他流の手裏剣を打つ/(手裏剣術)
- 2016/09/04(Sun) -
 当庵で柳剛流を稽古しているU氏は、夢想神伝流組太刀・居合の師範であり、下総周辺で伝承されてきた古流武術である不二心流についても深く研究をされている(http://www.geocities.jp/spirit_vision_lesson/index.html)。

 先日の稽古の際、U氏が不二心流の調査の際、F宗家よりいただいたという手裏剣を数種類、持ってきてくれ、試打をさせてもらった。

 剣のタイプは3種類で、1つは鍛造で香取神道流と同じ形の手裏剣、1つはステンレスの丸棒の片方の先端を削ったもの、1つはステンレスの丸棒の両端を削ったものであった。

 全長はいずれも5~6寸(16~18センチほど)、重さは80グラム前後というところであろうか(その場にメジャーやはかりがなかったので、おおよその見当である)。

 香取神道流タイプの剣は、本歌の香取の剣よりも、全長・重さともに一回り大きく、かなり打ちやすくなっている。実際に打って見ると、私も、また当庵筆頭であるY氏に打ってもらっても、4間直打までは簡単に通すことができた。

 これは、長さと重さが香取神道流の本歌の剣よりも大きく、重くなっているからであり、通常の香取の剣では直打で4間は、いささかやっかいである。

 そもそも、手裏剣というのは、軽ければ軽いほど、短ければ短いほど直打で打つのが難しくなるものなので、伝統的な形状はそのままに、長さや重さをサイズアップするというのは、1つの工夫である。

 もっとも、香取神道流の手裏剣術は、間合3間での使用が前提というので、4間、5間などといった中間間合は、そもそも考慮されていないのだから、それはそれで特に問題ないということだろう。

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▲今回、U氏からお借りして打った手裏剣については、不覚にも写真を撮りそこね
てしまいましたので・・・・。私が所持している、他流の手裏剣各種。下から明府真
影流、香取神道流、知新流、最上段は円明流。上から2番目は、当庵制定の25
年式翠月剣


 同様に、ステンレスの丸棒を削ったタイプの手裏剣2種も、4間まではとくに問題なく、私もY氏も直打で通すことができた。

 ただし、剣の両端を削って剣先にしているタイプのものは、剣尾と手之内の接触を重視する翠月庵の打ち方では、少々打ちにくいものであった。

 津川流の手裏剣や、あるいは白上一空軒氏考案の手裏剣も、このように剣体の両端に剣先があるタイプで、これらのものは、直打でも反転打でも、どちらの打法でも使えるようにとの工夫のために、このような形状になっている。

 しかし、そもそも直打で6~7間を通すことのできる手裏剣術者であれば、別段、反転打で打つ必要はないので、このような細工は不要であろう。


 今回、久々に他流の手裏剣を打ってみて思ったのは、やはり「手之内」と「離れ、そして「重心」の重要性である。

 この3つを融通無碍に使いこなすことができれば、重さや長さ、形状の異なる他流の剣でも、ある程度、咄嗟に打てるものだ。

 逆に言えば、少なくとも「武術としての手裏剣術者」を標榜するのであれば、たとえ他流の剣でも3間以内の近距離ならば、ある程度は咄嗟に的中させられなくてはなるまい。

 一方で、間合が4間を超えると、剣そのものの形状や重量、重心といった構造が、てきめんに刺中に影響するようになるという点も、改めて確認することができた。


 いずれにしても、「軽い剣、短い剣は、使いにくいなあ・・・・・」というのが、25年式翠月剣(全長255ミリ/身幅13ミリ/重ね6ミリ/重量144グラム)を正式としている、私個人の感想である。

160904_132159.jpg
▲1本だけ手裏剣をもって立合いの場へと言われたら、やっぱ
りこれしかあるまい。円明流(竹村流)の短刀型手裏剣(長さ8
寸(約240ミリ)、元幅8分5厘(約25.5ミリ)、重ね5分(15ミ
リ)、重さ70匁(約262グラム))。ただしこの写しは、材料の鋼
材の関係で、重ねは約2分(6ミリ)、重さは約59匁(約224グ
ラム)となっている

 (了)
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