“剣客商売”の余禄/(身辺雑記)
- 2016/08/11(Thu) -
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 翠月庵では、稽古に際して1人1回1000円の参加費を納めていただいている。

 この会費は、稽古場の維持費や的などの消耗品費に当てているのだが、例年赤字であり、不足分は私の持ち出しだ。

 ま、金儲けのために稽古場を開いているわけではないので、赤字だからといって会費の値上げなどは考えておらず、さりとて道場運営を黒字化するために、しゃかり気になって人集めをしようとも思ってはいない。

 易に曰く、「我童蒙を求むるにあらず。童蒙来たりて我に求む」であり、武芸もまた、そういうものであるべきだと私は思う。

 ゆえに本ブログとホームページ以外では、特段道場の宣伝などはしていないが、チラシぐらい作って駅などに掲示したりしたほうがいいのかなあとも思うのだが、なんだかんだと腰が重い。

 闇雲に宣伝をして、武器マニアや忍者オタク、コスプレ厨みたいなのが来ても厄介だし(そういう問い合わせが時折ある・・・)、そうでなくとも手裏剣術は難しく、しかも地味なので、ほとんどの者が稽古を始めても1年も続かないのだ。

 3間でそこそこ打てるようになると、ようやく手裏剣術の稽古に面白みが出てきて、4間を通せるようになると「術」の醍醐味が感じられるようになるのだが、大概の人が2間前後であきらめて、稽古を止めてしまうのである。

 (なお車剣であれば、初めての人でも3~4間を通すのは楽勝である。投げりゃあ刺さるのだから。実際数年前、フジテレビの『笑っていいとも』というテレビ番組の依頼で関係者に手裏剣術を指導したところ、元野球部だというAD氏は車剣で6間を通した)

 そこで当庵では、古流諸派や他の現代流派に比べ、はるかに短期間に3間で(とりあえず)刺せる教習体系で指導をしているのだが、それでも「武術としての打剣」をものにするには、やはり最低でも2~3年はかかる。

 この9年間で、定例稽古や個人指導、講習会などで、延べ人数にするとざっと300人くらいに手裏剣術を指導してきたが、そのうち4間以上を通せた者は、6人しかいない。

 しかもその6人のうちの4人は、他流や自己流で、当庵入門時にはすでに3間を通していたので、私の指導の元でゼロから始めて4間を通せるようになった人は、これまでたった2人しかいないということになる。

 これはまあ、私の教え方がヘタクソなのかもしらんが、 以前、ある人が、「手裏剣術は100人入門しても、3年続くのは1人いたらよい方だね」と言っていたが、私も感覚的にそのように思う。

 一方で、心得や他の武芸との併習ではなく、表芸として「手裏剣術者」を名乗るのであれば、やはり最低でも5間は通せないと恥ずかしいし、武術として学ぶからには板金を打つ心(フルパワーの打剣)での3間直打はクリアしてほしいものだ。

 いずれにしても、手裏剣術を表看板にした“剣客商売”というのは、経験上、あまり儲かるものではない・・・・・・(苦笑)。



 とまあ、そんな閑古鳥の啼く稽古場の庵主とはいえ、この時期になるとお中元をいただく事がある。

 ことに旨い酒なんぞをいただくと、有体に言えばたいへんうれしい。

 というわけで本日の晩酌では、当庵のYさんからいただいた武州の地酒である「限定醸造吟醸造り 純米酒 飯能風土記」を呑む。

 ふっくらとした旨味のある酒で、ほのかな酸味が杯をすすめさせる。

 リオ・オリンピックの熱戦を見ながら、防州の竹輪やゴーヤを肴に杯を重ねていると、いつの間にかうとうととしてしまい、目覚めればもうこんな時間だ。

 網戸の外からは、虫の音が聞こえる。

 考えてみれば、今年初めて聞く秋虫の鳴き声だ・・・・・・。

 (おしまい)
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