の意味する太刀筋が異なっているのは、文書表現上、誤解が生じやすい点である。

 (了)
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