遠きにありて/(身辺雑記)
- 2016/08/26(Fri) -
 最後の遺品整理のため、再び伊豆へ。

 不要な物品をすべて処分し、捨てられないものは武州の拙宅へ送る。

 1日に路線バスが2本しか通らない山奥にぽつんとある、2棟しかない小さなこの団地で私が暮らしたのは、11歳から19歳までの8年間。

 高校生の頃は、ここから早朝、1時間歩いて最寄り駅へ向かい、そこから各駅停車を乗り継いで東京へ行き、武芸を学んだりしたものだ。

 母はここで、36年間暮らしていた。



 片付けを終えて部屋から出て、外で一息つくと、夏の終わりらしい少し乾いた感じの青空がまぶしい。

 すると突然、35年前の記憶がよみがえった。

 1981年の夏のある日、12歳の私はここに座り、団地の壁と夏の空を眺めながら、FMのラジオドラマを聴いていた。

 タイトルは、「Summer of 81」。

 内容はもう忘れてしまったが、タイトルだけは鮮明に覚えているのが不思議だ。

 いずれにしても、もうこの団地を訪れることはないだろう。



 ふるさとは遠きにありて思ふもの
 そして悲しくうたふもの
 よしや
 うらぶれて異土の乞食となるとても
 帰るところにあるまじや
 ひとり都のゆふぐれに
 ふるさとおもひ涙ぐむ
 そのこころもて
 遠きみやこにかへらばや
 遠きみやこにかへらばや
 ~小景異情-その二~(室生犀星)

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 (了)
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